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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

こんな本を読んだ:『漫画でやさしくわかる資料作成の基本』(吉澤準特著、日本能率協会マネジメントセンター)

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GWは後半が6連休となり、少しのんびりしています。いや、少しじゃなくて、相当のんびりしています。どのくらいのんびりしているかと言うと、3-4月の「チョー忙しい時期」に「この山を越えたら、この本もあの本も読んで、こんなブログもこんな原稿も書こう!」と決意していたのに、それら全てをしていない、というほどのんびりしています。

それはさておき、新入社員研修も佳境に入って来まして、私の担当分野はほぼ終わった感じです。(IT業界は、新入社員研修が長いことで有名ですので、研修自体はまだまだ続きます。ITの様々な研修カリキュラムが進行中です)

私の担当分野といえば、プレゼンテーションもその一つ。新入社員の皆さんは、たとえば、「毎朝の3分間スピーチ」とか「グループワークでの発表」とか、はたまた、「研修の成果発表会」といった、実に様々な場面でプレゼンテーションする機会があります。

配属後も、人まで話す、人に話す、誰かに説明する、という場面は誰にでもあるので、早い内から基本スキルを学ぶのはとてもよいことだと思います。

最近の若手は、入社した時点で、いわゆる「デリバリスキル」(話し方)はとても上手です。全体をまんべんなく見て(アイコンタクトもとって)、大きな声で堂々と話します。声が小さくて聞こえないと言う人もいませんし、手に原稿を持ったまま棒読みする人もまずいません。ベースが高いのですね。(20年以上前の新人と比べると雲泥の差。私も含め、昔の人<昭和な新人>はプレゼンが下手でしたー。)

「もっと聞こえる声で!」とか「前を向いて話しましょう」などと言う必要なないくらいにベーシックな部分で慣れている。

しかし、しかし、これは、以前の<昭和な新人>でもイマドキの新人でも共通の、「誰に向かって話しているのか」「何が目的なのか」などが全く意識されていないという
弱点を持っています。

何かを滔々と話すのですが、「これ、誰を相手にしているつもりですか?」と聴くと、「相手のことを考えたことはなかった」と言います。
「何を目的としたプレゼンですか?」と尋ねると、「目的?も考えたことなかった」と言う人が多いのです。

誰に、なぜ、何を伝えたいのか?を考えてから、プレゼンなりスピーチなりを組み立てるのではなく、「自分が話したいことを話しやすいように組み立てる」という傾向があります。(イマドキな特徴ではなく、新人っていうのはたいがいそういうものです)

だから、パソコンのプレゼンツールを起動する前に、「誰を対象としているのか」「なぜ、何を目的にプレゼンするのか」を机上で書き出すように促すと、「へー、こんなこと、考えたこともなかったから、新鮮」などと言って、楽しそうに紙に書き出しています。

コミュニケ―ションなのだから、相手がいるはずなのに、その意識がすこーんと抜けるのですよね。

先日のこと。


「自分が研修で学んだことを配属先の上司に報告するプレゼンをしましょう」という設定で、新入社員の皆さんにプレゼンを準備していただきました。

「誰?」=配属先の上司。

「その上司は、どういう関心事があると思いますか?何を知りたいですか?あるいは、前提知識として持っていることと持っていないことは?」

これを考えることが大事ですよ~、と、一生懸命「聴き手分析」をしてもらいました。

こういうこと、学校であまり習うことがないらしく、

「職場の上司ってことは、自分たち新人がどのくらい成長したか、知りたいはずだよなぁ」

などと言いながら、ワイワイ考えていました。

目的も同じように考えて、議論していました。

こういう基本が抜けてしまうのは、実は新人だけではなく、中堅でもベテランでもPMでも似たようなものです。

それと、プレゼンだけではなく、文章でも同じ。誰が読者なのか。何故、これを読むのか。何を知りたいと思っている人が相手なのか。

これらを考えてから、自分のストーリーが決まるはずなのだけれど、つい、自分目線でモノを語ってしまうのですよねぇ。

・・・・出版されたばかりの『漫画でやさしくわかる資料作成の基本』には、このあたりが漫画と文章で、分かりやすく解説されています。

1章の「資料作成の流れをつかむ」では、「王道 WHO、WHAT、WHYを明確にする」という項目で、「相手と狙いをきちんと押さえなさい」と述べています。ほら、そうだよねぇーと膝を打ちながら読み進めました。

さらに、相手や目的に応じて、内容や見せ方を変えましょう、とも書いてあります。

このことも意識がいかないことがありますね。誰相手にも同じ資料を提示してしまい、相手によっては、簡単過ぎたり、難し過ぎたり。

新入社員研修のプレゼンテーション演習でも、一通り見終わった後で、「これを聴いている方は、●●という言葉をご存じの方ですか?」「聴き手として想定している相手は、●●に関心があると想定してますか?」などと突っ込んでみると、「あ、それはご存じないかも・・・」という答えが帰ってくることも。

・・・というわけで、1章と2章「ルールを作って資料に安定感を出す」までは、プレゼンの準備と作成の基本を押さえてみようという内容になっています。

3章は、「ひとめで分かる資料を作る」です。

ここを読んでいて、「おおお、そうなんだ、そうなんだ!よくぞ書いてくれた!」とさらに膝を思いっきり打った箇所があります。
それは・・・

①複数の直線を組み合わせて図形を作ること
②文字を含む図形をテキストボックス+図形で作ること

この2つを避けよう!と書いているのです。

わかる、わかる、分かり過ぎる~。

「図形」を移動しようと思ったら、1本の直線だけ動いた。ん?なぜ? えーーーー、□を4本の直線で作っているの?
「図形」を移動したら、文字だけ元の場所に残る。ん?どうなってるの? あ、「テキストボックス」は別に作ったのね?

誰だ、こんな図形を作ったのはー。と心の叫びが湧きあがる瞬間です。

この本は、後半で、このような、細かいTIPSも具体的に解説していて、プレゼン初心者から中堅、ベテランまで、誰が読んでも「へぇ、そうなんだ」と驚いたり、「そうそう!」と共感したりできるようになっています。

新入社員の皆さんにもお奨め。ベテランにもお奨め。

ところで、漫画は、最近のビジネス書の漫画によくあるように、女性主人公と男性ライバルと、女性主人公の女性メンターが登場します。この女性メンターの胸が大きくて、こんなに大きく描かなくてもいいんじゃないかと思った私です(笑

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