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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「開始時間になりましたが、まだお見えになっていない方もいらっしゃるので、もうしばらくお待ちください」の是非を考えてみる

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先日、Twitterでフォローしている方が、こんな主旨のことを呟いていらした。なるほど、と思ったので、これをヒントに考えてみたいと思います。

「セミナーや何かの集まりで、”お時間になりましたが、まだの方もいらっしゃるので、しばらくお待ちください”というケースがあるが、遅れる人にも事情はあるだろうけれど、ちゃんと来ている人を待たせるってどうなんだろう?」(←こんなニュアンスでした)

これ、私も日頃よく考えることです。たとえば、あるセミナーに参加すると、「10時になりましたが、あと3人いらっしゃる予定ですので、5分ほど待ってみますね」と言われる。

「うー、早く起きて来たのになあ」と思ったり、5分遅れて開始されても、終了は17時で、変わらなかったり・・・。ん? 5分、どこへ消えた?と思ったり。

これが、大雪で電車ダイヤが乱れまくっていて、大半が影響を受けちゃうだろう、という状況ならわかるのです。大学の入試だって開始を遅らせ対応しますよね。

そういう公共交通機関や天候が原因でない場合、果たしてどこまで待つべきなのか。そもそも待つべきなのか。

だから、「時間なので、始めます!」ときっぱりと開始してしまう集まりや勉強会やセミナーもあります。それはそれでそういう方針なのだから、いい。ある意味、すがすがしい。

でも、開催側になると、ここが微妙なんですね。

たとえば、「5分遅れて来る」人を待たずに開始する。そうすると、その遅れて来た時間にやっていたことをその人は知らない。聴いていない。あるいは、体験していない。

到着されてから、その間の内容を講師やスタッフが説明してフォローしたり、時に、参加者同士でカバーし合ったり。

参加者同士で教え合ったりして、追いつくためのサポートをすることで、教えている側も振り返りができるので、より深く理解できるという「メリット」もあると言えばあります。

でも、遅れて来た人のフォローに別途時間を割いているという面もある。

ここを気にせず、「遅れたのは本人の問題」としてしまうと、その人が十分目標を達成できない懸念もある。

たとえば、新製品説明会だったとします。

多くの人に新製品を理解し、最終的には購入してもらいたい、とか、営業代理店として販売してもらいたい、という目的がこちらにはあったとして、遅れてきた人が十分理解できないまま会場を後にされてしまうと、結果的には、主催側にとってもデメリットが生まれるわけですよね。

だから、やはり、ちゃんと全部を伝えたい。

そうやって、あれこれぐるぐる考えた結果の、「開始時間になりましたが、まだお見えになっていない方もいらっしゃるので、もうしばらくお待ちください」となるのかなあーと思った次第。


遅刻する可能性も含めて、早めに行動すればよいのだ、というのは理想論なのだけれど、遅刻にはいろいろな事情があって、それがたとえば「保育園に送ってから会場に向かうので、どれだけ頑張っても園の関係で、これが限界という時間」にしばられてしまう状況もあるし、・・・ま、こういうケース、色々な考え方、答えがあるような気がします。

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そういえば、時効なので、こんな例があった、というのをお伝えしますと、かれこれ20年以上前のDEC時代の話。

30分以上遅刻してきた受講者さんからこう言われてびっくりしたことがあります。

「僕は遅れてきたので、これまでの内容をわかるように説明してください」

これ、休憩時間じゃなくて、講義中です。

「今、説明してくれ。追いつくために」という意味でした。

びっくりしたー。


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