そうだ、通訳案内士になろう!
ガイドとしての活動はまったくしていませんが、筆者は通訳案内士(英語)でもあります。ちょうど本日5月19日から6月30日まで、平成26年度(2014年)の通訳案内士試験の受付が行われています。
■通訳案内士とは
通訳案内士についてご存じない方が多いと思うので、日本政府観光局の試験案内から引用します。
通訳案内士法の規定により、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営もうとする者は、通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。
無資格者が報酬を得て通訳案内を業として行った場合、通訳案内士法の定めにより、50万円以下の罰金に処されます。アルバイトも含みますので、ご注意ください。
■通訳案内士は民間外交官
通訳案内士が民間外交官とも言われるのは、誇張ではないと思います。現在、不幸にして緊張関係にある国の方も、きちんとしたガイドの案内で日本で観光すれば印象がまったく変わるでしょう。
「日本の専門家」である通訳案内士が観光に見えた方を日本のファンに変えて行けば、決して大げさではなく、外交関係によい影響を与えると言えます。
逆に、不幸にして、俗に「闇ガイド」と呼ばれる、土産物屋などと結託して同胞を騙す人たちに引っかかってしまった観光客は、日本に対して苦い記憶を刻んでしまうことになります。
■邦文試験は今からでも間に合う
筆者は2009年の試験に6月3日に申し込み、そこから試験勉強を始めて(!)邦文3科目(地理、歴史、一般常識)に合格しました。
しかも、筆者は地理と日本史を勉強したことがありません。とくに、高校時代に理系コースだった筆者は、日本史を習ったこともありません。このような状態でも、効率よく準備すれば大丈夫です。
私見ですが、邦文3科目の重点対策分野は以下の通りです。これで合格ラインの60点は十分狙えると思います。
- 地理:観光資源、とくに温泉や国立・国定公園は定番
- 歴史:文化史
- 一般常識:幅広いが、日頃から経済紙やビジネス誌を読んでいれば十分
■TOEICスコアによる1次英文試験免除のハードルは低い
今年度からTOEICスコアによる1次英文試験の免除が始まりました。英検だと免除の条件は1級なのに、なんとTOEIC 840で免除です。このくらいのスコアの方は、かなりいらっしゃるでしょう。
現在そこまでのスコアはないという方も、1次英文試験を合格するよりはTOEIC 840を目指す方がかなり簡単だと思いますので、来年度以降の合格を目指してTOEICから攻略するのも1つの戦略だと思います。
ちなみに、恥ずかしながら筆者は2009年の1次英文試験で落ちています。筆者のTOEICスコアは950で、ライティングにも自信をもっていましたが、邦文試験対策に時間を取られて、通訳案内士に求められる語彙や表現の強化が間に合わなかったのが敗因でした。
筆者は準備が悪すぎたのですが、この事例からも、TOEIC 840で1次英文試験が免除になるのは、かなりの条件緩和と言えると思います。
■通訳案内士制度の今後
沖縄県などの地域限定通訳案内士がいくつかあり、また中小企業診断士にはおなじみの中心市街地活性化法による特例通訳案内士制度が創設され、今後は通訳案内士に類する資格が増えることが予想されます。
しかし、前述のように、筆者が最大の難関と考えている1次英文試験の免除条件が大幅に緩和されました。また、昨年度の英語の合格率は30.9%まで跳ね上がり、試験が易化していると言えるでしょう。筆者が合格した年は12.0%でしたから、これには驚きます。
もはや制限付きのガイド資格をわざわざ取る意義がまったく感じられませんので、全国どこでも通用する資格を取得するのがよいと思います。
■通訳案内士を目指すと何事にも興味が湧く
当たり前のことですが、観光客は通訳案内士は日本のことなら何でも知っていると思っていて、あらゆることを質問します。ふだん気にも留めないことに素朴な疑問をぶつけられると、再発見したような新鮮な気持ちになるでしょう。
現役ガイドの方も、たとえば「自分はゴルフをやらないが、聞かれることがあるのでニュースでやっていれば見る」ということです。「何でも知りたいし、知ることが面白い」とも伺いました。
資格を得るための勉強をしている段階でも、日本の歴史、地理、文化を知ることによって、普段の生活が潤うことは請け合います。読者の皆様も、通訳案内士を目指してみませんか?