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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

ホテルに置いてある「支配人への手紙」

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割と宿泊出張が多い方です。いや、何をもって多いと言うか、基準もありませんが。とにかく月数回。

たいていはホテルに泊まります。(合宿研修施設であれば、寝食ともにして、というケースもたまにはあります)

ホテルのひきだしには「支配人への手紙」という紙が入っています。これ、同僚に聞いたら、「そんなの書かない」という人が圧倒多数だったのですが、私は、8割くらいの頻度で書きます。

クレームを書くこともあれば、要望(こうだったらいいのになあ、ということ)を書くこともあります。

以前、札幌のビジネスホテルに連泊した際、仕事を終えて、部屋に戻ったら、私の旅行鞄の上に、前日のシーツがかぶさっていたことがあり、「ちゃんとチェックしてくださいね」なんてことを書きました。(この時はチェックアウト時にもフロントの方に直接、伝えました)

大阪の、ちょっと古いホテルに宿泊したら、浴槽に黒い「点」がたくさんついているので、なんだろう?と思ったら、排水溝から湧いてきたと思われる小さな虫だったので、それも書きました。(これも、チェックアウト時に口頭でも伝えました)

こんな風に明らかに「クレーム」として伝えてよいと思われる場合だけでなく、「もうちょっとこうだったらいいのに」と思うことも書いておきます。

朝食のビュッフェの導線が著しく悪いケースがあります。「こういう導線だったらいいのに」なんて書いてしまいます。

こういう「クレーム」「要望」を書く際、気を付けないと感情的になってしまうことがあるので、きわめて冷静に、しかも「文句」ではなくて、「こういう事実があった」「こうなっていたらよいと思う」と前向きな表現を使うよう心がけています。

たとえば、こんな風に。

●感情的な例(こうなりがち):「お風呂に虫が湧いていました。もう気持ち悪くて入浴できません。衛生面など一体どうなっているんでしょうか?信じられません」

●冷静に書く(こう心がけている):「浴槽に小さい虫がたくさん止まっていました。2日共です。確証はありませんが、排水溝から這い上がってくるように思います。気持ちよく宿泊したいので、点検してみてはいかがでしょうか?」

前者の書き方をしてもいいんですが、この文章が誰の目に留まるかわかりません。たとえば、本当に「支配人」が読むかも知れないし、各部署のマネージャが読む可能性もあるし、清掃係の方にもコピーがわたるかも知れません。文章を見た時に、あまりに「事実ではあるけれど、書き方がきっついなあ」と思わせるような書き方は、やはり、あまりしたくないのです。

というのは、私自身が常に、お客様からの評価と向き合っています。受講者からのアンケート。当然、自分も上司も目を通します。お褒めの言葉をいただくこともあるけれど、とても厳しい口調の文面が並ぶこともあります。この時、自分が原因を作っていても、やはり、心にぐさっと来るんですよね。人間ですから。「確かに、そういう風に感じさせたことは私の非である。次は気を付けよう。でも、この表現はきっついなあ・・・」と思うこともやはりあるのです。

だから、自分が評価者になる時もできるだけ、「穏やかな表現」を使おうと意識しているわけです。


あ、それから、上記のように指摘した後に再度宿泊し、改善されていたら、その時もちゃんと「支配人への手紙」を書いて帰ります。

「前回宿泊した際、●●のことをお願いしました者です。今回は改善されており、気持ちよく滞在できました。また来ます」といった感じで。

クレームだけではなく、良いこともちゃんと書いてお伝えした方が、相手も張り合いがあるかな、と思いまして。(ま、当事者の手に届くかわからないのですが)

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