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【読んでみた】長野県の小さなタクシー会社に学ぶ、「普通のことを全力でできているか?」

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少し前には「カンブリア宮殿」に、昨日の「アンビリーバボー」でも特集が組まれるなど、このところテレビメディアにも引っ張りダコのタクシー会社が、長野市の中央タクシーです。
以前、クエストリーさん主催のセミナーにて、宇都宮会長の講演を聞き、涙が出るほど感動した、地方の小さなタクシー会社とは?
わたくしが四の五の申すまでもありませんが、少しでも多くの方に知っていただきたいと思い、ちょいと書かせていただきます。

普通、街なかのタクシーというものは、流していてもなかなかお客さんがいないので、駅のロータリーなどで順番待ちをすることが多い。
でも、そこに中央タクシーの車両は一台もありません。なぜなら、お客さんからのコールがひっきりなしで、待っている暇などまったくないから。
つまり、ご指名客がほとんどなのです。タクシー会社としては、極めて効率のいい状態ですね。また、運転手さんの歩合給の部分も、言わばほぼマックス稼働ですから自然と高止まりするわけです。
完全な好循環。

ではなぜ、中央タクシーにだけご指名が来るのか?です。

これも、聞いてしまえば大多数の方が当たり前と感じるのだと思いますが、中央タクシーの根本理念は「お客様が先、利益は後。」それだけ。
よくある顧客第一主義?
いや、レベルが違いますね。全然違う。

最近、以前と比べてタクシーの運転手さんの対応がよくなったことは、誰もが感じていることだと思います。乗車時にきちんと挨拶などしてくれる人がほとんどですし、昔よく感じた「やさぐれた」イメージはなくなりました。
しかし、中央タクシーのサービスは、そうした表面上のものではなく、運転手さん各々の心の中からガチで「出てきてしまう」そういう類のものです。

例えば、財布をなくしたというお客さんに対して。お客さんを降ろしてから、気になって拾った場所まで戻って探してあげるとか。(しかも偶然見つけちゃったりする!)
また、車酔いで吐いて、服を汚してしまった旅の途中のお客さんに対して。「捨ててください」と言われた服を、自分でクリーニングしてホテルまで届けてあげるとか。

つまり、業務は関係なしで、ひとりの人間として「困っている人のためにやってあげたい!」と思ったことを、そのまま行動に移しているのです。会社も、「お客様が先」という理念に合致していれば、一見そんな非効率なことでも問題にはなりません。むしろ経費を使ってもOKと奨励しているほど。
普通なら降ろしたお客さんはもう完全に他人。自分には関係ないと思っても、仕事的には問題ありません。しかし企業風土としてそれができないのが、中央タクシーというわけです。

その結果、タクシーに乗るなら中央タクシー!という、ファンを増やし続けることになるのですね。

でもこれ、全社でそういうマインドになってないと起こらない現象ですよね。どうしてそんなことができたのか?
実は、中央タクシーでは経験者は採用しません。業界未経験の人だけを、効率は悪いが一から育てる。つまり、業界の悪しき習慣、雰囲気を身につけてしまった人はシャットアウトしているのです。
結局、社内の「浄化」には20年かかったそうです。

壮絶ですけども、他の会社が真似しようとしても絶対できないわけですね。

最初は、ぽかーんと聞いていたわたくしですが、自分の仕事にも活かせられないか?考えるようになりました。

うちは、アスクルをはじめとした通販の会社ですが、それだけに普段お客様と顔を合わせることが圧倒的に少ない商売なんですね。
だから、こういうプレミアムなサービスというのはできないと思っていたのです。
しかし、最近そうじゃないんではないかと考え直すようになりました。

アスクル代理店というのはなかなか難しいビジネスで、新規にお客様とお取り引きするようになっても、知らない間に競合の他のサービス、カウネットやたのめーるに流れてしまったり、アスクル内でも他の代理店さんに変更されてしまったりと、普通にしていれば「お客様はどんどん漏れていく」ビジネスです。

漏れさえなければ、新規営業すればするほどお客様と売り上げは増えていきますが、実際は、そうは問屋が卸さないわけです。

お客様とほとんど会わないビジネスで、どうしたら漏れを食い止めることができるのか?

その、大きな比重を占める答えが、この中央タクシーにあると思ったのです。
すなわち、接触の回数は少ないが、ゼロではない。数少ない接触のチャンスに、全力で臨めばどうなるか?例えば何気ない軽い問い合わせ時であったり、ハードなクレーム時であったりです。
要は、お客様は何かしら困って電話をされるわけであり、それがわれわれの対応で100%解決できているか?いや100%以上の応対ができているか?逃げていないか?テキトーに済ませてないか?

もちろん、普段おかしな対応はしていないことは断言できますが、「神対応」と言っていただけるほどの全力投球はできていないんじゃないか?
自問するわけです。正直、できていない。

いや、中央タクシーの運転手さんにしてみれば、「特別なことをしているわけじゃないんですよ。普通に考えて普通にすべきことをしているだけです。」とおっしゃる。そこが何ともかっこいいわけですが。(^^ゞ

数少ない、お客様との接触を、サービスできるチャンスと考えてどれだけ親身に応えられるか?
それをコツコツ続けることで、漏れの穴は少しずつですが小さくなっていくんじゃないか?中央タクシーのように20年もかかることはないでしょう。(大変失礼な言い方で恐縮ですが)昔のタクシーの運転手さんのように「やさぐれていない、普通の人の集団であるわれわれ」なら、もっと早くできるでしょう。
わたくしの中で、今一番大きなテーマですね。

興味を持たれた方は、ぜひ宇都宮会長の書かれた本を読んでみてください。
何か感じるところが、あるはずです。

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