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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

法人税5%下げるより納得できる幸せな納税ってあるはず

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おはようございます。

雨の降るという厚い雲が上空を覆っているため、冷え込みが少ない朝です。肉離れから10日、足はだいぶ回復し、今朝は駅までの約2000歩がちゃんとしたスピードで歩けました!

今朝は、従来から考えている『能動税』という概念について。日本社会が元気になる課税の仕方だと思います。

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■選択と集中、かつ未来への投資を実現する

来年度の税制改正の議論が難航しているようです。法人税を5%下げるか否か。「法人税を下げて日本企業に元気になってもらいたい!」という声がある一方、5%も下げれば税収が年額1兆5000億円の減額になる。そんなに税金が下がっては、巨大化した予算がまかなえない、というのが反対意見です。

そもそもなぜ予算が巨大化するのかというところから始まった民主党の事業仕分け。単なるパフォーマンスへと成りつつもありますが、試みとその志はとても大切だったと考えます。

仕分けされる事業一つ一つに人々の関心が向きました。それぞれに存続理由があり、さらに賛成意見と反対意見が多数あることもわかります。スパコンの必然性を改めて考えた方も多かったのではないでしょうか。

民間企業と似た感覚ですね。企業とそのステークホルダー(従業員、顧客、地域社会、株主)たちが、より幸せであり続けるために、何をするのがいいのか。その時々に、選択と集中、かつ、未来への投資をバランス良く実施するための英知を集めて実行しています。

失敗すればやめるし、うまく行けばそこを伸ばす。それが国レベルでも実現できる方法があるはずです。

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■お金が善し悪しを意見する投票力である

あの服がデザインいいから欲しい、とか、このサービスならお金を払っても惜しくない、とか。このようなレベルで人はお金を使います。いわばお金での人気投票です。いいものを提供できていれば、その提供者に売上や資本としてお金が投票されます。

つまり、払うお金が、物事に対しての善し悪しを意見するための投票力になっているのです。資本も同じ形で集まるでしょう。

お金が欲しいのであれば、いいものを提供する。継続的にお金が欲しいのであれば、継続的にいいものを提供し続ける。当たり前のようですがこれが今の社会の基本です。そのために企業は全力を尽くすし、それができない企業は淘汰されてしまいます。

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■政治もお金の投票で重要性を決める要素をもつべき

選挙をやっているから民主主義、というのは勘違いです。個人個人の意見が集約できて行政に反映できるというのが民主主義です。この国において民意が反映されづらいメカニズムは簡単です。個人なり企業なりが直接意見を出せる場が無いからです。

今は、選挙で選ばれた人が立法を代行。そして、若い頃に国家試験に受かったことで国の運営にたずさわることになった官僚たちと、やりとりをしています。

選挙は単純で、政党や個人を選ぶわだけ。それが世論調査と称してマスコミが実施する政府の人気調査で、不安感を煽っているだけです。そして、不安感からくる怒りで選挙を繰り返して「民意の反映だ」と結論づける。どうして建設的な国家がそのような仕組みから生まれてくるでしょうか。

いいものを手に入れるためにお金を払うように、政府の各種テーマにお金を能動的に払うというところに、今の本当の民主主義が実現できるスペースがあると思いませんか?

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■5%法人税を下げるより5%を企業の投票権としたらどうでしょう

企業活動というのは、顧客、従業員、地域社会、株主の4つのステークホルダーのメリットを最大化するために実施しています。バランスが欠けた企業は淘汰されていくし、長期的には、まじめにこれらのことを実践している企業が伸びるています。最適化の機能、つまり市場原理があります。そこを生き残る企業経営陣には、当然のことながらバランスのとれた優秀な人たちが残ります。

企業経営陣のリソースを国家の運営に有効活用すべきです。

『能動税』とでも呼んだらいいでしょうか。

例えば、今回5%税金を下げるのではなく、代わりに、5%相当分の使途を、納税する各企業に選んでもらうのです。それこそ、取締役会で徹底的に議論して決めるのです。

例えば、アクアラインの通行料値下げによる財源確保が50億円必要だったとします。その費用をどこが持つのか。今まであれば政府や千葉県がいくらずつか負担しているわけです。それをこっそりとやるのではなく、おおっぴらにテーマとして挙げて、「これだけ足りていません!」と、各企業に訴えるのです。

800円の通行料となったことで、潤っている企業もあるでしょう。潤った企業はその法人税の中の一部を、アクアライン通行料財源に当てるように投票すればいいわけです。法人税の使い先明示とでも言うのでしょうか。財源が足りなければ、値上げになってしまう。だから声を掛け合ったりする。民主的活動ですよね。

政府としては、それぞれのテーマにお金が集まるように、宣伝やガラス張り化することも必要でしょう。その場に近い企業としては、メリットがある限り、そこに投票する権利も持てるわけです。いわゆる地方分権は自動的に発生します。

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■『能動税』は将来20%程度にまで拡大していくべき

5%くらいからスタートするのがいいですが、これが機能するようになってきたら、20%程度にまでは数年で拡大できるはずです。

残りの20%については、政府の管轄で、国家の将来を考えたところに託すテーマも多いと思います。それこそ、優秀な官僚の頭脳と政治家の行動力とに託してもいい部分なのだと思うのです。

『能動税』は、その選択先を明示するのです。そうすれば、その企業が何を大切にしているかという宣伝にもなります。それによって、社会悪の発生を防ぐこともできます。

個人の所得税においても、一部を『能動税』として、何にお金を使って貰いたいか、意見を提出すべでしょう。累進課税で増える分を、『能動税』とするのもありです。頑張って稼げば、より、自分の願いを社会に実現できます。

自分の稼いだお金の一部が、自分の願うよりよい社会を作るために有効活用される、そのような思いを持てるほど幸せな納税はないですから。

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■『能動税』の効果

『能動税』の効果としては、次のようなものではないでしょうか。

・参政意識が高まる
・必要なところに必要なお金が行くようになる
・地方分権が促される
・不要なところは自然淘汰される
・公共事業内容がガラス張り化される
・優秀な経営者リソースを国家運営に有効活用する
・政治家の行動力と官僚の頭脳を国民のベクトルと一致させる

そもそも、必死に稼いだお金が使途不明金へと消えていくのはむなしいです。その一部でもコントロールできる投票くらいさせて欲しいということでもあるでしょう。そのための勉強も必要ですが、その勉強の一つ一つが社会を作るのです。

税金を払うことが嫌なのではありません。それがちゃんと自分の願い通りに有効に使われ、子孫によりよい社会を残されているかという不安があるだけです。

朝、電車の中で突然思い立ち、ちょっと大きめのテーマを書き殴ってみました。

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