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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

いい「先輩ヅラ」

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先日あるワークショップで、こんな会話を交わしている場面に遭遇しました。(教室内をぐるぐる歩いて見て回っていた時のことです)

Aさん:「・・20代の内は、いろいろ経験しておいたほうがいいよ。つらいこととか大変なこととか」
BさんとCさん:(二人そろって大きくうなずきながら)「はい、そうなんですね」
Aさん:「そういうものだよ。20代って大事だよ。若いうちにいろいろ無理も経験しないとな。ねぇ、田中さん」(と、ここで脇を通った私は声をかけられた)
田中:「ええ、そう思いますねぇ、30代40代になっていろいろ経験しなくていい、という意味ではないけれど、一番体力のある20代に頑張って踏ん張っておくと、”このくらいなら行けそうだ、がんばれそうだ”という自分の基準みたいなものも作れるし」
Aさん:「でしょう?ほらぁ~、だから、君たちもがんばれよ!」
BさんとCさん:「はい・・・」
田中:「ところで、3人はさほど年齢が離れていないようにもお見うけしますが、Aさんは、おいくつなんですか?」
Aさん:「え?俺っすか?30です」
田中:「Bさん、Cさんは?」
Bさん:「27です」
Cさん:「28です」
田中:「むむぅぅぅぅ。Aさん、ほとんど変わらないじゃないですか。すんごく先輩なのかと思って聞いていたら、2つくらいしか違ってないじゃないですか」
Aさん:「え?そうなんだ・・・(ぽりぽり)」
田中:「Aさんももっと頑張らないとっ!」
Aさん:「(でへへへ、と頭掻きつつ)そうっすね。がんばりますっ!」

・・・・・・・

ほぼ実話、ほぼリアルな会話を再現しました。

先輩は先輩ヅラしたいのだなあ、とほほえましく思ったシーンです。

いや、いいのです。

「先輩ヅラ」は、ただ「上から目線」になることもあるし、「自分のことは棚に上げて」となってしまうケースもあるけれど、でも、、後輩ができたら、「先輩ヅラ」をするのは悪くないと思います。

何か相手に言うためには、自分がしゃんとしないといけないし、それなりの「一家言」を持ってないと言葉に重みがないし。

弟・妹ができて初めてお兄ちゃん・お姉ちゃんらしくなることがあります。
後輩ができてこその先輩だし、部下がいるからこその上司です。

だから、いい「先輩ヅラ」なら歓迎されてよいはず。

そういえば、もう20年以上前の話ですが、入社3年目くらいの後輩(男性)がその年の新入社員(女性)の育成担当になりました。いわゆる、OJTトレーナーという役割ですね。

女性の後輩を指導する、ということもあってか、とても舞い上がってしまい、毎日楽しそうに後輩指導にあたっていました。(朝からご機嫌だったのをよく覚えています)

彼はその当時25-6歳だったはずですが、後輩に教える際、よく「どれどれ? おじさんに見せてご覧」というセリフをはいていました。

その「どれどれ? おじさんに見せてご覧」がおかしくて、私たち先輩たちがよく真似していました。さらに、私たちから見れば、彼もまた後輩なので、ベテランの方がからかって「おじさん、ちょっと」と声をかけられたりもしていました。

すると、「自分で自分を”おじさん”というのはいいけど、他人から言われるとちょっと抵抗があるなあ」とブツブツ文句を言うのです。

なるほど。

「どれどれ? おじさんに見せてご覧」は自分のセリフだからいいけれど、他の先輩から若い自分が「おじさん!」と声を掛けられるのは、いやだという気持ちも理解できますね。

「おじさん」とわざわざ自称することもないけれど、先輩になったのであればそのことを自覚するためにも「先輩」らしい振る舞いをし、それを後輩に「先輩ヅラ」として見せたいのであれば、”いい”「先輩ヅラ」をしたいものです。

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