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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

大人には「利害関係」のないつながりも時に必要かも知れない

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ステークホルダー=利害関係者。

この言葉を聞くようになってからかれこれ10年、いや、もうちょっと前からでしょうか。

仕事をしていると、まずは、利害関係者のことを考えなければなりませんし、互いの利害をよく考えてお付き合いしなければなりません。コミュニケーションの仕方も問題の調整の仕方も「利害関係者」に配慮することが大切になってきます。

とにかく、常に「利害」がある「関係」を意識しているのが、仕事なのだと思います。

そんなわけで、「利害」が関係ない間柄、人のつながりってのは、とても貴重なものになってきます。

昨日(1/20)、不肖わたくし、誕生日でございましたが、数日前に「誕生日だし、飲みませんか?何人か集まりそうだし」というお誘いをさる男性から頂戴しました。

この男性は、「朝イチ倶楽部」(※)のメンバのお一人で、”20日は誕生日だけど、誰か一緒に飲みませんか?”とTwitterなどでぼそっと言っていたのを見かけて、声をかけて下さったのかな、と思っておりました。

※ ここで「朝イチ倶楽部」について解説。

2009年7月~2010年7月のたった1年限定で、日経BP社が「携帯メールアドレスにだけ送る週刊メール配信サービス」というのをやっていました。サービス名は、「日経BPケイタイ朝イチメール」というもの。

月曜から金曜まで5人の執筆者がいて、コラムが配信される仕組みです。(無料)

私も執筆者の一人で、水曜日(後半は月曜日)に「コミュニケーションのびっくり箱」というタイトルのコラムを書いていました。終了時点では7500人程の登録者がいて、読者の一部の方たちとはTwitterなどでつながっていました。

連載終了(2010年7月)後もTwitterでの交流は続き、なんとなく「逢ったことはないけれど、仲良し」になってきたので、ある時、「遠足しよう」と呼びかけたら、初対面の読者の皆さんが5人(!)集まり、実現。その後、「忘年会」「名古屋の読者の方との名古屋会」とちょっとずつ呼びかけては開催している内に、この読者の集まりを「朝イチ倶楽部」と名付けることに。

そんなこんなで、年に何度もいろんな理由をつけて会う集団ができあがりました。本部?は東京にありますが、名古屋や大阪にも、カリフォルニアにも支部があり、それぞれの地域での読者の方たちと時々呑み会を開いています。

(もう連載が終わって1年半になるというのに、連載期間の1年を超えて、その後の交流の方が発展している、というフシギな現象です)

Facebook上にも非公開グループで「朝イチ倶楽部」を開設し、読者同士の交流が図られています。7500人以上いらした読者の内、登録されている方が50人。(最近になって”発見される”読者の方もまだいるので、ちょっとずつメンバ数は増えているのです。)

最初は、執筆者である私が、連載読者の方とリアルに逢えたらなあ、という想いで声をかけていたのですが、最近は、どんどん分科会が出来上がっていて、皆さんが好き好きに企画しては呼びかけ、色んな集まりが実現しています。毎回参加するメンバも様々です。

すでに、

○ゴルフ部
○カレー部
○日本酒部

なんてものが立ち上がりました。

なんというか、チョー自律的組織で、「私、日本酒を飲む部を立ち上げたい」と言いだしっぺがアレンジして、会合を開き、定例化する、という仕組み。

(連載の執筆者と読者でできている「朝イチ倶楽部」というのは、連載を企画していた日経BP社のプロデューサー氏も「なんで、こんなことになったのか、わからん、不思議だ」と目を点にしているという状況です(笑))

話は、昨日の夜のことに戻します。

朝イチ倶楽部のメンバからお誘いを受け、夜を楽しみに1日を過ごしました。

ランチタイムに職場でTwitterを開いて見ていましたら、タイムラインに異変が起こったのです。
なぜか、読者の方たちが、意味不明のカウントダウンツイートばかりしているのです。

「あと50分」
「やべ、あと45分だ」
「あと30分、どきどき」
「あー、25分切った」

などと。申し合わせたように、時間を数えている。ん?何がある?何かある? 

「あと1分」

なんだ?

その時、同僚で、しかも、読者でもあった女性が私を呼びに来ました。呼ばれた先に行くと、ガチャピンのぬいぐるみが。

「朝イチ倶楽部の皆さんから電報が届いています」と。

うわ、スゴいサプライズだ!

後で聞いたら、「電報を職場に送る」「電報を手渡しするのは淳子さんの同僚に依頼する」「電報を手渡しする時間は12時40分」「それまでは、皆で”意味不明なカウントダウン”ツイートを流す。流し方は自由」などということが、ナイショで打ち合わされていたそうです。

夜の宴会に行ったら、電報を送ってくださった読者の方が集まっており、さらに、名古屋やカリフォルニアにいらっしゃる読者の方ともスカイプで中継をつなげてくださって、リアルタイムに会話したりして(カリフォルニアは午前3時でした)。もう数々の仕掛けがあってびっくりしました。

「淳子さんが寂しそうだから、誕生会を開いてあげよう」的スタートをした企画らしいのですが、1月16日くらいからのたった5日程度であれこれ密かに準備してくださっていたそうです。(互いにメールアドレスやTELを知っているわけではないので、TwitterやFBのメッセージなどでやり取りされたとのこと)

宴会会場にいらしたのは7人(+名古屋で2人+カリフォルニア1人)でしたが、企画自体には31人が関わってくださったとか。

なんだかスゴイことです。こんな風に皆さんにかまっていただけて、本当に私は果報者です。皆様、心からありがとうございましたっ!


で、この関係、なんでこんな風に発展し、継続しているんだろう?と考えるに、おそらく、互いになんの「利害関係」もないからなんだろうと思うのです。

年齢もまちまち、出身地も職場も業種も職種も全部違う。社会的?地位も異なる。

でも、共通項は、ただ「私のコラム」を読んでくださっていた、というだけ。(だから、ノリが似ているのかも知れませんが)


利害関係がないから、ほっとする。利害関係がないから、たまに逢うと、色々な日頃の憂さ(があれば)を晴らすこともできる。

大人になると、社会のしがらみ、たくさん気を遣う関係に取り巻かれているから、こういう風に「なんということないけど、ゆるーくつながっている、でも、バーチャルじゃない、リアルな仲間」というのがとても貴重で大切なものになるのかも知れません。

色々な連載をしてきましたが、書いている側としては、「どなたがどんな気持ちで読んでくださっているのだろう?」といつも不安を抱えています。こうやって「リアル」な読者の方たちと逢えて、「連載を読んでいた理由」をお聞きし、それがとても多岐にわたった理由だったことにも感動し、「自分が書いたもの」がこういう風に届くのだなあ、と感慨深い思いを持ったものです。

よもやさらにお友達になれるとは。 執筆者冥利に尽きます。ホント。深謝です。


【ガチャピンとムックの音声電報】
二人で「お誕生日おめでとー」などとしゃべってくれます(筒の中には印刷されたメッセージも!)

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