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米国東海岸発、とあるソフトウェア開発者のよもやま話

iPodでリアルな3D録音をしてみる(2):耳栓マイクでバイノーラル録音、鼻先をかすめるリアル感

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iPodでリアルな3D録音をしてみる

iPod、iPhone、iPadで、立体的な録音をしてみようということで、前回に引き続き、いろいろやってます。
今回はマイクを改良して、前回と同様にiPod Touchでバイノーラル録音をしてみました。前回よりも、かなり立体感が出せたのではないかと思います。

聴き方は、
1. 椅子にすわって背筋を伸ばして前を見る。前のややななめ下を見る感じで。
2. ヘッドフォン(もしくはイヤフォン)をする。(左右を間違えない様に)
3. 音を再生。
4. ボリュームは大きくする。(無音の部分が少し「シャー」という手前)
5. 目を閉じて静かな場所で聴く。
と良いかもしれません。

では聴いてみてください。


レシートくしゃくしゃ

Ipodrecordings0201

ダウンロード

まずは右からレシートがくしゃくしゃしながらやってきます。
レシートが移動していきます。
右→右上→右下→右→左→左上→左下→左→右→レシートをぽいっ。


いかがでしょうか、レシートのくしゃくしゃ音が立体的に動いているのが、わかりますか?今回はそのリアリティを感じてもらおうとwavファイルにしました。前回の音源の元のwavファイルと比べても、かなり立体的にできたのではないかと思います。特に上下左右のレシートの移動感がおもしろいと思います。

私の両耳の位置にマイクを置いているので、私の頭に最適化された音です。なので、立体的に聴こえないという方もいるかもしれません。私が聴いたところ、この音は非常にリアリティがある音に聴こえます。目を閉じて聴いていると、特に、レシートが左右に移動するとき、私の鼻の前を風がかすめて、ひんやりする感じがします。だれかいるんじゃないかと思わず目を開けてしまいます。

ひとつ不思議なのが、目を閉じて聴いたときと目を開けて聴いたとき、聴こえる場所が違うことです。レシートが左右に移動するとき、目を閉じていると、レシートが自分の前を通って聴こえてきます。(実際の録音時にはレシートは前を通って左右に動かしてました。)しかし、目を開けると、自分の前ではなく、後ろを通って聴こえてきます。視覚というものは聴覚に影響を与えているようです。(人によっていろいろのようです。何人かの人に聴いてもらいましたが、後ろを通ってしか聴こえないという人もいました。)


耳栓バイノーラルマイクの作り方

さて、今回の録音ですが、立体感が向上したカギは、今回作った耳栓バイノーラルマイクにあります。

前回は、イヤフォンにマイクカプセルを埋め込んで、バイノーラルマイクを作ってみましたが、今回は、フォームタイプの耳栓で、バイノーラルマイクを作ってみました。耳栓を使うことで、マイクカプセルを耳の穴の中に置くことができ、よりリアルに聴く感じで録音するという狙いがあります。

材料は、、
1. パナソニックの無指向性コンデンサマイクカプセルWM-61A (digikey.comで購入)
2. 細いシールドケーブル( Mogami 2368をmarkertek.comで購入)
3. フォームタイプの耳栓(近所のCVSで購入)
4. 3.5mm ステレオミニプラグ(mouser.comで購入)
5. ヒートシュリンク(熱収縮)チューブ (赤と黒)

今回も材料費は、余裕で千円以内ですね。

Ipodrecordings0202
フォームタイプ(いわゆるイヤーウィスパーなどのタイプ)の耳栓を近所の薬局CVSで買いました。


Ipodrecordings0203
その後、耳栓をはさみで半分に切って半分だけ使いました。熱した半田ごてで耳栓にマイクカプセルが入るような穴を開けて、マイクケーブルをハンダ付けしたマイクカプセルを、その穴の中に入れ、エポキシパテでマイクカプセルと耳栓を接着します。


Ipodrecordings0204
右マイクケーブルと左マイクケーブルを1つのステレオプラグにハンダ付けして、バイノーラルマイクができあがり。
右側のマイクケーブルには赤いヒートシュリンクチューブを付けて右のマイクとわかるようにしてあります。(赤=RedなのでRで始まるから右、青=bLueで、Lということで左というのがよく使われますね)2本のマイクケーブルは二股になるように黒いヒートシュリンクチューブで1つにまとめて、2つ編みします。


Ipodrecordings0205
iPod Touchに、Belkin TuneTalkをつなぎ、そこに、できたマイクをつなぐとこんな感じになります。
後は、この耳栓マイクを両耳に入れて録音すれば、バイノーラル録音で、立体的に録音できます。

今回のマイク、前回のマイクよりかなり改善できたと思います。まずは、マイクカプセルは、前回のイヤフォンに埋め込むタイプより、今回の耳栓に埋め込んだのが良かったです。これにより、よりリアリティのある立体感が出ます。また、シールドされたマイクケーブルを使うことにより雑音に強くなり、音がしっかり出るようになりました。

自作するなら、今回のバイノーラルマイクはおすすめです。

<<たぶん、つづく>>

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