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書評:難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!(著)たくみ

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突然ですが、読者の皆さんは「微分積分」が得意ですか?

私はというと、大の苦手で、高校時代に学んで以来「理解することを放棄した存在」の代表が「微分積分」でした。
61477957_2558676230853926_3723337106299289600_n.jpg長い間、コンプレックスであった「微分積分」が本当に分かるようになるの?

この本に興味を持ったきっかけは、本の帯に書かれた「高校3年間の微積がたった60分間で感動的に分かる!」というキャッチフレーズでした。
「いくらなんでもそんなことがあるわけがない」と半信半疑で読み始めました。

ところが読み始めると、小学生の頃に読んだ科学雑誌のように、登場人物であるたくみ先生とエリさんの会話に「そうそう、そうなんだよ」とスラスラと読み進められ、最後には「えっ、微積って、こういうことだったの!」ということに気づかされます。

そして、この本にもっと早く出会えていたら、高校生で「微分積分」を学ぶ前に出会えていたらつまずかなかった、「理解できない悲しみ」からもっと早く脱出できたと思いました。
*いつもは、父からの教えとして、人生における「~たら」「~れば」は考えないのですが、今回ばかりは「~たら」「~れば」を言わせてください(笑)

私と「微分積分」の苦いエピソードを交えながら、私が感じた、この本の『魔法』のいくつかをご紹介していきたいと思います。

Episode One :微分積分と出会った高校1年生

「微分積分」に出会う前は、数学が好き&数学は得意だと思っていたので、地元の理数系の高校に進みました。
そんな私をいとも簡単に「理解できない悲しみ」の谷に突き落とし、「得意だと思っていたコトが苦手に変わるツラさを教えてくれたのが「微分積分」でした。

「どうして微分積分が必要なの?」「微分積分を使うと、どんないいことがあるの?」
「何のためにあるの?」「どんなところで使われるの?」まったくイメージがわかなかった高校時代。

あまりにも分からなすぎて、ただ、ただ、公式を丸暗記して「とにかく数式だけ覚えて何とかしよう」と小手先のやり方でやり過ごしてしまいました。
当時、その様子を見かねた兄が
正解を速く求めようとしてはダメなんだよ。公式を丸暗記するのではなく、本質を理解しないと・・』と優しく教えてくれようとしたにも関わらず・・・

お兄ちゃんは数学が得意だから、分からない人の気持ちが分からないんだよ!もう、教えてくれなくていいから!
という言葉を投げつけ、怒り出す始末。(お兄ちゃん、本当に申し訳なかったです。ごめんなさい。)


余談になりますが、毎日、大量の宿題が課せられる ⇒ 時間の余裕がなくなる ⇒ 心の余裕がなくなる ⇒ 感情に振り回されるという原体験の1つでもあり、感情マネジメント(Emotional Intelligence)をもっと早く知っていればよかったと思う出来事の1つでもあります。


★魔法その①:分からない人の気持ちを理解し、興味をもたせる工夫
「とにかく数式を覚えて何とかしよう」としていた高校生の私を見ていたの?と思うような、たくみ先生の言葉。
数学で挫折してしまう人の多くは、(中略)"数式"を"数式のまま理解しようとします」(P13)に代表されるように、挫折した人たちの気持ち(原因)を理解してくれている安心感と、挫折した人であっても興味をもって学べるように、世の中のどのような場面で「微分積分」が使われているかを紹介してくれています。
分からない人代表である登場人物エリさんになったつもりで
読み進めると、無理なく理解できる構成になっていることが分かります。

Episode Two :微分積分が「役に立つこと」を知った社会人2年目

建築物の設計図を描いていた兄から「ここの数値があっているか、微積を使って検算してくれる?」と言われた社会人2年目の夏。

「えっ、微積?」「え、設計図の面積の検算?」

数式を丸暗記し、大学受験以降は全く使用していない私の頭の中には、「微積」という言葉は残っていても、公式のカケラすら残っていない。きっと、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしていたのだと思います。
兄が公式を書いてくれたけれど、記号の意味も、式の意味もチンプンカンプン。

「あっ、磨美は、微積、苦手だったよね。ごめん。忘れてたよ」と残念そうな顔で依頼を取り下げた兄。

本質を理解することを諦め、数式を丸暗記して小手先でやり過ごしてしまったことの「後悔」と人の役に立てない「無力感」というWパンチを受けた出来事でした。

★魔法その②:記号や言葉の意味をシンプルかつ丁寧に解説する工夫
モノゴトを説明する時、言葉や記号そのものの意味については、説明が省略されてしまうことがあります。例えば、「ロボット」という言葉は知っていても、「ロボット」という言葉の語源が何か?ということは意外と知られていなかったりします。(ロボットは、カレル・チャペック の 戯曲 R.U.R. に出てくる人造人間に由来)
言葉や記号そのものの意味を理解してから、数式の説明を図解とともに説明されることで、丸暗記していた数式が別物のように見えてきます。

「微分積分」コンプレックスを四半世紀以上放置していましたが、「難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!」に出会えたことで「人は、いつでも学び直せる」という大事なことを再認識させてもらいました。

そして、この本には、難しいことを分かりやすく教える(伝える)コツが沢山、沢山、織り込まれています。
本題である「微分積分」の理解とともに、この本にちりばめられた沢山の「魔法」(分かりやすい説明のテクニック)を探してみるのも面白いかもしれません。

過去ブログ:
『分かっていない』 ことを分かる ~現在地を知るということ~ 

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