「一方が詐取するのだけは避けたい」―IT企業の見積書を見て思うこと
知人から、Webサイト構築のプロポーザル支援を依頼されました。「ITに詳しい人がいないので、提案の内容を精査してほしい」とのこと。
で、いくつかのIT企業からの提案書・見積書を拝見したのですが……。正直、「IT企業の見積もりってこのままでいいのかなぁ」という印象を受けました。
詳しくは書けないんですけどね……。
CMS(コンテンツマネジメントシステム:インターネット上からWebサイトを更新できる仕組み)を使ったWebサイトは、特殊な機能がなければ、ぶっちゃけ、サイトを公開するまでにそんなに時間はかかりません。最小限の仕組みだけを作るなら、「インストールして終わり」……そのぐらいの感覚です。それだけに、数万円からサイト制作を請け負う会社もたくさんあります。
一方、見た目は大して変わらないのに数百万円を提示する企業もあります。
もちろん、安ければいいと言いたいわけではありません。CMSの基本機能ではまかなえず、新たな開発が必要な機能もあるでしょうし、Webサイトのデザイン周りや画像を作るのは、思った以上に時間が掛かります。コンテンツをユーザーと一緒に精査したり、文章をライティングしたりする作業も結構時間がかかりますよね。
ですけどね。それにしても、各企業から提出された見積もりを見ると、とにかく「高すぎる」のです(提示予算ありきという感じ)。
CMSを独自に開発するのならば、詳細な要件定義も必要ですし、システムやデータベースの設計、プログラミングが必要です。ゼロから作りこむわけですから念入りなテストも必要なので時間もかかります。当然、それに応じた見積もり金額になるでしょう。
けれども、WordpressやMovable Typeなど、既存のCMSを使う場合、基本的な機能はすでにありますし、不足している機能は、プラグインとして無償でたくさん提供されています。新たに作りこまなくても、それなりのWwbサイトならすぐに作ることができます。逆に、CMSはアップデートが頻繁に行われるので、変にカスタマイズするとアップデートに対応できない場合があるので、個人的には避けたい、もしくは、できるだけアップデートに影響を受けないようにしたいと思います(不足している機能だけCMSの外部に出すとか)。
一方、見積書を見ると、それほど大きな開発がないはずなのに、昔ながらの「要件定義」「設計」「プログラミング」「テスト」という項目があって、かなりの金額が盛られています。「CMSを使うんでしょう?」「何を設計するの?」「何をプログラミングするの?」「どんなテストをするの?」という疑問が浮かびます。
それが、数あるうちの1社ならいいのですが、見積もりの多くがそのような印象でした。
私もIT企業に勤めていました。SEやプログラマの仕事は、ユーザーの目に見える以上に、たくさんの仕事がありますね。それに加えて、突然の仕様変更やユーザーからの無理な要求など、ホント、大変な仕事です。その中でエンジニアが頑張っていますよね。
また、ソフトウエアはモノとして目には見えづらいので、IT企業とユーザーが相互に納得できる見積もりをするのは、とても難しいこともよく分かっています。営業やコンサルの工数は実際にはかかるのに、見積もりの中に入れにくいのですよね。
もちろん、これは一例です。一言で”IT”と言ってもいろんなシステム、業種、業態がありますから、一概には言えないでしょう。また、時間では換算できない価値もありますよね。
けれども、どちらか一方が詐取するのだけは避けたいと思うのです。IT企業側に限らず、ユーザー側もそうなんですけどね。IT企業側もユーザー側も、「顧客に喜んでもらえた」「このシステムのおかげで本当によくなった」というような、お互いがハッピーになれる関係が大切なんじゃないかなぁ。
プロポーザルで各企業のプレゼンを聞きます。ユーザー側とIT企業側の双方の事情が分かるだけに、あまり細かいことを言うつもりはありませんが、疑問を抱いた点には素直に聞いてみたいと思っています。