「これがしたい」を明確に持っていないとだめなんですか?
20代のころ、上司との面談のたびに戸惑う質問があって、それは、何かといえば、
「5年後、どうなっていたいですか?」
「10年後、どうしていたいですか?」
・・・『そんなこと知らないよ』といつも思っていました。
「5年後なんてどうなっているかわからないし、ましてや、10年後なんて」と心の中でぶつくさ文句を言っていたものです。(面談の際、上司にどう返事したか、まったく記憶にないのですが)
実際、入社して10年経ったら、部門売却があって、今の勤務先に転籍することになり、そんなこたあ、まったく想像してもおらず、「10年経ったら、どうしていたいですか?」の前に「10年経ったら、勤務先を退職してください、といわれました」というのが実際に起こったことでしたし。
5年後10年後は長いとしても、3年後にどうなっていたいか、を問われること、多いですよね。それから、「あなたのやりたいことは何ですか?」「どの道で生きて生きたいんですか?」といった質問も。
そういう「ビジョンを問われること」って、みんな、すーっと答えられるものなんだろうか?
・・・・とまあ、こんな風に悶々としていたわけですが、同じように考える人は、少なくなく、「何年後にどうなっていたい?」などと言われるのがプレッシャーという声もたまに耳にします。
ビジョンがない人が仕事にモチベーションがないか、というと、決してそんなことはなく、「これが大事」「これが好き」という”今”を生きているケースが多いのではないかと思うのです。
それではいけないのだろうか?
ビジョンがないのは駄目なんだろうか?
・・・そう思い悩む方も意外といると思うんですよね。特に、上司が「ビジョン」で生きていると。
でもですね。
「ビジョン」型でなくてもいいし、「ビジョン」型じゃない人は案外多いよ、といっている方がいます。
平本あきおさんが、その著書の中で、キャリアなどに関して、「ビジョン」型と「価値観」型があって、日本人は意外と「価値観型」が多いのではないか、と書いてます。
「今、大切なことは何か」を軸にキャリアを歩むタイプが、日本人には多いのでは、と。その積み重ねでキャリアを作っていくというやり方をしている人がいっぱいいるはず。そんなことが書いてあったのを読んで、「おお、まさに、これはワシじゃ!」と激しく首肯、首が折れるほどに。
それから、20代から「自分がやりたいことは何かを考えろー考えろー」と言われるのも何だかなー、そんなこと、まだ仕事始めたばかりでわからん、とも思っていた私にとって、大久保幸夫さんが唱える「いかだ下り」論もまた納得でした。
いわく、(本からの直接の引用ではないので、ニュアンスで再現。↓)
「20代は、寄せてくる仕事をこなす、激流をいかだでくだりおりるように。とにかく、激流を乗り越えることが大事。30代途中になったら、その中からこの山に登りたいという方向性を見つけて行く。 ”いかだ下り”型から”山登り型”へとキャリアの考え方・取り組み方をシフトするといいよ」
ってなことを大久保さんはおっしゃっています。
私のように「5年後10年後は?」というビジョンを問われるのが苦手な人にとっては、平本さんのおっしゃる「価値観型」キャリアの話、すごく納得できるのでした。
「ビジョンだ、ビジョン大事だー」
「やりたいことをすぐ見つけることが大切だー」
といわれ続けて、うんざり、という方には、お奨めの2冊をご紹介。