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あなたの転職はなぜ失敗するのか?(2)

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 このシリーズの前回のエントリを書いてからずいぶんと経ってしまいましたが、「こんなはずじゃかった」を起こさないための第2話です。

 それにしても、ご無沙汰している間に転職関係ブロガーが増えていますね。転職アドバイスのプロがたくさんいる中で、この話題を続けるのは少しタフですが、勇気を持って(笑)。

 さて、「こんなはずじゃなかった」を起こさないための2つめのポイントは、「自分モノサシを持つ」ことです。あなたは転職の際、何を基準に転職先を選んでいるでしょうか?多くの人が、「給与の高いところ」を一つの基準に選んでいると思います。給与は自分の働きに対しての報酬ですから、報酬が多いほうがいいのは当然です。同様によく聞くのは「やりたい仕事ができるところ」ですが、この「やりたい仕事」が問題です。

 「やりたい仕事」って何でしょうか?一度考えてみてください。採用面接で、「やりたいことは何ですか?」と問うと、多くの人が「今までの経験を生かせる仕事」と答えます。過去の積み重ねにしか視点がいかなければ、結局は、いままでの経験を生かして待遇の少しでも良いところという選択肢になってしまいます。

 ここで、大事なことは、あなたの将来の目標は何か?ということです。5年後、10年後にはどういう自分になりたいのか?その姿に向かうための道筋として近づくのか遠ざかるのか、プラスなのかマイナスなのか、その度合いを給与とは別のもうひとつのモノサシとして転職を見ることができます。

Mymeasure300  「給与」を「客観的なモノサシ」と「目標」を「自分のモノサシ」をそれぞれ軸として描くと右図のようになります。「客観的なモノサシ」と「自分のモノサシ」が完全に一致すると、赤い矢印になりますが、世の中そんなに都合のいいことはあまりありません。例えば(A)は、給与のアップ額は大きいけれども、目標とは逆方向にいくパターン。(B)は、給与のアップは十分だけれども、目標には少ししか近づかないパターン。(C)は、目標には近づくが、給与はあまりアップしないパターン。そして、(D)は目標には大きく近づくが、給与はダウンしてしまうパターン。

 特に、目標が大きいほど、そこに至るステップは大きいので、「今までに経験をしていないこと」をやる可能性が大きくなります。そして、「今までに経験をしていないこと」を仕事にする度合いが増えるほど、「即戦力」になる度合いが下がるので、給与アップの可能性が下がります。ある意味でジレンマですが、転職をこの軸に映しこんで考えることで、「こんなはずじゃなかった」という転職を減らすことができるでしょう。なぜならば、「こんなはずじゃなかった」の多くの原因である仕事の内容に関して、給与と独立した視点で評価することができるからです。

 ちなみに私は2回転職していますが、2回とも(D)にあたる転職でした。最初は、エンジニアからマーケッターへの転職です。当然、給与は下がります。しかし、私は前の会社での経験から自分の考えるソフトウェアを世に出すためには開発ができるだけではなく売る側のことも知らなければならないと考えるにおよび、経験のなかったマーケティングを希望しました。2回めはインフォテリアの起業です。マーケッターから経営者へと職を変えました。広義には転職と捉えられるでしょう。このときも給与を大きく下げました。経営者としては初心者で、マーケッターとしてやっていた価値を出すことができないのは当然なので、最初下がるのは当たり前です。

 これまでにも、「給与こそが自分の実力のものさし」「前給以下では絶対転職しない」という人にも結構会いました。しかし、「こんなはずじゃなかった」になってしまえば、自分の人生の中の大切な時間を浪費してしまうことになりかねません。「自分のものさし」を持つことで、判断をより多面的に目標に向かって確かなものにすることができるのではないでしょうか。

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