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新しい価値探しの時代を楽しんでみた

【書評】この国を出よ

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大前研一さんと柳井正さんの共著です。
一昨年くらいから、ずっと気にしているテーマ、と言うよりも自分の生活の根底から方向性をどうするかを考えなければならない事だけに、見過ごせないテーマです。
以前も似たような観点で記事にしましたが、この本を読むと震災で改めて日本の悪い部分が浮き彫りになったように思われます・・・。

まずは本を読んで僕が気になった、または共感できたトピックを。
※内容を僕の捉えた点で記述してしまっているので、必ずしも内容と合致していないかもしれません

  • 今後は、世界で果敢にチャレンジし、残っていく人材が必要であると言う認識を、国内で大成功を収めた柳井さんが強く持っていて、かつ現に急いで実践している
  • 財政の使い道について、投資効果を元に可否を決めているのが、常識であり、例としてあげられているイギリスでは大学の授業料補助(投資)を行うことで、大学に行った国民の生涯賃金と、そこから得られる税収(効果)のリターンを根拠に決定していた
  • シンガポールは国家が株式会社のように動き、特に部門がプロジェクト形式で立ち上がり、実績を作ると解体、または民営化されるという
  • 正しい答えはこれ、という教育の弊害で、マニュアル化が進みすぎていて、本質を考え抜くことが出来なくなっている
  • 教育先進国のデンマークでは、先生ではなく「促進させる役割の人」という意味の、ファシリテーターを使う
  • 規制のないスポーツや文化などの分野は日本発であっても世界で通用している

一言でまとめるなら、「日本はこんな部分がよくない、このままでは数年中に(国として)駄目になる、だからまずは世界に出て挑戦する人、企業が増えなきゃならない」とのことです。

この一年くらいの間に、何人かの同世代の友人にこの議論を持ちかけました。しかし残念ながら、共感はあまり得られ無いことが多かったです。たとえ、本人にとって現状が良いとしても、それに対して常に批判的に考えるべきだと思うのですが。

震災をバネにし、「これから頑張ろう」とか、「一からやり直そう」ということは非常に良いことだと思いますし、これを機により良い方向に進むことが出来れば何よりだと思います。個人や企業が積極的に物資、情報を提供をしたり、復興への取組みをするのを目の当たりにすると、希望もたくさん沸きます。

しかし、「国家」というレベルで捉えるならば、これまでの政府の対応、世界に対する姿勢またはその受け取られ方、経緯を考えると、どうしてあれほど迷走することになるのか、甚だ理解が出来ません。
また、TVCMで根拠も無く「日本は大丈夫、頑張れる」というメッセージばかりを誇張しているのを見ると、また思い違いをしてしまう人が増えるだけではないかと思ってしまいます。

#4/12:誤字を修正

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