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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「答えようと思って聴いてはいけないのです」

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先日、ある勉強会に参加しました。

ファシリテーションを実践してみて、講師から難しい質問を投げかけられます。

自分も疑問に思うような内容が多く、「そうだよなー、それ、なんて答えればいいんだろう」と頭の中を「?」が飛び交うわけですが、その後、こんなフィードバックを受け、目からウロコでした。

「質問に答えようと思って聴いてはいけません」

おお、そうだ、そうだ。私だってよく「傾聴」を教える時、「コーチング」を教える時、そうやって説明しているではないか!

「まずは、質問者の質問を全面的に受容し、繰り返し、”おっしゃっていることはこういうことですね”と確認してください」


・・・・

「その際、自分の頭の中で、”なんて答えようか”と考えるのをやめるのです」

・・・・

「”あなたのおっしゃっていることはこうこうこうですね” ”そういう風におっしゃることはわかります” ”そういう風に解釈されたのですね” ”そういう捉え方もあるのですね。私はきづきませんでした”・・・と100%聴き、受け止めることが大事です。」


講師やファシリテーターをしていると、いろいろな疑問・質問・あるいは、反論が寄せられます。

その時、長年の癖で、どうしても「なんらかの回答」を示さねばならぬ、と思ってしまうのです。

お金頂戴して研修を提供しているのだから、何か「答え」を出さねば、と思うのかもしれません。

そのため、質問者が質問の内容を述べている途中から、すでに、「どう答えようか」「どう対応しようか」「どうこの場をしのごうか」とぐるぐるぐるぐるフル回転で考えてしまう癖がついています。

そうじゃないんだ。

まずは、受け止める。
その際、何も考えない。

「相手が言いたいことをきちんと100%理解しようとする」

その上で、「自分で答えを見出せるよう」何かコメントをする・・・。

なるほど。

もちろん、「答えがある研修(IT系とか)」であれば、こういうアプローチはできないでしょうが、「ヒューマンスキル系」のように「自分(たち)で答えを考えていただく」ことが結果的に「行動」に結びつくケースが多いような場合、講師は「そのためのヒントは伝えるかもしれないけれど、どんなことでも答えを講師が示そうとはしない」・・・ というスタンスを保つことも、ある面、必要なのだな、と思いました。

それにしても。

講師業28年。

質問に対する答えを一切考えずに、ただひたすら聴く、というのがこれほど難しいとは思いませんでした。

どうしても考えてしまう。
なにがなんでも考えてしまう。

・・

コーチングが難しいのも、実はここなんですよね。


なにごとも修行。修行、修行。


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さて、今週末に迫りました。

11月15日(金) 13時~17時半。


日経BP社「日経コンピュータ」誌主催、拙著『若手を育てる47のテクニック』出版記念セミナー @ 御茶ノ水 ソラシティ

今すぐ現場で使える!ITマネジャーのためのコーチング実践塾
http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro-s/seminar/nc/131115/

●前半3時間は、田中のセミナー(体験型です)
●次の1時間が、特別ゲストとの対談→「若手育成」で”これをやってはいけない”というお題をゲストから頂戴しています。私の考えと彼の考えを戦わせます。
●会場からのQ&A(30m)


残席まだあるようです。

多くのIT関係のマネージャやリーダーがお越しになる・・・はず。

ぜひ、ご参加くださいませ♪

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