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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「いのち」を考える3冊:「NICU」「震災」「遺族」に関連して

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私が興味を持っていることというのは、子供の頃から(おそらく中学生の頃から)、「人」でした。「人間ってのは、どうしてこういう行動をとるのだろう」とか「人は、なぜ、こんな気持ちを持つのだろう」とか「なぜ○○な人と××な人がいるんだろう」とか。

高校生の頃は、「カウンセラー」という職業に憧れたものの、心理学科に入学するには、「数学」の力が必要だと書いてあって(統計処理などをするから)、”こりゃ無理”と断念。次に、「学校の教師」になろうと、教員養成課程を目指したけれど、浪人中に「いわゆる”社会人経験”(←先生も社会人なんだけれど)がない学生がそのまま教師になって、”先生”と呼ばれるものなんだな」と方向転換し、結果的には、教員養成系ではなく、純粋に学問として「教育学」を学ぶ学科に入りました。

オモシロいと思う科目は、教育学以外に社会学、心理学、哲学・・とにかく、全部「人」に関するものばかり。

新卒でDECに入って、コンピュータの技術者に、技術を教えるという仕事に就いたのも、「人に何かを教える」そういう、人間対象の仕事だったからです。結果的には、「人」の要素ではなく、「コンピュータ」の世界がちーっとも肌に合わず(まったくセンスがなく)、そこからは早々に足抜けし(といっても、10年は頑張った!)、ヒューマン・スキルの勉強を始め、現在に至っています。

人生の折り返し地点も過ぎ、甥っ子が生まれたり、両親も年老い、自分も「れっきとした」中年(高年?)になってきたりした中で、最近は「いのち」のことを考えることも増えてきました。

これもまた「人」です。

そんなわけで、最近読んだ「いのち」を考える3冊。(以前紹介した1冊も含め)

●宮崎雅子 『NICUのちいさないのち』 メディカ出版

NICUとは新生児のためのICUです。以前も書いたように、甥っ子は、8か月で誕生し、2か月近くNICUにお世話になりました。生まれた直後は呼吸器をつけられていたのですが、すぐに呼吸器なしでも大丈夫になり、ちっちゃな癖にNICUで一番でっかい声で泣いている、という話を漏れ聞き、「おお、頑張ってほしい」「いいぞ、いいぞ」とずっと応援していました。

今では、2歳7か月のやんちゃな男の子になりましたが、この本を見ると、「ああ、低体重児ってこんな感じだな」とか「そうそう、皆必死で生きているのよね」と思ったり、医療従事者がどれほど懸命に命を守ってくれているかをしみじみと感じます。

「生まれてきてくれてありがとう」と原点に戻れる1冊です。(フォトメッセージと銘打ってあり、たくさんのちっちゃな赤ちゃんの写真と共に、両親や医療従事者の愛情あふれるコメントが載せられています。) 赤ちゃんの様子がなんともかわいいのです。

●石井光太 『遺体』 新潮社

東日本大震災。釜石を舞台に亡くなった方たちをどう弔ったかを追ったドキュメンタリーです。いろいろな登場人物が時系列で登場するオムニバスになっています。

当初、現地の方でも何が起こったかわかっていなかったそうで、「遺体安置所に行ってほしい」と言われて、ボランティアをしようと出掛けた先であまりの人数の多さに愕然とした・・。そこに探しに来た家族のケアに心を砕き、亡くなった方を最後まで「人間の尊厳」が保てるように大切に接していく様子に、身震いするような一冊でした。

うまく表現できないので、とにかくまずはお読みいただきたい1冊です。

●リディア・フレム 『親の家を片付けながら』 ヴィレッジブックス

一人っ子の著者は、両親を亡くしたことで「孤児」になり、両親の家を片付ける役目を追うことになります。「両親が私にあげたかったかどうかもわからないものを全部相続してしまった」と悩み、片付けながら出てくる思い出のある品や、なんだかわからないけれど大切にとってあった風なものを見る度に愕然としてしまうのです。とてもつらい作業だ、と。あれこれと思い悩み、悲しみに暮れ、それでも、やらねばならぬ、と片付けを続けながら、徐々に気持ちが再生していく様子を記しています。

人は誰もが最後には「孤児」になる、と書いてあり、考えたことはなかったけれど、「孤児」になる、ああ、そういうことだ、と改めて思いました。

いつかくる道です。


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