「練習もっと」の受け皿――新潟県燕市の「部活動が休みの時の公設クラブ」が画期的
こんにちは、竹内義晴です。
私は雪国、新潟の妙高高原に住んでいます。先日の冬休み、娘とスキーに行きました。娘が通う小学校では、例年、冬の体育がスキー授業になります。また、それ以外でも子どもたちはアルペン部かクロスカントリー部に入って、スキーの練習をしています。
例年ですと、冬休みも何度かスキーの練習があるのですが、「そういえば、今年はないなぁ」と思って、娘に「今年はスキー部の練習ないの?」とたずねると、「うーん、なんか、先生が働きすぎだとか何かで、練習がなくなった。だから、冬休みに、おうちのから2~3回、スキーに連れて行ってもらうことになった」といいます。
「あぁ、働き方改革か。こういうところにも出てくるのだな」と、例年との違いに若干のとまどいを覚えながらも、「でも、確かに先生だって休みが必要だもんな。それはそうだよな」と、身近な変化に時代の流れを感じていました。
そんな折、今朝、地元の新聞「新潟日報」に、「部活休み時の運動クラブ公設」という記事を見つけました。
新潟県燕市で始まった取り組みで、要約すると......
- 市教育委員会のガイドラインでは、週2日以上の休養日を設けるなど部活動の制限をする方向
- 一方で、「もっと練習したい」という生徒の声がある。そこで、市が公設クラブを設立
- クラブは土日の活動が中心。遠征や大会出場はせず、個々のスキルアップに重点
- 生徒は全市から募集。指導者はスポーツ少年団や教員OBから募る
- これまで、民間クラブと提携するケースはあったが、市がクラブを創設する事例は初めて
......だそうです。
年末、学校の先生と飲む機会がありました。部活動の実情を聞いたら、基本「手当はない」とのこと(休日は3千円ほど出ることもあるようです)。その先生は、部活動に熱心なタイプで、「好きだから苦ではない」とはいうものの、もし、企業だとしたら「ないですよね」との話でした。
今までの部活動は、このような「先生の意思」の上で成立していたのでしょうね。その意思はすばらしいし、練習したい子どもたちにとってもいいとは思いますが、先生の「労働」と考えたとき、先生にもプライベートがあるはずだし、だからといって、自分だけの意思でプライベートを優先するわけにもいかないしで、いろんな矛盾の上に成立していたのが部活動なのでしょう。
また、うちの長女は吹奏楽をやっているんですけど、「練習も大事だとは思うけど、たまには休みがあってもいいんじゃない?」とか、「家族で旅行もいけないなんて......」とか、「というか、先生は大丈夫なの?」という印象を持ったことも、正直あります。
それを改善しようと、部活動は制限する方向にあるのだと思います。
一方で、「もっと練習したい」という子どもたちの気持ちも分かります。
今までの流れなら、「練習したければ民間のクラブに行けばいい」だったのではないかと思います。その方法に対して「まぁ、確かに」と思う一方で、個人的にはなんとなく、モヤッっとする感じもありました。このモヤッと感を言葉にするのは難しいし、いろいろありそうだけど、その一つをあえて言葉にすれば「やりたい子だけが伸びればいいの?」とかかな。まぁ、それでもいいんでしょうけど。
でも、公設クラブならそういったモヤッと感がなく「いいな」と思いました。子どもにとっても、他校の子どもたちと触れ合うきっかけにもなりそうですし。
まぁ、新たな試みにはいろんな課題や意見があるとは思いますが、先生の働きやすい環境が整いつつ、子どもたちにとってもいい形になればいいなと思います。