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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

体に染みついた方言

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時々目にする「朝ドラの方言が云々」という話。全国放送だし、放送期間も長いし、さらには様々な地域を舞台とすることが多いので昔からどうしても話題になることがあるようです。それに対して演じる俳優の方がその地方の出身ではないことが多々あることから、如何に方言の指導が入ってもどうしても「嘘っぽい」とか「そんな言い回しやイントネーションじゃない」という声がどうしても出てしまいます。それはもう仕方ない話ではあると思うのですが、劇中の舞台となる地域の方言をそのまま全部ネイティブな形でセリフにするとほかの地域でニュアンスとか以前に会話が通じない事もあるのは否定できないので、そこはドラマとして暖かく見るべきでしょと、個人的には思っています。

そんな私の言葉の方言のルーツ
元々父親が長崎県、母親が山口県の出身で、私が物心ついたときに住んでいたのは兵庫県の西宮。大変です。それぞれが自分の体に染みついた方言で話すと家の中で会話が成立しない問題が起きたため「外で何語(そんな大げさな)を喋ってもいいけれど家の中は標準語」という家庭でした。

それに加えて小学校高学年から中学にかけて転勤で山口県の下関に3年ほど住んだおかげで私自身はその時点で「西宮の関西弁」&「下関弁」&「標準語」を喋り分けていて、かつ長崎弁も話せないけど言ってることはそこそこ判るというレベル。あとはテレビやラジオで接した関係から福岡から広島にかけての広い範囲の方言が「大体あの地域の人だな」ってのがわかる程度には聞き分けてました。

そして中学後半から高校にかけては兵庫県の明石に住んでたのですが、ここは広く播州弁の世界の入り口で、厳密には阪神間の関西弁ともちょっと違う世界。更には大阪の大学にいったら関西一円をはじめ各地から来た人と接したおかげでそれぞれ微妙に混ざる状態に。
とは言え、おそらく自分的には「関西弁」が自分のネイティブな方言の主要なところだと思ってます。
あるいは「広域関西弁」みたいなものなのかもしれません。
だから何だという話ではありますが。

そして就職して東京に出てきて、ずっと東京で働いてるんですが
仕事の場は昔から今もずっと基本標準語です。家庭環境のなかでずっと使ってましたから別に不便はありません。話す相手が関西から来た人+関西弁で話しても問題ないという状況以外では完璧に標準語です。下手すると東京で生まれ育ったと思われることがあるんですが、それでも標準語と関西弁を使い分けることはあります。例えば以前ややこしい交渉事で関西方面に出張で行った際にいろいろな経緯から「東京から何しに来よったんじゃこいつ」とか思われてる中で「いやホンマ申し訳ないです」とか普通にしゃべったら一気に態度を軟化してくれた経験含め、そんな流れは実は1度や2度じゃないです。潤滑剤になることが本当にあるんですよね。良し悪しとかは知りませんが。

ただし「お前の関西弁は確かに関西弁やけど場所を限定しづらい関西弁」という評価
現時点で神戸市内に実家がある自分の身近にはたまたま神戸で生まれ育った人が何人もいるんですが、曰く「お前の言葉は少なくとも神戸弁とは違う」。
いや、それはわかります。
たとえば「なにしてんねん」とか「なにしてはんの」じゃなくて「なにしとんねん」といいます。
でも明らかに播州弁が入ってます。頭に血が上った時に「ダボ!」とか口走ってバレます。明石の時に住んでた団地の中心を走る道路の東が神戸で西が明石だったのですが、そこにベルリンの壁くらいの違いがあったのは覚えてます。
更に山口弁と長崎弁がどこかで香ってるのも理解してます。

そして今の我が家には住んでる場所での方言があるのかすらよくわからない
別に「方言」に拘る気は全くないのですけれど、今現在は横浜市内に住んでいるけど例えば横浜駅周辺や関内・石川町あたりに行くことを「横浜に行く」と言ってしまう程度に神奈川都民な状態。横浜とは言ってもはるか向こうにランドマークタワーのてっぺんが一応見えますという程度の山の中で人口的にも各地から引っ越してきた人ばかり。そうなると地域的に何かしら方言がはっきりしてるわけではなかったりします。そして子供二人はずっと横浜育ちだけれど親二人が家の中では「神戸弁」と「広域関西弁」を喋っていて、子供たちにとっては「微妙に関西弁が混じる広域横浜弁のような標準語のような言葉に育つ方言のはっきりしない環境に育ってる」という状況かもしれません。

もはや家庭環境には住んでいる地域に根差した方言が存在していなくて、いや別に方言がはっきりしてるのが良いとか悪いとかいう話ではないのですが、少なくとも方言が出身地あるいは出生地を示さないという状況だよなとは思っています。
それが悪いことなのかどうかはよくわからないのですけれど。

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