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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「いのちは大切だ」ではなく「あなたが大切だ」と言う

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どんなに天邪鬼な人にだってきっと「承認欲求」はあるはず。たとえ、口に出さなくても。自覚していなくても。

自分の行為、自分の発言、自分の成果。それらを認めて欲しい。Facebookで言えば、「いいね!」と言って欲しいという感じ。それが承認欲求だと思う。

究極の承認は、自分の存在そのものに対して与えられるもの、ではないだろうか。

先日、渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)を読んだら、こういう一節があった。

「よく、命は大切だ、という言い方をするし、多くの人がそんな風に言うけれど、”命は大切だ”という客観的な言い方ではなくて、”あなたが大切だ”と言ってほしい。”あなたが大切だ”と言ってもらえたら、それだけで生きていける」 (←こんな感じのことが書いてあった。)

ああ、確かにそうだなあ。

一般論としての「いのちは大事」はわかるけれど、もっと嬉しいのは「私が大事」と誰かが言ってくれること。それだけで元気も勇気も出てきそう。

それで思い出すのは、別のブログですでに書いたことなのだけれども、

”Thank you for showing me that I do count!"

というコトバ。 コーチングで有名な鈴木義幸さん著『コーチングのプロが教える「ほめる技術」』(日本実業出版社)に出てきた言葉。鈴木さんが昔、アメリカで働いていた時の出来事として書いていること。(以下、丸ごとコピーします)

刑務所で女性の囚人を対象としてカウンセリングをしていた。幼児虐待を繰り返されて育ったその女性は、結局自分も幼児虐待を行い、収監されていた。

鈴木さんは、彼女の話をいつもじっと聴いていた。

このカウンセリングの最後にもらった手紙に書いてあった。 ”Thank you for showing me that I do count!”。

「生まれて初めて、私は生きている価値があることを知った。それを教えてくれたあなたに感謝!」ということだろう。

countの前にdoがついているところに、彼女の強い感動が表れているような。


親が子どもにできること。
周囲の大人が子供たちにしてあげられること。

「一人ひとりの命は大切なのよ」と伝えるだけではなく、目の前の一人に向かい、「あなたが大切」ときちんと伝えること。

そして、ギュッと抱きしめること。

長年教師をしている友人が、正月、私が実家にいるというので立ち寄ってくれて、その時、妹(甥っ子の母)にこういうアドバイスをしてくれた。

「何かあったらね、とにかく、我が子をギュッと抱きしめることだよ」

あなたは大切。
あなたが大切。

私はあなたの味方だよ。

それを言葉とハグで伝える。

きっとそういうことなんだろう。

私も甥っ子に向かって同じように伝えたい。

【『置かれた場所で咲きなさい』 】
この本には、他にも心に沁みるコトバがたくさん出てきました。

「子どもは親や教師の「いう通り」にはならないが、「する通り」になる。」(P.54) 「希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること。」(P.88)
など。


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