プレゼンテーションのコツ
普段は自分が喋る機会のほうが多いのですが、それでも、やはり、いろいろな講演会やスピーチを聞くこともまたあります。
お話の中身はさておき、プレゼンテーションの「スキル」面で、こうだったらいいのになぁ、と感じることが時々あって、たいがい、それは共通している気がします。
本当に「ほんの少しの配慮」でずいぶんと「聴き手に優しいプレゼン」になるのに、と思うのです。
講演だけではなく、仕事における提案プレゼンとか対面式で紙の資料を使いながらの説明でも同じです。
たとえば・・・。
1.資料にはページを振り、ページ番号を口頭で常に伝える
「次のページをご覧ください」と言っても、その「次」が、正しく認識されるとは限りません。「3ページをご覧ください」と言えば、一意に決まるからです。時々、とりあえず、最後のページまでめくって確認する聴き手います。いざ、元に戻ろうとしたとき、「今、どこやっているのか?」がわからなくなる場合もあるのです。(聴き手が悪いわけではありません。全体を把握したい気持ちになるから、先に全部を見ておくのでしょう。)
2.指定したページをめくる様子を観察する
プレゼンタは、たいてい、聴き手より先に自分の手元の資料をめくったり、投影しているスライドを次画面に替えたりしています。聴き手は、遅れて資料のページをめくります。このタイムラグを配慮せず、話をし始めてしまうと、最初の部分を聞き逃すことがあるのです。また、ちゃんと「3ページをご覧ください」と伝えたとしても、聴いていない人はいます。不真面目で聞いていないのではなく、たまたま、メモを取っていた、とか、さっきの話を考えていたといった理由で指定されたページ番号を聞き逃すことはあるのです。だから、もし、「どのページだ?」と戸惑っている様子が見て取れたら、再度「3ページです」と声をかけるとより親切です。
3.投影しているスライドが手元に配布した資料に含まれていない場合は、「これはお手元の資料にはありません」と速やかに知らせる
講演やセミナーでたまに(いや、よくある)のですが、配布されている資料と画面に投影されているものとの分量が異なるケース。講演する側の気持ちになると、これ理解できます。資料の提出日が、講演の1か月前だったりするので、講演当日までに新たに得た知識や情報、あるいは、自分の考えを追加したくなるのですね。それは、聴き手にとってもより新しい、より役立つだろう、という思いからです。
当然、会場で配布されているものと差が出てくる。この時、案外多くのプレゼンタが何も言わずにずんずん進める。会場では、ページを前後にめくりまくる音ががさがさっ、がさがさっと。一通り全部めくって、「あ、ないのか」と思い、ようやく目の前のスクリーンを見ると、話は先に進んでいたり、下手すると、メモ取りたかったのに、画面が替わっていたりします。それなら最初に「これはお手元の資料には含まれていませんよ」と言ってくれればいいのに、なのです。
4.指示代名詞を極力使わない
「ここをご覧ください」「ここからこちら側にデータが流れます」「この装置からこちらの装置に信号が送られて、こうやって動くのです」「ここに線が引かれているの、わかりますか?」など、「ここ」「これ」「こちら」「この」といった指示代名詞を使われると、聴き手は戸惑うことがあります。手元の資料も合わせて見ていると、プレゼンタが指示した「ここ」「これ」がどれだか特定できず、目が泳いでしまうこともあります。
こういう時、できるだけ、名称や位置関係で示すと、聴き手にとってうんとわかりやすくなります。たとえば、「画面右上をご覧ください」「右側のAという装置から左側のBという装置に」「上から3行目の」・・と言ったようにです。ポインタで指示してももちろんOKですが、言葉でも言い添えるとよりわかりやすくなります。
5.左右を間違えない
指示代名詞を避けて、「右側の」と言うようにすると次にくる落とし穴がコレです。「右側にある」とプレゼンタが言うので、画面の右側に注目すると、該当する項目が書いておらず、少し遅れて左側まで見ると、「あった」というケース。前に立って話している人間は、たとえば、自分の右にスクリーンを置いて話している場合、聴き手から見て画面の左側に投影されているものが、自分から見た場合、右奥に位置していることになるので、よく言い間違えるのです。
ジェスチャーも同じです。「左側に」と言いつつ、自分の左手を出してしまう。見ている側には逆(右側を示しているように見える)になるので、「ジェスチャーと言葉のどちらが正しいのかな?」と一瞬、んんん?となる。「バスガイドさんの気持ち」になってジェスチャーを使わないといけないのですね。
・・・・・以上、ほんの一部を紹介しました。しかも、いずれも些細なことです。
プレゼンテーションの本質にあまり関係ないのですが、これらがちゃんとなされていると、それだけ、聴き手は話の内容そのものに意識を集中できるので、案外侮れないのです。