オルタナティブ・ブログ > テクノロジーと希望 >

開けてしまったらあふれ出すテクノロジー。そこには希望が残っていた!

情報の信憑性・信頼性

»

 先日、ある大学で講義をした際、学生から「新しいテクノロジーを紹介するのが仕事、ということでしたが、どういうところからニュースを集め、その中からニュースの信頼性はどうやって調べるんでしょうか」という質問を受けました。

 そのときの回答としては、「自分が信頼する人の意見を聞く」「客観性のあるニュースソースをたくさん読む」ということと、「標準化団体などの場合は、協賛企業の数や寄金などでも信用度が増す」という話をしました。

 ちょっとこれについてまとめたいと思います。

 ただし、これは私が自分の活動のやりかたを紹介しているだけで正しいかどうかわかりませんし、そもそも信頼できる情報なんてないのかもしれません(占いみたいなもんですから)。もっと良い方法もあるかもしれないし、最適ではないかもしれません。

 まず、どこから集めるか?という質問。

 たくさん読みあさるしかないですね。IT関連メディア、標準化団体、各社から出る、ニュース、プレスリリースなどを、フィードや最近だとツイッターなどで読みます。多すぎて、キャッチするのも大変ではあります。

 次に、私の場合はベンダーの人間ですから、社内からの情報がいろいろ入ります。一つは社内のニュース。本社や部門等からいろいろニュースが出ていますので、そういうのに目を通すのも、そりゃ大変です。あと、私の場合はUSの「ストラテジー&テクノロジー」という部門の人にお世話になっていて、そこからテクノロジー戦略やアーキテクチャーの検討情報などをもらいます。研究所の人達とテクノロジー動向の情報交換会もやっているので、そこでも研究部門、開発部門で話題になっていることなどを口コミでもらいます。

 次に、どれに飛びつくか?ということですね。

 まず、再度言いますが、私はベンダーの人間なので、自社テクノロジー優先です。一応、給料もらってますから(笑)。でもって、「なぜそういう方向へ行くのか?」「全体像はどうなっているのか?」ということを米国の関係者をつかまえて、根掘り葉掘り聞きます。

 そして順位づけが起こります。

 もっとも早く手をつけなければいけないのは、製品計画がわかるものです。製品計画は、テクノロジー投資のかなり最終段階なので、急いで世の中に伝えないと、テクノロジーや弊社のリーダーシップの知名度が定着する前に、他のベンダーの知名度が上がってしまったり、製品が発表されてしまって、「売り出したけどまったく売れない」ということになってしまうからです。テクノロジーの検討や浸透には時間がかかりますので、製品を市場投入するよりかなり以前から話題をつくっておかなければいけないのです。

 次に手を付けるのは、お金のつき具合が良さそうなものです。たとえば、どこかのブランドが開発投資をしているもの。研究員や開発者が多数存在すること。といったものです。

 また、オープンになっているものも優先します。オープンソース・ソフトウェアになっているとか、インターネットに無料で公開されているもの(Project Zero, Jazz Project, alphaWorks など)です。ダウンロードして試していただくことができるので、優先度を上げます。

 オープンには「標準化団体」で決めている規約などもあります。最近だとHTML5が話題ですね。そういったものも、かなり沢山のものに投資をしているため、どれを優先するか悩むところですが、これは「参加人数(どれくらいのベンダーが参加しているか)」「活性度」ということが大きなポイントとなります。1社しか参加していない規約で、もう6ヶ月もアップデートがない、というようなテクノロジーは、そうとうあやしいです。

 そして、あとは周りの人の意見を聞く(読む)ことです。話している(つぶやいている)内容でもいいでしょうし、会話して聞き出してもいいでしょう。

 最後に、これは質問の回答として答えなかったのですが、私は自分でさわってみて納得しないかぎり、基本的には自分のネタとして取り上げません。プログラミング・プラットフォームならプログラムを書いて動かしてみて、ソリューション・ソフトウェアなら、一定の操作を体験してみて、始めて「このソフトウェアは、こういう目的で、こういう問題を解決してくれます」と示すことができるのです。

 こうして、多くのニュースソースから、自分の仕事として時間を割くべきテクノロジーを選定し、順位づけして、仕事を割り振り、市場へメッセージを出していくのが仕事となっています。とはいっても必ずしもうまくいっているわけではなく、ある日とつぜん「え、そんなテクノロジーにそんなに投資してたの?」ということになることも多く、反省の毎日です。

Comment(0)