オーディオ趣味って素晴らしい:アリストクラトの超弩級ステレオを体験して
先日、樋口理さんの企画で南青山のサロン「アリストクラト」で超弩級オーディオを聴いてきました。
ワンセット8,000万円が二組聴き比べられるというのはとてもすごいことなのですが、参加者も豪華で著名ブロガーとしては、みたいもんのいしたにまさきさん、小鳥ピヨピヨのいちるさん、GIZMODO Japanの武者さん、ブロガーミーティング企画多数で、今時点だと、Flip HDを使ってみよう!体験会が募集中のyasuyukiさん、など多彩な方が参加されていました。(事前承諾不要そうな方のみお書きしました。)
樋口さんの企画の趣旨は超高級オーディオサロンを世に広めたい、一般の人に伝わる言葉に翻訳して語って欲しいということだったと理解しています。オーディオに詳しくない人がぶったぎるという方向も予想したのですが、ふたを開けてみると、いしたにさんは、著名オーディオ評論家で私も大きな影響を受けた長岡氏に関するエントリー「 【一部反論】人生に必要なことは長岡鉄男に全部教わった。 」を書かれ、武者さんも、長岡ファンということで、ソーシャルネット時代のの語り部の多くはオーディオファンでもあったという発見ができた会でした。
さて、肝心の装置と音について、ですが、先にステレオ(立体音響)の原理から紹介してみます。
ステレオ(立体音響)は、耳と体が得た信号を脳で解釈して知覚した結果:
3D映画がいま話題ですが、これは左右の目がそれぞれ少し違う映像を見ることで立体感を感じられるという原理に基づきます。実はオーディオのステレ
オ(左と右の2チャンネル)も似たような原理で位相差、時間差、音質差といった情報から、立体感を知覚する仕組みです。
ここで、「知覚」というのが、ポイントで耳や体の各所が共振して感じた音の信号は脳が処理して認識されます。車が通り過ぎる、カラスが鳴きながら飛び去る、そして声と楽器とかとか世にあふれる音は目で見ながら聴いて、記憶し音の信号がどういう情報として認識すべきかというパタン認識の元の情報が刷り込まれていきます。岡本さんが iPodでリアルな3D録音をしてみる(2):耳栓マイクでバイノーラル録音、鼻先をかすめるリアル感 というエントリーで紹介されているように、音の定位認識は視覚情報に左右されるのもそんな、情報処理の補正が行われる現われの一つでしょう。(すごい音です。是非ご体験を)
絞ったレーザー光線がシャープな絵を書けるように、点音源は、ステレオ(立体音響)に有利:
さて、2つのスピーカーで、音空間を作り出すことは、光で図形を描くことに例えることができます。例えば、真夜中に、懐中電灯を丸く回せば、残像で遠くからは円を見ることができます。この大きくなって例えば、ナイター照明装置のような大きな面積をもつ集合体だったとすると、よっぽど遠くに離れないと、どういう絵を描こうとしたのかは認識しにくいでしょう。太い筆で小さな字は書きにくいのです。
この状況を敷衍すると、ステレオ再生のためにはスピーカーは小さいほどよくて、できれば、面積を持たない「点」、つまり点音源が理想と語れます。しかし、面積が無い振動版から放出した音エネルギーが聞こえるということは想像しがたく、空気を揺らして音にするにはある程度の面積が少なくとも今の原理では必要です。
さて、やっと装置の話に進めるのですが、KEF Muonは点音源という理想にかなり近いすごいスピーカーでした。
点音源、ワイドレンジを両立した万能型: KEF Muon(ケフ ミューオン)
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右のうねうね曲がった金属のオブジェみたいなものがKEF(ケフ)というイギリスのメーカーのMuon(ミューオン)というスピーカーです。超弩級が並んでいて大きさが分かりにくいのですが、天井に迫る2メートルほどの高さがある非常に大きなスピーカーです。
この巨大さで、点音源に近いというのは、中核をなす音の成分のかなりが、くびれたところの比較的小さなユニットから出ているためです。低音になるほど、音の出所を感じにくくなるという原理があり、中音と高音を一箇所で出して、低めの音をその下の中くらいのユニットで出すということで、かなり小さな音源を実現しています。点音源をひたすら追求したスピーカーは多々聴いてきましたが、超低音までしっかり聞かせる、大きな音も破綻無く軽々出すというはすごいと感心しました。
ただ、一番いい場所に座るいしたにさんを押しのけてまでは聴かなかったので、音像定位のしっかりした確認ができなかったのは残念です。
ダイナミックな音のための理想オールホーンを具現化: avantgarde trio + basshorn :
巨大な赤と黄色のラッパが、trioで、その左の金属の棚のようなものが、basshorn です。実は私はこっちに心を奪われてしまいました。今までに聴いたことがないすごい音が聴けたと感動したのはこっちです。
世にある音のダイナミックさ、打楽器の激しい音、弦楽器のうねり、そして管楽器の鋭さを電気的に再現しようとすると実はかなりの音源の面積が必要なんだと再認識しました。
試聴した、プロコフィエフ作曲、プレヴィン指揮のアレキサンドルネフスキーより氷上の戦いは、映画音楽として作られたドイツ騎士団とノブゴロド軍がぶつかるという描写が生々しく、オーディオの醍醐味は長巨大スピーカーだと再認識しました。パットメセニーの新譜オーケストリンも非常にいい印象です。
こんな良かったっけ?という声も出ました。6月のすみだトリフォニーホールのコンサートへ行く予定にしているのですが、ここで聴いたほどの音では聴けないかもしれません。
長らく自分のオーディオ装置は放置状態で、故 長岡鉄男氏のシアターホーム「方舟」のメイン装置を聴かせていただいた感動を反芻するだけの生活を送ってきました。しかし、またもう一度、自分のオーディオ装置をちゃんとしてみたい、PCオーディオとかの進歩で当時よりもっといい環境を作れるはず、そんな意欲が湧いてきました。
理論と実践、観念の感性、何か変えると音が変わる無間のA/Bテストの沼、などなどオーディオは奥深い趣味です。この楽しさを知る人がまた増えることを願っています。
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