コロナ渦初の情報処理技術者試験の実施~試験実施と出題問題から今後の試験に向けて考える
2020/10/18にコロナ渦初の情報処理技術者試験が実施されました。
今回のブログでは以下の点について書いています。
1.実施の様子と今後への期待
2.今後の試験対策に見ておくべき問題と振り返り
1.実施の様子と今後への期待
今回は、基本情報処理技術者と情報セキュリティマネジメント試験の延期、また試験実施した区分でも直前の試験会場の変更などもありました。
試験当日は、朝の検温を記載した紙を持参することも初めてでした。また試験会場によっては現地でも再検温があったようです。
全員がマスク着用の為、受験票の写真と本人確認の際に、試験中にマスクをいったん外しての確認がありました。
いろんな意味で試験の運営側も受験生もこれまでない形での受験になったようです。
何回も使われてきた監督側の運用マニュアルには多くの加筆事項があったことでしょう。
もともと春に実施予定だった試験の為、春に印刷した問題をそのまま使用するのかと思いました。試験問題の表紙の実施年のところには「令和2年度」とだけかかれ、いつもなら「春期」あるいは「秋期」とかかれるところがぽっかりと空いた形で印刷されていました。春実施予定の問題をそのまま使ったかどうかは、わかりませんが、問題の内容は同じだったとしても印刷し直したのですね。また秋に実施したものの、本来は春期に実施予定だったのですから、秋期とは表記できないという事情がありますね。
コロナの影響で、世の中の働き方やいろんな運営が変わった中で、この試験制度も今回に限らず先を見据えて改革が進むことでしょう。
基本情報や情報セキュリティマネジメントがCBTに移行する流れもその一つです。
今後、他種別の午前問題にもこのCBT方式が普及することを期待したいです。
また午後Ⅱ試験が論文形式で解答する種別の論文についても、手書きからパソコンを使った受験形式に移行されれば、受験生の負担、採点者の負担がずいぶん軽減されるのではないかと思います。本来求めている技術者像の本質は、手書きで試されるものではないからです。
数年後には既合格者が
「むかしは手書きで大変だっだよ。漢字なんか忘れちゃって困ることもあるし、手書きになれなくて手がしびれたりしたものだったよ。」
と、その時の受験生に語っていられるようになってほしいと願います。
2.今後の試験対策に見ておくべき問題と振り返り
さて今回この試験を受験された方も、今後受験を考えている方が今やるべきはどんな試験傾向であったかです。
☆AU午後Ⅰ問1、PM午後Ⅰ問1 「デジタルトランスフォーメーション推進」
システム監査もプロジェクトマネージャも午後1問1には「デジタルトランスフォーメーション推進」に関する問題が出題されています。
この2種別の試験区分を受験する人に限らず、ほかの高度試験を受験される人にとって「デジタルトランスフォーメーションを推進する」という点で、その背景や推進体制、また監査で出題されているPoC(Proof of Concept:概念実証)の実施についてはかなり参考になります。このPoCに絡むところとしては、
☆PM午後Ⅱ問1の「未経験の技術やサービスを利用するシステム開発プロジェクトについて」
プロジェクトマネージャでは未経験の技術やサービスを利用するプロジェクトをマネジメントする際に、開発フェーズの前に、実現性を検証するプロジェクトフェーズ(検証フェーズ)を設けることが示されています。検証フェーズの情報をもとにPMが開発フェーズの計画を更新することが問題文に書かれています。設問では検証フェーズでの実現性への検証のやり方や、開発フェーズの更新への活かし方などの論述が求められています。
DXの問題は今後ほかの種別でも出題されることが予想されます。
経済産業省やIPAが出しているDX関連の情報を見ておくことも大切です。
デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました (経済産業省)
DXについては、このオルタナティブ・ブログで斎藤昌義さんが書かれている「ITソリューション塾」の記事がとても深い勉強になります。このレベルでDXを理解できていると午後Ⅱの論述ができるレベルになれるかと思います。ぜひ、さかのぼって読んでみてください。
なお、2020/10/20~種別ごと順次解答速報が業者サイトで公開されます。
TAC株式会社 https://www.tac-school.co.jp/kouza_joho/sokuhou.html
(*この回答はTACの独自の見解であり、本来の試験の正式解答ではありません。)
IPAの正式な解答発表は12月になってしまうものもあるので、まずはこちらでチェックしてみましょう。