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「宝矿力水特」って?! -中国人が覚えきれないブランド名-

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 中国語ネーミングを考える時、たいてい三つの方法がある。

 一つは音訳。元のブランドの発音に一番近い中国語を選ぶ。例えばSONY(中国語名:索尼・中国語発音:ソ ニ)、NIKON(中国語名:尼康・中国語発音:ニ カン)。
 二つめは意訳。元のブランドの意味に一番近い中国語を選ぶ。例えばTOTO(中国語名:東陶)BROTHER(中国語名:兄弟)。
 三つめは「音訳+意訳」。代表的なブランドは「コカコーラ」(中国語名:可口可楽・中国語発音:クー コー クー ル)などなど。

 どんな方法にしても、やはり現地の文化、感情や習慣にあわせたネーミングのほうが中国人に受け入れられる。

 実は、コカコーラが1920年に中国に進出した時、最初は「蝌蝌啃蝋」(発音:コ ドウ ケン ラ)という中国語の名前を付けたが全く売れなかった。漢字だけ見ると恐らく中国人は「オタマジャクシが蝋燭を食っている」みたいなイメージしか浮かんで来ないだろう。飲むにはかなり勇気が必要だ。あまりにもできが悪いので、コカコーラ社の海外部署が改めて中国名を公募し、今度はイギリス在住の中国人教授が応募した名前が選ばれた。それは現在の「可口可楽」であった。
 この中国名はかなりの傑作だ。中国語の発音も英語に近い、文字通り「美味しく楽しい」という意味で若者の心を一気に掴んだ。現在の中国では、コーラ飲料の代名詞のような存在になった。日本と中国は同じように漢字を使っているので、欧米の企業よりも日本ブランド名に馴染みを感じる中国人が多い。その中でもネーミングの成功した例をいくつかご紹介しよう。

 一つは日本のビールメーカーのサントリーだ。サントリーは中国に進出した際、自分のブランド名を中国人の文化習慣に合わせ、「三得利」(中国語発音:サン デ リ)という名前に決めた。これは、大変すばらしい名前である。まず、中国語の発音は日本語に非常に近い。それから中国語の意味で「得をした」という縁起のよい言葉だから、庶民的なイメージで好感度を得られやすい。

 花王のスキンケア洗顔料のブランド「ビオレ」の中国名は「碧柔」(中国語発音:ビー ロウ)。「碧」は自然、清潔なイメージで、「柔」は潤い肌のイメージがしっかり伝わってくる。
 キヤノンの中国語ネーミング「佳能」(中国語発音:ジャー ノン)も「優れた機能」というイメージを連想させられるグッドネーミングだったと思う。

 ところで、残念なネーミングの一つの例を挙げよう。
 大塚製薬が発売している清涼飲料水のポカリスエット(POCARI SWEAT)の中国名を「宝矿力水特」(中国語発音:バオ クアン リ シュイ テ)にしたが、中国人から見ると、音訳でもなく意訳でもない、しかも長すぎる。中国人の習慣だが、たいていの商品名は長くても四文字まで。四文字を超える音節は読みにくいし覚えにくいと言われている。しかも、名前だけでどんな商品かイメージが全く湧いてこない。かなり分かりづらいネーミングだと思われる。

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