SaasとASPの違い
SaaSは、ASPの発展系であり、基本はそんなに違わないとぼんやりと思っていました。
一番の違いは、SaaSがマルチテナントに対して、ASPは、シングルテナントである点であるというのは、以前から言われていたので、知ってはいましたが、その意味することは全然わかっていませんでした。
インプレス社より以前、広告を掲載させていただいたご縁で、ご好意によりIT Readersという月刊誌を毎号送っていただいているのですが、その3月号でSaaSに関する特集記事が載っていて、今回本質的な違いについてよく理解することができました。
突きつめていうと、ASPとの違いは、マルチテナント化によるスケールメリットを最大化できる点で、テナント数が増えれば増えるほどコスト単価が下がっていくというモデルだということです。
シングルテナントだとどうしても個別対応だとか、サーバーの世代が異なったりして、そのOSのバージョンがちがったりなど手間がどんどん増えていくのに対して、OSは一緒、アプリケーションのバージョンも同じ、個別対応はしないかわりにカスタマイズできる範囲を増やしていくというのがSaaSベンダーの方針というか戦略のようです。
と、ここまで書きながら、これは日本が不得意とするモデルだなと思ってしまいました。
それは、簡単にいうと、
そこそこの性能(機能)のものを素早く作って(製品化して)、さっさと売って、どんどん規模を拡大していくという戦法です。
たとえば、ガラパコス携帯では、個々の携帯は、消費者の様々なニーズを取り込んで非常に洗練された端末を量産していったわけですが、性能的には大したことのないノキアが気がついたら、世界中で使われていた。
電化製品も似たような話はたくさんあると思います。
ソフトウェアも同じようなことがいえると思います。
かつて日本のベンダーが作った製品の方が、しっかりとできていて、安定して動作するケースが多かったわけですが、オペレーテイングシステムおよびミドルウェアと言われる製品は、ほとんどが外資ベンダーの製品が主流になっています。
勝敗を分けたのはスピードとその結果としてのスケールメリットです。
アプリケーションのレイヤーは、個別対応が必要なので、外資じゃ無理というのが国産ベンダーおよび日本のソフトハウスの売りだったわけですが、それも段々に侵食されつつあるということだと思います。
発想の転換が求められているような気がします。