オルタナティブ・ブログ > Alternative 笑門来福 >

ソフトウェアは私たちに幸福をもたらすことができるのか

「日本流」、「世界流」そして「自分流」

»

 日本流の話が続いていますが、2週間ほど前に日本IBM前社長(現 経済同友会代表幹事)の北城恪太郎さんにお会いして、この話題に関連する話を聞く機会がありました。北城さんは、この一連の話題の発端となっている日本IBMの社長に1993年に就任し、業界の構造変革の波で業績不振が続いていた同社を新たな成長軌道に乗せた人として知られています。

 お会いした席で、北城さんが、自分が日本IBMの社長時代に言い続け実行してきたことの一つとして「朝令暮改を恐れるな」という話をされました。そこで、私は「それはIBMグループ全体のカルチャーとかポリシーでしょうか?それとも日本IBMのものでしょうか?」と聞きました。

 北城さんの答えは、「IBMグループでもないし日本IBMでもない、私のやり方だ。」ということでした。曰く「社長が自分自身の信念を中心に据えなくては人はついてこない。お仕着せのお題目を掲げてもうまくいかない」と。そして「それを実現するためには、自らが言い続けることが大事だ」と。

 さらに、私は「日本IBMは『日本流』でその礎を作ることに成功したと言われていますが、北城さんの時代に、日本IBMのやりかたと本社のやりかたで、意見が食い違ったり戦ったりしたことはないですか?」とストレートに聞きました。そうすると「日本とか本社というのは記憶にないが、自分のやりかたという点ではありますよ」という答えでした。なるほど。

 私は外資系企業における「日本流」の実現のためには、日本法人の経営トップの意思が大事だという意見(経験)を以前述べましたが、北城さんのそれは「日本だから」ではなくて「自分だから」だということを明確におっしゃいました。外資系企業にもかかわらず、その寄って立つところが「本社がこうだから」ではなく「日本市場がこうだから」でもなく「自分がこうだから」と言い切れるパワーには凄みを感じました。こういった自分力(?)の高いトップが多くの人を惹きつけ、そしてその組織が国内だけでなく海外でも影響力を発揮していくのでしょう。私にとっても本当に有意義な時間でした。

Comment(2)