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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

新入社員の語る「気づき」が面白い!

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新入社員研修とOJT担当者研修が続いており、「春だなあ」と実感しています。今日は、どちらもなく、久々にオフィスに在席です。

新入社員は、今年も優秀で、非常に前向き、学習にも熱心です。しかも、仕事に対する思いがきちんとある。

インターン経験など企業で働く経験のある方も多いので、とてもとてもしっかりしています。

とはいえ、やはり、新人、研修で、何かグループワークをすると、うまくいかないこともあります。たとえば、「何時までに」「●●を完成させる」といった場合、計画が上手に立てられません。だから、想定したよりも時間がかかり、たびたび、延長申請が・・。

PDCAで言うと、Dからスタートして、CしてAをしようと思っているうちに時間切れ、なんてことがよくあります。ですから、こちらも、まず「P」をきちんと検討しましょうね、とお伝えしていきますが、やはり、P(Plan)を考えるのはとても難しいようです。

それではうまくいかないので「きちんと計画を立てよう」「役割分担をしよう」などと「リフレクションタイム」で話し合って、次の目標を自主的に決めるのですが、その「リフレクションタイム」で彼ら・彼女らが話していることがとても面白い!のです。

「どうして、うまく計画が立てられないんだろう?」
「それって、先が見えないから、じゃない?」
「じゃあ、なんで先が見えないんだろう?」
「経験したことがないからだよ」
「今、経験したことない同期同士で話し合ってるじゃん。だから、お互いに先が見えない状態で相談するじゃん。だから、うまく先を予測して動けないと思うんだよね。」
「でも、仕事場に行けば、先輩がいるでしょう。その先輩は経験者だから、同期同士ではなくて、経験のある先輩に相談するってことができるよね。」

・・・・なるほど、なるほど。

本当にその通りですよねー。

新入社員(をはじめとする初学者=初心者)に対して、「PDCAができてない」「特に、計画の立て方が下手」と中堅・ベテランは言ってしまうけれど、「経験したことがないから先が読めない」「だから計画も曖昧模糊としてしまう」というのは、確かにそうだなぁ。

「この先どうなる」がある程度予測あるいは推測できると計画も立てやすいけれど、先行き不透明な中で何かを計画するのは、難しいに決まっている。

新入社員研修では、全員が同程度に「未経験者」なので、未経験者同士の話し合いでは、その「経験のない部分」を完全には補い合えない。だから、PDCAが上手くいかない。

でも、職場には、経験者がたくさんいるのだから、相談すればいいし、相談できるはずだから、今ほどは困らないだろう、というのは、なるほどな「気づき」ですね。

さらに、こんな会話も。

「こういう”振り返り”って何のためにしているか、っていうと、今の経験を未来に活かすためじゃん」
「そうだよね、失敗しても成功しても、その経験を未来に活かすために振り返りをしているんだよね」
「いいね、”経験を未来に活かす”って・・。今日のスローガンはそれにしよう!」

時間が経ってくると、

「計画の立て方がかなり上手になってきたと思うけど、順調に行ったときのことしか私たちは考えてないよね。”こういう事態になったらどうする?”というリスクまで考えてないから、それも考えて計画したほうがいいよね」

なんてことも言うようになる。

このような会話、私がリードしているわけではなくて、新入社員のみなさんが主体的に話し合っているのです。立派でしょう?

もう脱帽です。

非常によく考えて、振り返りをするし、振り返った内容を日々次の活動に活かしていくのです。言われなくても。

新入社員、素晴らしい。

日本の将来、よろしくお願いします、とつい思ってしまいました。

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話違いますが、拙著『はじめての後輩指導』(経団連出版,初版2006)が、増刷され、第4版になりましたっ! 今でも、企業のOJT研修副読本として、あるいは、上司の「部下指導」の本として活用されているようで、とても嬉しい。テーマがテーマだけに、さほど古びてはいないような気がします。 読みやすいエッセイ風文章にしてあるので、よろしければお読みくださいませ。

それから、今、新しく「若手育成」の本を作っています。 こちらもお楽しみに♪

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