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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

もうマネージャになるとですね、忙しすぎて、あれもこれもやってらんないんですよ(ボー然)

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イマドキのマネージャは、99.9%が「プレイヤー」自覚を持つという調査を産能大が発表した何かのデータで見たことがある。(2010年くらいの調査)

色々な企業でリーダー研修だとかマネージャ研修だとか担当していて、あるいは、部下層の研修も担当していてもこのことは本当によく感じる。

「メンバの話を聴いたほうがいいと思うのだが、それを聴いていると、自分の仕事がさらに遅くなり、そして毎晩深夜までかかるというのを考えると、自分の身体も生活も大切だし、結局、数字を追いかけることが最重要課題となり、部下のケアは後回しになる。」

「『7つの習慣』で言うところの、緊急かつ重要なことばかりに振り回され、緊急ではないけど重要なこと、たとえば、人材育成とかチームの人間関係の構築とかそういうところがついおろそかになる。緊急ではないけど重要なことをやらないから、いつまでたっても自転車操業になるんだ、と言われればそうかもしれないけど、実際問題として、目の前の仕事は待ってくれない」

・・・

部下も
「なんせ上司が忙しくて席にいない。相談したくてもいない。顔を見ない」
「上司は忙しいだけじゃなくて、ぴりぴりしていて、こちらから話しかけるのもタイミングを見計らうし、様子見しているうちにまた外出するから、全く交流ができない」
と言う人が多い。

現代の職場は、ただただ忙しい。 ひたすら忙しい。

マネージャは特に忙しい。目が回るほど忙しい。行きつく暇がないほど忙しい。

それなのに、それなのに。

30年くらい前までは求められなかったたくさんのことをマネージャは求められる。

部下の話をきちんと聴け。共感しろ。
指示命令では動かないから、コーチングするんだ。
相手の考えを引き出せ。
もっとチームの人間関係やモチベーションにも気を配れ。

一つ一つはもっともなことなのだけれど、目の前の数字、目の前の仕事・・・この山をまずは崩さなくては。

「人を育てないから、いつまで経ってもマネージャ自身が動かなくちゃいけないんですよ」
「きちんと人間関係を作っておかないから、他部署にものを依頼するときにやっかいなことになるんです」

そう言うのは簡単だけれど、そうは言っても、というのがマネージャの本音だろう。

昭和時代のマネージャには、「部下の話を聴いた方がいい」「考えさせるコミュニケーションを」「支援型リーダーシップを」と言っても、「そんなもん、わからん」という人がまだかなりいるけれど、平成時代のマネージャは、「聴いた方がいいし、考えさせた方がいいし、支援型リーダーシップを取りたいと思っている」けれど、「やってる暇がないんだよー」という感じ。

「仕事なんだから部下にやらせればいいんだ!」という古い昭和上司の考え方を変えるのはもちろん至難の技なのだけれども、それ以上に「できればそうしたい、自分の理想を考えたら、働きやすい現場を作り、風通しよく、皆の意見、考えもくみ取りながら、モノゴトを進めていくようなマネージャになりたい」と思っている平成上司のほうが、もっと大変。

自分でわかっているのにできない、という状況が彼らを苦しめているように思う。

「なにを言ってんだん。そーゆうことを考えるのがマネージャの仕事だろう?」と言うのは簡単だ。
けれど、当事者は悶々と苦しんでいる。悩んでいる。

平成のマネージャは、とにかくツラいよ。


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