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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「化粧くらいしなさい」と上司が部下に言うのはセクハラか?問題

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ずいぶん前に、20代の女性から聞いた話。ずいぶん前というのは、10年単位ですごーく前のこと。

あまり化粧をしたくないというタイプの彼女は、ほとんどすっぴんで通勤、仕事もほぼすっぴんでしていたそう。

営業のような仕事もしていて、お客様先に出向くことも時々あった。

ある日、上司にこう言われたという。

化粧くらいしなさいよ」と。

そう言われ、「すっぴんはまずいか、じゃあ、ちょっとはするか」と化粧をし始めたそうだ。

化粧しなかった理由は、皮膚が弱いとかアレルギーだとか言う場合もあるだろうが、彼女は、単に「メンドクサイ」「必要性を感じない」からだったと記憶している。

さて、セクハラとかジェンダーなんとか、とか、いろいろ喧伝されるようになったこの21世紀。

上司や同僚が、「少しくらい化粧しなさいよ」「化粧くらいしたら?」と女性にアドバイスするというのは、果たしてOKなんだろうか?

「カラスの勝手でしょう~♪」(相変わらず古い)とばかりに、個人の勝手であるともいえる。

ダイバーシティという言葉も流行っている。

多様性を認めましょう。多様性を受け入れましょう。

・・・化粧する人もしない人も「多様性」だとも言える。

私は、化粧しようがしまいが、そんなことは個人の勝手だと思う。それをきれいとおもおうが、きれいじゃないとおもおうが、それも当人と他者のそれぞれの勝手である。

化粧したい人はすればいいし、したくない人はしなくてもいいだろう。できない人もいるし。

身だしなみというのは、「こぎれいにしている」ことだけが大事だと思っている。

「ボロボロのシャツとか、シミだらけのシャツ」とか、そんなんじゃなければ、相手に失礼ってこともないだろう。

ところで、

女性に「少しくらい化粧をしなさいよ」というのもあるけれど、
最近だと、
男性が化粧していたりすることもあると思われ、
男性に「化粧はやめなさいよ」というのも、これまた、どうかな、と考えなくもない。

化粧問題、難しいですね。 したい人はすればいいし、したくない人はしなくてもいいし、男女関係なく、それをあれこれ言わなくてもよいかなというのが私の見解である。

・・・なんてことを考えたのは、このコラムを読んだから。

ここに登場する20代の女性、「40代j女性上司のオス化がいやだ」と言っているようで、それを解説者(コラムニスト)は、「服装などに気を遣いなさいね」的アドバイスをしているのだけれども、この20代の女性は、上司の身だしなみ、見た目を云々しているんじゃないじゃないか、と思ったのですよね。

それよりも、いわゆる「マッチョ指向」が「ああ、いやだー」という風に思わせた要因ではなにかと思うわけです。(真相は不明ですが)

女性の中には、「男性」並みにばりばりしてきたことで、上のほうに上がっていったというタイプがいて、その女性たちの価値観は、「昭和上司」(主に男性)のソレに近いものがあり、

「なんでできないの?」
「徹夜してでもやりなさいよ」

的価値観が根底にある。

そういう「マッチョ指向」(※)な女性に、20代の女性はへきえきし、「もっと"ふつう"に働きたいのよね」と思ったのではないか、というのが私の分析である。

(※ 「マッチョ」というのはよく中野円佳さんが使う言葉で、24h戦えますか、的価値観のようなことを指します。たとえば、こちらにインタビュー記事が)

8月末に「女性活躍推進法」が10年の時限立法として成立したけれど、大半の女性は、「バリバリ」働きたいのではなく、「ふつう」に働きたいのではないかと思っている。

男性だって今や「ふつう」に働きたい人が増えていると思うし、「24時間戦えますか」的リゲイン的昭和な価値観的働き方は、もう「かっこよい働き方」ではないだろう。

・・・・・

もっとみんな「ふつう」に働けばいいのだよね。

化粧していてもしなくても。男性だろうと女性だろうと。


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