日経新聞の誤報:NY市長は給与を暗号通貨で受け取っていない
ニューヨーク市長が初の給与を仮想通貨で受け取ったという記事が報道されています。
しかしこれは誤報です。給与を暗号資産で受け取るというのと、給与を全額暗号資産に変えるというのは大違いだと思う次第です。給料を馬券で受け取るのと初任給を全額馬券に突っ込んだというのぐらい違います。
【ニューヨーク=吉田圭織】年初に就任した米東部ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長は21日、初めての給与を代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインとイーサリアムで受け取った。アダムズ氏は金融の中心都市であるニューヨークを仮想通貨の拠点にしようと力を入れている。
しかし、肝心な点が間違っているようです。
New York Timesに掲載された記事では以下の通りです。
Today is Mayor Eric Adams's first payday. That's not the day's only first: it is also the first time a mayor of New York City has put his money into cryptocurrency, which is trendy. It's also famous for roller-coasterish fluctuations.
How much will be in that first paycheck? His gross pay is $9,924.66, which he will receive every two weeks. A City Hall spokesman would not say how much was being deducted for taxes but said that Adams would put all of his take-home pay into cryptocurrency.
今日はエリック・アダムス市長の初給料日です。それは、この日だけのことではありません。ニューヨーク市の市長が、流行の暗号通貨に資金を投入したのも、この日が初めてなのです。ジェットコースターのような変動で有名でもある。
最初の給料はいくらになるのか?総支給額は9,924.66ドルで、2週間ごとに受け取ることになる。市役所の広報担当者は、税金のためにいくら差し引かれているかは明言しなかったが、アダムスは手取りの給与をすべて暗号通貨につぎ込むと述べた。
つまり
❌ ニューヨーク市アダムズ市長は給与を
暗号資産で受け取った。
◯ ニューヨーク市アダムズ市長は給与を
米ドルで受け取り暗号資産を買った。
となります。
ニューヨーク市長は給与を米ドルで受け取っており、初の給与を全額暗号通貨の買付に当てたと地元メディアであり、世界で読まれているニューヨークタイムスが報道した内容は、ニューヨーク市の関係者も多く読んでいるはずです。その地元有力紙の報道が間違っていて日経新聞ニューヨーク支局の吉田記者の記事が正しいということはより確率が低いと考えるべきでしょう。
分散台帳システムで管理される仮想通貨の中心地とは?でこれまで大量の電力を消費というか浪費してきて電力不足を起こした中国、ガス代高騰が政変に繋がったカザフスタン、そして最近採掘を禁止したロシアなどの方がニューヨークよりも暗号通貨に深く関わってきたのかもしれません。
ともあれ、ニューヨークの新市長の行動は地元の競馬を振興したいと初任給を競馬の馬券に変えたとか、いうのと性質は同じ行為です。それが話題になって地元の産業が役立つという考えはわかります。
しかし、給与を馬券で受け取ったとか暗号通貨で受け取ったとかいう誤報をだす日経新聞は責められるべきでしょう。