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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

若手の成長に関するトップのコミットメントは重要。~人材育成は、時間がかかり、手間暇もかかることだけれども

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先日、クライアントの経営者がこのような話をしてくださいました。

「僕たちの若いころは、上司の出張についていかせてもらって、何も自分はできないながらも、上司の立ち居振る舞いだとか商談の進め方だとかあれやこれやをはたで学ぶことができた。

今は、コスト、コストと言って、『何?一人でできないの?その商談、課長だけで済ませられるんでしょ? 新人を帯同する必要、ないよね』なんてことになって、新人が学ぶ機会を与えられないなんてこともある。

それはよくないから、僕は、『出張経費くらいケチるな』と言っている。

若手が先輩や上司と同行し、そこで何かを学び成長できるのであれば、出張くらい認めなさいと。

その「出張旅費」の5万円をケチるよりも、5万円を稼ぐにはどうしたらいいかを考えるほうが楽しいし、そっちにエネルギーを使ってもらいたいから」

・・・・


ああ、いいお話です。

このブログで何度も触れているように、現代は、「若手が放っておいても、自然に育つ環境」ではなくなっています。「門前の小僧」には、「習っていないお経」はお堂から聞こえてくることもなく、門前にたたずんでいても、何も見えない、何も聞こえない。場合によっては、「これ!、門前にたたずんでいるんじゃない、邪魔だ」と言われてしまう・・・。

上司の出張に同行させてもらうこともだいぶ減り、長い目で見ると成長支援になるとしても、”いま”のコストで物事は判断されてしまう。

人の成長というのは、本来時間のかかるもので、そこに”いまのコスト”を持ち込まれると、どうしても、冒頭の話のようになってしまう。

「一人でできるんだったら、一人で出張してさ、OJTで若手連れて行くなんてやめてよ」となるわけですね。

「上司の出張に同行する」というのは、一つの例であって、根底にあるのは、「人を成長させるためには、手間暇かかるし、直接指導だけではなく、同じ時を過ごし、自分が直接経験するか、上司や先輩の経験を垣間見るか、上司や先輩の対話から学び取るか・・・そういった機会を設けることが大事」ということ。

人の成長は、「7割が自身の直接経験から、2割は他者の経験や他者からのアドバイスから、残り1割が研修や読書などから」」とも言われています。

上司の出張に同行するというのは、2割の「他者の経験や他者からのアドバイス」にあたり、出張先で何か少しでも経験させてもらえるならば、それは「7割」の直接経験にも絡んでくる話です。

今は、どの組織も時間的にもコスト的にも人員的にもあらゆる「資源」という資源に余裕がなく、だから、冒頭の経営者の言葉というのは、「おおおぉぉぉ」と感動してしまうのです。

経営者がこのように考えて、TOP DOWNでメッセージを発せられると、周囲もその価値観で動こうとするので、「人を育てること」に対する重要性は組織全体に浸透していくのでしょう。

「人が育つ組織」は、人材育成に対してトップのコミットメントがある、とある企業の人材開発部門マネージャがおっしゃっていました。

ほんとにその通りだと思います。

 

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