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この「OSS」には「夢」がある!!−日本OSS貢献者賞の受賞式に行ってきた

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 俺も8月の中旬の週末に東京ビッグサイトの某イベントに行って、ここのブログに「オタ」とか書いてみたかったとか思っている今日このごろですが、みなさまこの暑い夏をどうお過ごしでしょうか?そしてこのブログの更新が滞っているのはネタが無い訳ではなく、文章を書く時間をひねり出す気力が無いからです……。

 さて、8月23日、秋葉原コンベンションホールで行われた日本OSS貢献者賞の受賞式に行って参りました。ということで軽くレポート。

 日本OSS貢献者賞は、オープンソースソフトウェア(以下OSS)開発の振興を図るために、OSSの開発やその普及促進に貢献した人物を表彰する制度だ。この賞は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)よって今年から創立されており、受賞者は実行委員会や一般からの推薦を受けノミネートされた候補者39名から審査委員会の審査によって選ばれる。

 今回、栄えある第1回の受賞者は4名。Debian Projectほか多数のOSSコミュニティに参加している鵜飼文敏氏、Linuxカーネルハッカーである高橋浩和氏、Namazuやquickmlなどの開発者である高林悟氏、Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏である。

受賞内容の詳細は以下の通りだ。

鵜飼 文敏(うかい ふみとし)氏
 鵜飼氏は世界最大のコミュニティベースのLinuxディストリビューション「Debian Project」の日本における主要メンバーであり、その成果はDebianProjectの本体にも取り込まれている。Debian用のHotplugやテキストブラウザ「w3m」など、多くのOSSプロジェクトに参加し、OSSの品質向上や機能改善にも広く貢献しており、鵜飼氏の恩恵を受けたOSSプロジェクトは数知れない。
 また、FSIJ、日本Linux協会において中心的な役割を果たし、日本におけるLinuxおよびOSS普及に対しても、長年にわたり多大な貢献を行ってきた。

高橋 浩和(たかはし ひろかず)氏
 高橋氏は高速ネットワークファイルシステム開発をはじめとし、Linuxカーネルの様々な機能強化に努めている。また、これらカーネル技術を基にした障害解析サービス、コンサルティングなどのOSSビジネスを立ち上げたことも、日本のOSSにおける功績として高く評価できる。
 また、高橋氏はカーネル開発の方向性に大きな影響を与える重要な世界的な会議Linux Kernel Summitに日本から初めて招待されるなど、Linux開発コミュニティからも認められている。

高林 哲(たかばやし さとる)氏
 高林氏は全文検索エンジン「Namazu」をはじめ、手軽にメーリングリストを作成できるメーリングリストシステムquickml」 ソースコード検索エンジンgonzui」等、数々のソフトウェアを開発しOSSとして公開している。
 「Namazu」は中央官庁、企業など、多くのホームページ上の検索機能として活用されており、現在日本で最も普及している日本語全文検索エンジンのひとつといえる。また「quickml」「gonzui」はどちらも着想力に秀でたソフトウェアであり、高林氏のクリエータとしての取り組みはOSSコミュニティに多大な影響を与えている。

まつもと ゆきひろ氏
 まつもと氏は独自のプログラミング言語「Ruby」を開発した。Ruby」はその機能の多様性、間口の広さから初心者から上級者までがその目的を遂げるに十分な機能を有するプログラミング言語である。その利用用途はごく小さな個人用のプログラムやWebページの作成など多岐にわたる。海外での普及も進んでおり、アメリカでも毎年カンファレンスが開かれている。
 まつもと氏は「Ruby」言語の開発環境を整備し、Ruby上の数多くのOSS開発を促進し、グローバルなOSSコミュニティの形成とOSS開発者の育成に多大な貢献があった。日本のOSS開発の第一人者として誰もが認める存在である。
(50音順)

(IPAプレス発表http://www.ipa.go.jp/about/press/20050823.htmlより)

 でまあ、表彰式自体はつつがなく進んだのだが、第2部の受賞者によるプレゼンテーションが面白かった。くに事前には明確な発表テーマは決められていなかったようで、それぞれ鵜飼氏、高橋氏がご自身のOSS活動歴やキャリアの紹介、高林氏は自己紹介と自分とOSS活動との関わり方、まつもと氏はオープンソースに対する考え方について、それぞれプレゼンが行われた。

 印象に残っているのは、まず「カーネルについて議論できる相手が日本にはいない」という、高橋氏の発言だ。議論をしようとすると、どうしてもネット上で、物理的に遠く離れた方々と英語で、となってしまうそうだ。また、カーネル開発者になるには個人の資質に加えて、お金と時間も必要だ、と述べている。

 個人的にはカーネルに興味はあり、仕事でやるのは楽しいだろうなぁ、と思うが、趣味で触るにはちょっとハード過ぎるな、という印象である。しかし、現在多くの企業で、LinuxやOSSの利用は進んでいるものの、その開発に積極的に関わっている日本の大企業というのはあまり聞いたことがない。IBMやSUN、HPなどは積極的にOSS開発にも取り組んでいるが、日本企業も見習って頂きたいものである。

 また、高林氏の「OSS活動を続けてよかったこと」では、OSS活動を続けることでほかの開発者とのネットワークができ、また知名度があがることで記事執筆の機会やネットワークを作りやすくなる、そしてそれにより技術を継続的に学習できることを挙げていた。ほかの受賞者の方々からも、OSS開発にはコミュニケーション能力が必要だ、日本人開発者にはコミュニケーション能力がもっと必要だ、といった声が挙がっている。ただ、個人的に思うのは技術力とコミュニケーション能力の両方を備えている人というのは数多くいるが、そのような開発者の方々が積極的に開発コミュニティに関わろうとしない、というのが問題なのではないだろうか? 

 まつもと氏はソフトウェア開発について、「地獄にも天国にも御馳走の大皿と長い箸がある。ただ、地獄では皆自分で口に入れようとして失敗するが、天国では互いの口に御馳走を入れてあげる。ソフトウェアも規模が小さい(=箸が短い)ときはうまくいくが、大きくなると(=箸が長くなると)どうにもできなくなる」」というように述べていた。まさにそのとおりであろう。

 そのほかにも、プレゼンテーションではOSS開発者の地位向上や、企業を越えた人材の流動化や横のつながりを作ることなどが訴えられており、非常に考えさせられることが多かった表彰式であった。

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