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『もう、怒らない』を読んで、「怒り」のコントロール法を学ぶ

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中年になって、何が楽になった、って、とにかく、「怒り」を感じるシーンが激減したことです。激減というか、もう皆無に近いと言ってもよいかも知れません。

この前、いつ「怒り」を感じたか?・・・・思い出せません。

もちろん、不快感とかぎょぎょっと思うキモチはないわけではなく、これも広い意味では「怒り」にカテゴライズされるのだとは思いますが、「きーーーーーーーっ」とか「怒!」といったキモチになり、声を荒げる、だの、ぶりぶりして心臓バクバク、という事態に陥ることはほぼなくなりました。

思えば、思春期のころ、特に中1の頃は、何に対しても怒っていました。今の言葉でいえば、「むかついて」いました。まあ、これは、成長期だから許される、というか、通過儀礼だとしても、20代、30代でも、色々と怒っていました。

「何が悪い、これが悪い」「誰が悪い」など。なんだか、色んなことにネガティブな感情を持つ場面がありました。20代30代とだんだん自分に自信がついてくる時期でもあるので、これもまた通過儀礼だったのかも知れませんが、いずれにしても、狭量であったことには違いありません。

だから、40代後半になって、そういう心の揺らぎがほぼなくなってきたことは、とても嬉しい。いろいろ言われても、何かあっても、「まぁ、そーゆうこともあるわなぁ」「そういう表現方法を使う人なんだなあ」などとだいぶ冷静に感じられるようになったのです。

よかった、中年になって。

さて、それでも、「怒り」の感情には興味あるので、こんな本を読んでみました。

● 小池龍之介さん 『もう、怒らない』 幻冬舎文庫

かの有名な、「東大卒の若きお坊さん」の本です。

ムカつきの原因は、「不当に扱われた」と感じること

とあります。ああ、そうかも。自分が不当に扱われたと自分の中で評価を下すため、それがムッとしたり、不機嫌になったりする要因となる、と。なるほど。

さらに、

怒りは嫌なことを一時的に忘れさせる

ムッとしないほうが幸福であるに決まっています。・・・にも関わらず、・・・つい不機嫌になり、自分にダメージを与えてしまうのはなぜでしょうか。

それは、怒りの感情は、電気ショックのような強い刺激を心に与えるからです。


(・・・は、略の部分)

つまり、「怒りで激しいエネルギーを生じさせると、その他もろもろを一時的に忘れさせてくれるから、つい、自分のためにもよくないと知りつつ、怒ってしまうのだ、と。

これに続けて、「怒りが個人の中にたまっている間は自分にダメージを与えるだけなのだが、発信されることで、双方にダメージを与える」なんてことも書いてあります。


電車の中でも、仕事場でも、あるいは、ソーシャルネットワークの場でも、「怒り」を表現する人に出くわすことがたまにあるのですが、そーゆうことかあー、と妙に納得してしまいました。

で、小池さん、仏教の観点からいろいろな対処法を説いているのですが、これは誰でもすぐ使えると思ったものがこれです。

他人の言葉や口調に腹が立ってきたら、その怒りの中身を即座にカギカッコに入れ、≪「あんな言い方しやがって!」……と思っている≫と心の中で念じるのです。 怒りの中身をカギカッコに入れ、≪……と思っている≫と唱えていると、その感情が事実ではなく、単に自分の頭の中でつくり上げられただけの考えにすぎないことに、心がハッと気づきます。

この対処法、とても、ステキだと思いました。

たとえば、もし、感情的なメールを受け取って、心が怒りの方向に揺らぎ始めたら、「売り言葉に買い言葉」で返信を書く前に、「私、こーゆうメールに対して、ムカっとした。”なんだよ、このメールは!”と思っている、そう、思っている私」と唱える。

たとえば、車内でどすっと誰かに押され、何よ!?と思っても、「あ、私、この見ず知らずの人に”何するんだよ!”と思ってる」とカッコつきにする。

簡単に試せそうだし、カッコつきの会話を脳内で展開している内に、「何にムカついた」のか、忘れちゃいそうですよね。


というわけで、今週のおすすめの一冊でした。

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