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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

大切な人を亡くした人にかける言葉についての考察。

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昨年2012年から上智大学グリーフケア研究所主催の「グリーフケア」講座を受講している。先週で今季の授業は終了した。これまで、40講座が開催された。(1回が90分)

グリーフとは、悲嘆のこと。グリーフケアとは、悲嘆のケアのことだ。

グリーフケア研究所では、プロとしてグリーフケアにあたる専門家の育成をするクラスもあるのだが、私が参加しているのは、公開講座で、誰でも取れるもの。学位とか単位とか資格には関係ない。純粋の「学ぶ」ための講座。

講師には、あらゆる宗教家、そして、医師、教師、作家、画家・・・と多くの方が輪講で登場する。聖路加の日野原重明さんとか画家の永田萌さん、医師の香山リカさん、女優・小山明子さんなど著名人も登壇。それぞれの方がご自身あるいは周囲の、あるいは、お仕事で関わる多くの方のグリーフについてアカデミックに、経験から、様々な角度からお話ししてくださる。

参加者も、何等かの形で「じぶんごと」があり、それで、自分と向き合ったり、癒されたり、ヒントを得たりしている・・・ようだ。私は毎回「生と死、そして、家族や人間関係」ということに想いを馳せながら受講している。

さて、上智と言えば、というくらいに有名なアルフォンス・デーケン先生。 グリーフケア講座でもしばしば引用されているが、先日、毎日新聞日曜版を見ていたら、医師の海原純子さんが、そのデーケン先生の著書から「大切な人を亡くし、悲しんでいる人にかける言葉として、かえってコミュニケーションの妨げになるものとして以下を挙げている」と書いていらした。

ああ、わかる、わかる。やりがちだけど、深く納得!と思ったので、私の解釈も交えて紹介したい。

【悲しみに暮れる人にかけてしまいがちだけど実はNGな言葉】
●「がんばろう」

●「泣かないで」「泣いてはダメ」

●「早く元気になってね」

●「あなただけじゃない」

●「時がすべてを癒す」

●「もう立ち直れた?」

●「私はあなたの苦しみがよくわかる」

・・・・

言ってしまいがちな言葉ばかりだ。

発している方は悪気がない。いや、それよりも、元気になってほしい、励ましたい、自分にできることはないかを探って、上記のような言葉を口にしてしまう。

でも、言われた側は、それによってさらに深く傷ついたりする。

たとえば、「あなただけじゃない」と言われて、「哀しみやつらさは、他人と比較するようなものではない」と思ってしまうと、海原さんは述べている。

これは、凄くわかる。「ちょっと気持ちの上で辛くて」「悩んでいるんです」と言った時に、「皆そうだよ」と言われると、ちとがくっと来る。

それよりも、ただ黙って聴いているか、せめて「私も悩んでいる」と言ってほしい。「皆」とか「誰だって」と言われると、なんか一般化された気がしてしまうから。

「泣かないで」って、そんなことわかっているけれど、泣いてしまう方がカタルシスになることもある。

ずいぶん前のことだけれど、友人が長く闘病していた父上をかなり若くして亡くされた。まだまだ働き盛りという父上をみとり、かなり経ってから私は友人と会い、そのことを聴いた。

何も声を掛けられず、「そうだったのぉ・・・」という程度しか言えなかったのだけれど、友人がぽつりと語ってくれたことはとても印象に残っている。

「仕事には関係ないし、気を張って過ごしていたんだけど、たったひとり、先輩が『つらかったら、泣いてもいいんだよ』とそっと言ってくれて、その時、初めて号泣してしまい、でも、その言葉がとても嬉しかったんだ・・・」

気持ちは、外に出さないと処理できないことがあるけれど、大人になるとついつい心の中に閉じ込めてしまう。こんなことを他者に言ってはいけないのではないか。人前で泣いてはいけないのではないか。 長男・長女はしゃきっとしていなければ。 大人が泣くなんて格好悪い・・・・。気持ちを出すなんて・・・いけないことだ。

そうやって押し込めてしまった感情は、きっといつまでもふつふつと心にある。

グリーフケア研究所の高木慶子(よしこ)所長(シスターです)は、

「言葉にする、文章にすることは、自分自身の癒しにとても重要」

とおっしゃっていた。

悲しみに寄り添うとき、だまって耳を傾ける。共に静かに涙を流す。

上手に声をかけようと気負う必要などなく、ただそっとそばにいること、それで十分なのかも知れない。

そして、大人だから、とガマンせず、自分の悲しみを言葉にし、涙を流してもいいと自分を許すことも必要なのだろう。

海原さんのコラムには、最後にデーケン先生が紹介している「祈り」が掲載されている。これは、あちこちでしばしば耳に、目にするものだけれど、グリーフケアの場面での引用というのは、また読み方が変わってくる。


「変えられないことはそのまま受け入れる平静さと、
 変えられることはすぐそれを行う勇気を与えてください」


皆さんは、この言葉、どのように捉えるだろうか。

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