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『新人教育をアカデミックに語ろう!(3)』(関根雅泰さん)に参加:「新入社員の導入研修」について

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昨日2014年3月27日(木)、関根雅泰さん主催・講師の「新人教育をアカデミックに語ろう!(3)」に参加してきました。昨年の(2)に続き、連続2回目。

関根さんは、ラーンウェルという会社を経営し、自ら企業のOJT支援(つまり、OJT指導者の研修など)を行っている方であり、東京大学の中原淳さん門下生で、OJTや組織社会化などの研究者でもあります。

私もOJT支援がライフワークなので、完全に「同業他社」なのですが、「同業他社でもOK!」という太っ腹な関根さんのおかげで2年連続で参加することができました。

参加者24人。企業の人事や人材開発部門の方や出版社、コンサルタント、私のような研修講師など様々な属性の方がお集まりでした。

「アカデミックに語ろう!」というタイトル通り、「学生から社会人になるあたりの若手」がどう成長していくか、というのを複数の切り口で、しかも、最近の研究知見をベースに進められました。中で3-4回の対話の時間もあり、互いに経験していることや考えたことを共有する時間もありました。

「ほぉー」と新たに気づいたり、「感覚的にはそうだと思っていたけど、研究されていたのか」と心強く思ったりした箇所が多々ありました。いくつかを紹介します。

学生から新社会人になるといったプロセス、つまり、どこかかからか新しい組織に参入し、馴染むことを「組織社会化」と言います。

では、組織社会化とは何か。 よく使われる定義に以下のものがあります。(南山大 高橋先生、1993)

「組織への参入者が組織に一員になるために、組織の規範、価値、行動様式を受入れ、職務遂行に必要な技能を習得し、組織に適応していく過程」

たとえば、新卒新入社員の場合、「学生→企業」という風に新規参入する場合、その企業の中での約束事や決まり、価値観、振る舞い方などを身につけ、仕事をするのに必要な知識やスキルを身につけ、そして、その企業にだんだんと馴染んでいくこと、これが、「組織社会化」です。

この「組織社会化」のために行われるのが、
●新入社員研修
●OJT
です。

新入社員研修の望ましいあり方については、「学術的知見」から以下のようなことが言えるというお話でした。

●同期意識を醸成する
●今後のキャリア展望を提示する
●剥奪的→付与的に接する
●参加者の期待や欲求を満たす

上記、いくつか私の考えや経験などを交えて解説します。


1.同期意識

同期意識というのは、日本のように4月に一斉入社するような場合、非常に大事で、転職したとしてもいつまでもついて回るものだと思います。同じ苦労をした、同じ研修を受けた、など、「同じ場所と時間を共有した」という事実は、その後の仕事生活にも様々な場面で心の支えになるものでしょう。なんといっても同期が一人でもいる、というのは心強い。

採用数が少ない企業の場合は、企業を超えて合同で新入社員研修を行い、そこで「社外同期」を作るというケースも増えているやに聴きます。

2.今後のキャリア展望の提示

新入社員研修に「キャリア展望」というのは、私もあまり意識したことがなかったので目からウロコでしたが、そういえば、で思い出したのが、以前の試みです。

ある企業で新入社員研修(合宿、2泊3日)をお手伝いした際、初日の夜、合宿先におよそ10人くらいの2年目社員が来てくださいました。そして、新入社員と2年目社員の「懇談会」(お酒抜き)をしたのです。

新入社員は、あらかじめ質問を考えておき、2年目社員はその質問に対して真摯に答えるというイベントです。

これは非常に有効でした。1年目社員にすれば「1年後に自分もこんな風になるんだ」「なりたい」「来年は、そちらの席に座って、後輩にものが語れる自分になりたい」とイメージが湧きました。2年目社員にしてみたら、前週まではまだ「新人」だった自分に後輩ができたことを自覚し、後輩の質問に答えている内に、どんどん表情が引き締まっていったのです。どちらにも有効な試みだったと今でも思っています。

新入社員にとっては、このイベントが「キャリア展望」を持つことにつながったのだろうと、私なりに意味づけできました。

3.剥奪的ではなく、付与的に。

剥奪的な研修をすることには、ネガティブな成果と関係があると示唆させるそうです。剥奪的とは、「今までの自分の考えとか何かは全部捨てて、新しいものを注入する」といった、たとえば、”地獄”系とか、”罵倒”系とか、”自己開示して泣く”系などが含まれると思います。

剥奪系をすると、組織コミットメントや職務業績に「負」の成果が出てしまうという研究があるそうです。(「人財育成方針がもたらす若手従業員への影響」(小川、2013))

組織コミットメントとは、「この会社で頑張ろう!」といった感覚のこと。

人は、強制されて学んでも、組織へのコミットメントは育たないものなのかも、ですね。

4.参加者の期待や欲求

この部分だけ、「ん?」となってしまいました。欲求はわかるのですが、「期待」となると、新入社員に「期待」って明確にあるだろうか、と少しだけ疑問に思いました。キャリアのある方ならば、「こういう仕事をするためのこんな知識やスキルを学びたい」という”期待”があるものですが、新社会人にとって、「何を学びたい!」という期待は、あまり言葉にしづらいのではと思ったからです。

でも、よく考えてみたら、「こんな風に学びたい」「こんな風に成長したい」というのは、誰でも持っているはずなので、新入社員なりの”それ”を私たちがキャッチして、そこに添うことも大事なのでしょうね。

・・・というわけで、「新入社員研修」の部分を今日はまとめました。

私のライフワークである「OJT」に関する知見にも興味深い内容が多々あったので、また後日整理して、このブログで報告します。

関根さん、どうもありがとうございました。
(昨年より、一層パワフルなセミナーでしたし、時々の本音トークとか、脱線が面白かったです。勉強になりました!)

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昨日のセミナーで参照されていた本たち。(私はどれも読んでいたので、ハイスピードな展開にもついていくことが出来ました。予習、大事ですね。笑)


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