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2022年最も残業の多い職種はコンサルタント?!! コンサルタントの残業について語る

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こんにちは。

コンサルタントの皆さん、おめでとうございます。
dodaが毎年集計する平均残業時間ランキングの2022年度で、ついに「ビジネスコンサルタント」が1位になりました !!

この「ビジネスコンサルタント」という区分けには、我々ITコンサルタントも含まれていると思われます。

2022年度で最も働いているのはコンサルタント!

みなさん、お疲れ様です!

さて、私は、これはある意味、当然の結果ではないかと思ってます。いや、むしろ、なんで今まで1位でなかったのかが不思議です。

理由は以下に4点、説明します。

1. コンサルタントは基本、仕事内容が面白いと感じており、職人気質でかつ知的好奇心が旺盛である

コンサルタントの仕事は基本的に課題分析と解決策の提案です。つまり、クライアントのビジネスや業務を分析して、一定の傾向を洗い出し、それをもとにクライアントに対して優良な解決策を提案し、その実行計画をたてるところがコンサルタントが一番得意とする仕事となります。

コンサルタントで成功している人はこの一連の思考過程を楽しんでいます。ある意味、コンサルタントはコンサルティングの業務自体に対して「職人的な気質」を持っているのです。

従って、プロジェクトが始まると、他の時間を削ってまで業務に没頭することがよくあります。こうした、業務に対する「没頭性」が、良い意味で業務時間、残業時間を増やしています。

さらには、コンサルタントは、物事を知る、新しいものを知ることに対してものすごく知的好奇心が強い人種と思います。

大手のファームの社内ではこうした人々たちが自主的に勉強会を行なうことがよくあります。そうした時間は通常の業務時間外に行われるため、こちらも残業時間を増やしているはずです。(残業扱いにしていない可能性もあり)


2. コンサルタントの仕事は納期のあるプロジェクト型である

コンサルタントの仕事のスタイルはクライアントと決めた納期までに要請された業務成果を出さなければいけません。

最初にコンサルタントのマネージャーがプロジェクトの計画スケジュールを作成します。ただ、コンサルタントの仕事はクライアントに左右される業務のため、往々にしてスケジュール通りにいかないことがあります。

そのため、その場合はスケジュール通りに終わらせようと業務量を増やして残業して対応することもよくあります。

またクライアントと決めた納期は、通常(クライアントの社員が行う)より短期間に設定される傾向にあります。(セールスアピールもある)つまり、「短期間に難易度の高い業務を行う」ため、結果として、納期内に終わらせようとすると、さらに仕事量、残業量が多くなるのが普通です。

また、アウトプットの品質についても、多くのコンサルタントは妥協したがりません。つまり、コンサルタントは一度行った業務成果に対して、もっと良い品質になるのではないか、と考えたり、または、上司のコンサルタントに、もっと良い品質の成果が出るはずとダメ出しをくらったりして、何度も思考過程を繰り返すこともよくあります。こうした、品質に対するあくなき探求も業務時間や残業時間を限りなく増やす要因となります。

特にこの品質に対する完璧性はプロジェクトの中間報告や最終報告前には特に顕著になります。往々にして報告会の前日は徹夜となることも多いと思います。


3. 大手ファームのような大企業には若手社員やコンサルタントに向いていない人もいる

コンサルタントの業務は基本的にチームで行います。そのチームは、通常ベテラン以外に若手社員が混じっています。これは大手ファーム側の方針としてプロジェクトチームで若手社員を育てていくというルールがあることと、プロジェクト側も、限られた予算全体の中でチームを組む際、単価の安い若手をいれる場合があるからです。

こうした若手社員はプロジェクトのマネージャーやベテランの人にOJTを受けながら業務を行なっていきます。つまり若手社員の業務は勉強も兼ねて行なっているため、通常のスピードでアウトプットをだそうとすると、必然的に人より業務量が多くなり残業します。

また、それ以前に大手ファームのコンサルタントは全員が優秀なわけではなく、中堅クラスでもコンサルタントに向いていないタイプの人(例えばドキュメンテーションが下手な人)もいます。

そうした人がプロジェクトで一定レベルの品質を出そうとするためには、他の人より多く業務を頑張らなければいけません。また、そのうまく出来ないことが本人だけでなく、チーム内の他のメンバーやリーダーの残業を増やす可能性もあります。


4. コンサルタントの仕事の半分はクライアントとのコミュニケーションにある

コンサルタントは課題分析など、プロジェクトの前半段階ではインプットを得るため、クライアントへのインタビューを行います。また、後半に、解決策やソリューションを検討提案する際には、クライアントとのグループディスカッションが必要となります。

さらにプロジェクト管理の観点から、コンサルタントとクライアントの定期的な進捗会議や複数回にわたる報告会も必要なことです。

それ以外でも、キーパーソンやクライアント側のチームメンバーとは日常的にコミュニケーションをとって進めていくことが求められます。このように、比較的没頭できる報告書などのドキュメント作業と並行して、こうしたクライアントとのコミュニケーションも非常に多いことが、全体の業務量や残業量が増える原因でもあります。

このように、コンサルティングの仕事は残業が増える要因が満載です。
また、そもそもコンサルタントの価値観として「クライアントファースト」、つまりクライアントがコンサルタントに高いフィーを払っている対価として最高品質の業務成果を出さなければいけないという「プロフェッショナル」の考え方が浸透しています。

つまり、「業務成果の品質のほうが、業務量の適正化より優先度が高い」ことが根本にあります。ですから、今回のテーマについては以下のように考えています

「コンサルタントが残業しても、それは問題ない。業務成果の品質を高めるための残業は良い残業である !」

従って、この業界で残業したくないのなら、(少ない時間で高レベルのアウトプットが出せる)超優秀なコンサルタントになるか、またはコンサルタントを辞めるか、のどちらかだと思います。

さて、それでは、このような「コンサルタント」「ビジネスコンサルタント」職種は今までランキング的にはどうだったのか、dodaの過去ランキングを調べてみました。

2018年 4位 40.5時間(その年の1位はゲーム制作、開発)
2019年 5位 34.4時間(その年の1位は設備施工管理)
2020年 8位 27.2時間(その年の1位は教育、スクール)
2021年 12位 27時間(その年の1位は設備施工管理)
2022年 1位 37.1時間

すると、コロナ前の2018年は、なんと2022年より多い40.5時間残業しているにもかかわらず、ゲーム制作に代表される他の仕事の残業が多いため4位。

また、2019年から2021年は、多分コロナ禍での不況のせいで落ちていると思います。そして、コロナ禍が少し開けてきた2022年に37.1時間で、他の業種がそれほど戻らない中、第1位になったようです。

つまり、予想通り、今までもランキングに関わりなく、「コンサルタントは残業の多い職種であった」ようです。

参考までに、今回のdodaのランキングを5位まで書いておきます。

1位 ビジネスコンサルタント
1位 プロデューサー、ディレクター、プランナー(出版、広告、web、映像関連)
3位 施工管理
4位 商品企画、サービス企画
5位 運輸、物流サービス

このように、今回「ビジネスコンサルタント」は単独1位ではなく同率1位がいます。
それが「プロデューサー、ディレクター、プランナー(出版、広告、web、映像関連)」という職種です。

なぜか2021年頃から、この残業ランキングに顔を出してきた職種です。コロナ禍で家でテレビやラジオ、ネットなどの需要が増えた影響でもあるのでしょうか。こちらも興味深いですね。

また3位の「施工管理」は2018年から常にトップ3にいる高残業職種の常連です。建設業のPMOというのは不確定要素も多く、大変な仕事なんでしょう。

さて、このように、構造的に残業が多くなりがちな「コンサルタント」ですが、以前からの働き方改革の流れで、大手のファームでは、以下のように色々と人事対策を打っているようですね。

<アクセンチュア>
18時以降の会議の原則禁止、残業の適用ルールの厳格化、フレックスタイム制度、短日短時間制度、在宅勤務制度、出産育児支援
2021年「働きがいのある会社」(GPTWジャパン)ランキング14位、「働きがいのある企業ランキング2021」で11位にランクイン

<デロイトトーマツ>
組織風土改革、生産性改革スマートワーク、Employee Experience活動、健康経営(長時間労働撲滅)

<EY>
在宅勤務、フレックスタイム制などフレクシブルワークの推進、LGBT、ダイバーシティ取り組み

<PwC>
リモートワーク、コアなしフレックスタイム、時短勤務など柔軟な働き方支援、ウェルビーイング(健康経営)の取り組み

<KPMG>
プロジェクト「LEAP」の推進として、以下のテーマを実施
・社員が健康で長期的に働ける職場環境づくり
・効率的に働き時間あたりの生産性が高まる仕組みづくり
・互いをリスペクトしてともに成長しようとする文化風土づくり
具体的には、フレックスタイム制、在宅勤務制、服装選択の自由、長期特別休暇など

<アビーム>
CWO(Chief Workstyle Innovation Officer)設置
「Biz Athlete Workstyle 3.0」理念にもとづき、リモートワーク推進、フルフレックス制度、自己研鑽休職制度など

私は、コンサルタントの仕事は
「プロジェクト期間中は残業を思いっきりして、その後、きちんと休暇をとる」
ようなメリハリのある仕事スタイル(ある意味、アーティストや俳優のような)のほうが合っているのではと思っています。

大手ファームにそうした働き方ができる制度や風土があるとよいですよね。

それでは。

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