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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

新入社員研修の風景①:「具合悪かったら休んでいいですよ」ではなく「休まなくて済むように体調管理しましょうね」

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新入社員研修花盛り。特にIT業界は、新入社員研修が非常に長いので、2-3か月は続きます。6か月10か月・・という企業もあります。配属が2年目の春、というケースも聴いたことがあります。疑似開発プロジェクトを回して、モノ作りができるエンジニアに育ててからいよいよ現場へ、という考えで運営している訳ですね。

期間が長いほど、体調不良も出てくる可能性があるわけですが、人事や人材開発の担当者がこういうアナウンスを出している場合があります。

「具合が悪かったら、休んでもいいですよ」
「無理せず、休んでくださいね」

・・・これは、まだ右も左も分からない新入社員にどう聞こえるかというと、

「休んでいいんだぁー」・・・

ここがクローズアップされやすいのですね。

「体調悪かったら無理しなくていいんだぁー」
「休んでいいんだぁー」

と。

その結果、新入社員研修中に休む人が続出した、という例を以前見たことがあります。 (2005年度)

似たような例で、私の勤務先で起こった出来事ですが、

「具合が悪い方には、救護ベッドが用意してあるので、いつでも言ってください」

とアナウンスしたところ、そのベッドが冷たくなる暇がないくらいに、いつも満床。 (これも2005年~2006年ごろの出来事)

誰かがベッドで寝ている始末。

担当者が横になっている新入社員に1時間経過したころ声を掛けたら、

「いや、もっと寝てたいんで、そっとしておいてください」

と言われたという笑い話もあります。(大して具合が悪かったわけでもなく、睡眠不足だっただけらしい)


結局、「休む場所がある」と思うと、具合悪くなくても「大事をとって?休む」という人まで出てきてしまう。

翌年、救護ベッドがあることを伝えなかったところ、結果として「誰も具合が悪くならなかった」というのも面白い現象です。

さて、最初の例ですが、

「具合悪かったら休んでいいですよ」ではなく、「休まなくて済むように体調管理しましょうね」と教えるほうがいいのです。

大事なのは、「体調悪かったら休む」ではなく、「体調悪くならないように自己管理をきちんとする」ことの方で、これがわかっていないと、夜中まで遊んでいて翌日具合が悪くなるとか、色んな事が起こってしまいます。

何をしてほしいのか、といえば、「体調管理は自分でしなはれ!」なはず。

そこを伝えることが第一に重要です。

もちろん、どんなに体調管理しても具合が悪くなることはありますし、その時は、遠慮せず、人事などに電話して休めばよいのですが、「体調管理!」のほうを無垢な人には強調することが大事だと思うのです。

これは、這ってでも出て来い!という話とは全く違うので誤解なきよう。
熱があったり、体調悪かったりしたら、ホント、休みましょう。それはそれで無理して仕事しても迷惑かけますし、そうなったらもう早く回復することが義務だと思います。

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