市販飲料水のご使用は計画的に - 便利だけど危なくもあるTwitter時代
水道水から乳児の基準値を超える放射性ヨウ素が3/23に検出され市販飲料水買占めといった大問題になっています。放射性ヨウ素の半減期が短いことから、そのうち収まると考え、今は怖いから煮炊きにも市販飲料水をとお考えの方も多いでしょう。しかし、そういう心配性の方ならばより悪い事態に備えて中期的視野で市販飲料水を飲まれた方がいいようです。
というのも、物理学博士で東京大学 伊東 乾(いとう けん)准教授が気になることをツイートされています。
Twitter / Ken ITO 伊東 乾: 中期戦を前提に手元「六甲のおいしい水」などペットボト ... via kwout
その意味することは @itokenstein 氏のツイートを順を追って読み、ご自身で理解された方がいいと思います。ともかく、悲観的に中期的に構えて、市販飲料水が無ければ他の清涼飲料の利用などいろいろ工夫しながら乗り切るのがよさそうです。
我が家では、断水に備えて汲み置いた水道水がけっこうあるのでそちらをメインにしばらく使う予定です。塩素の消毒効果は3日ほどは十分ということで、飲むならばその程度で飲みきるのがいいともいいますし。
平時の30倍だけど、国際基準の10分の1という日本の基準をどう考えるか?
今回の基準、実は平時基準10Bq/リットルから一気に30倍に引き上げられたお手盛りのゆるい基準だという意見もネット上で流れています。しかし、恒常的に続くものと災害時のものとで違う基準が適用されるというのは国際的に認知されたものであり、さらに言うとこれは国際基準の1/10という、厳しい基準になっています。
これを確認されたのを私が見たのは、大阪大学サイバーメディアセンター教授で物理学者の菊池誠 教授 @kikumaco の以下のツイートです。
平時のWHO基準が10Bq/L で、放射能事故時の介入レベル(IAEA)が3000Bq/L って、300倍も開きがあるのか・・・
WHO SITREP NO 12 日本における地震と津波状況報告No.12
2011年3月21日 マニラ時間14時30分現在
http://www.who.or.jp/index_files/WHOSITREP_No12_21March_J.pdf
また注目すべきは、日本の基準値は国際的に合意された作業介入レベル (OIL's) ヨウ素131 (3,000 Bq/kg)、セシウム134 (1,000 Bq/kg)、セシウム137 (2,000 Bq/kg)より低く設定されてることである。ヨウ素131はその低比放射性(LSA)のために放射線の源として重要ではない(参考: IAEA General Safety Guide No. 2:
http://www‐pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf)
が、災害時の一時的値としてみると、300Bq/リットルという基準はまだ低いと見ることもできそうです。
マスコミ以上のことが分かるかもしれないし、誤解に振り回されるかもしれない時代:
水道水からの放射性物質という非常に心配な、震災後ですら想像しなかった事態になっています。
マスコミが叩かれたのは、難しいことを分かりやすく伝えようとして不正確になっていたり、そもそもマスコミ自体がその事実をしっかり理解していないのではないか?と疑われだしたからだと思います。
そんなことを思い出したのは、多くの人が複数の専門的な方々の生の意見にTwitterなどで触れられるようになり、より深い理解ができる時代になったからだと思います。
マスコミを叩きたくなる気持ちも分かりますし、現に私もAERAに怒って、いました。しかし、今は、NHK の報道など媒体の特性にあったものを取捨選択し、不得意な媒体の報道はスルー(無視)するというすべを身につけるべきだと思いました。
そしてまた、誤解や曲解が流れて広がりうるのもTwitter時代の特長です。いろいろ振り回されている人を見るに非常に今のネット口コミ(カキコミ)時代の弊害もあるなと実感しています。
原子力という新たな「火」と同様にソーシャルメディアも「便利だけど危なくもある」という思いを強めています。