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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

商才

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商才は重視されない

ピアノの才能、サッカーの才能、習字の才能、、、絵を書く才能、文章を書く才能、工作の才能、、、

才能にもいろいろありますが、「商才=商売の才能」ほど、本当は大事なのに、多くの人々から重視されない才能はないと思います。

どんな小さな組織でも、およそビジネスをしようというのであれば、その中に1人は商才を持つ人間が必要です。しかし、日本ではその才能があまり重視されず、それどころか、むしろ蔑まれるような位置に押し込められているのはなぜなんでしょうか。。

映画「マルサの女」では、山崎努さんが演じる実業家「権藤英樹」(この人は脱税者であり許されるものではないですが、それと商才は別物でして、彼の持つ非凡なる商才には国税局の花村さんも畏敬の念を表してます)の小学生の息子も、やはり類い希なる商才の持ち主で、学校で今のメルカリのような事業を始めますが、先生に「楽して儲けるのはダメだ」と叱られたと告白します。

その子は「商売は楽じゃないよ。物をほしがる人を探して、持っている人を探して引き合わせるんだ。価格の折り合いをつけたり、買ってすぐ壊れたとかの問題にも対応しなきゃいけないし、大変だよ。」と不満を漏らし、主人公の板倉(宮本信子)も「面白そうね!」と素直に興味を持ちます。

あ、そう考えるとこの映画はメインは脱税者と税務署・国税局との仁義なき鬩ぎあいであるのですが、全体を通して脈々と「商才へのリスペクト」が横たわっているという珍しい映画でしたね。

なかなかに古い映画で、エログロなところもあり、高校生などにはそぐわないかもしれませんが、大人の方で興味のある方は一度見てみてはいかがでしょうか?

ある経営者との出会い

私が20代の頃に出会い、20年以上お付き合いをさせていただきながら、その商才に感服し、今も尊敬してやまない社長がいます。

その方は当時、集団学習の塾を経営されていました。彼の学習塾は首都圏で10校舎以上を展開する準大手と呼んでも差し支えない大きな会社さんでした。しかし、社長は常に次の手を考えている「あがく」系の経営者でした。

その頃の学習塾と言えば、少子化の影響が徐々に深刻化してきた時期で、この業界はいずれ先細りだ、なんとかしなければという雰囲気が業界全体に蔓延していました。

多くの塾はこう考えました。「少子化とはいえ、子供が少なくなれば親が一人の子供にかけられるお金は増えるだろう。これからは少人数制の授業にして、単価を上げよう。」と。

実際そのような方向に舵を切った塾も多いです。

しかし社長はその先を読みます。

少人数制の塾を維持するためには優秀な講師を多く雇わなければならない。首都圏の塾ならまだしも地方の塾では講師の奪い合いになって時給は上がり、経営は成り立たなくなるぞ。

そこで、彼が考えたのは

「どんな教科でも教えられる時給100円のスーパー講師」

でした。

別の言い方をすると、これはいわゆる「オンライン学習システム」で、そのシステムを作って少子化にあえぐ地方の小さな塾に使ってもらおうという話です。

ただ、社長の中ではこれはあくまでも「学習システム」ではなく「スーパー講師の派遣」なのでした。そこに、誰視点でビジネスを考えているかの違いが如実に表れています。

そして、彼はよく私にこう言ってました。

「正直、授業の動画ファイルなんて持って行かれても構わないんだよ。このシステムは動画が売りなのではなく、先生が一人一人に対ししっかりと考えてカリキュラムを組んであげられるところが売りなんだ。だからそんな対策にお金を使わないで欲しい。まずは、とにかく安く早くサービスを提供したい!!」

すると、このコピーが当たってか、また低価格戦略が功を奏したか、そもそも先行して自塾で使用した説得力によってか、彼のこのサービスは次々大手の同ドメインサービスを駆逐していきました。

商才を持つ経営者は天邪鬼

また、同時にこのサービスは青色吐息だった多くの地方塾経営者を救ったという事実も見逃せません。うまくいくところには明確な受益者が必要ですね。

それがうまくいくと、今度はその実績を持って、大手学習塾へのOEM販売を手がけていきました。また個人の独立支援にも乗り出し、このサービスを使えば大きな投資をせず、リスク少なく塾が起こせると謳いました。

彼はこのサービスが売れ始めると自社の集団学習の塾を徐々に縮小し、このシステムを使った形式の塾にシフトしていきます。その運営の中で出てきたアイディアをまたシステムの機能に組み込み、それによって他社のシステムにはない、ニッチで刺さる機能を充実させていきました。

私が特にすごいなぁと思うのは、うまく行き始めてからの戦線拡大の巧みさもさることながら、初期の「少子化で業界が萎む」という時の判断ですね。

「業界が萎むから自分達も小さく身構えよう」ではなく、「業界が萎むなら困っている人が出る。そこで商売が起こせる!」という発想です。

こんな発想をする人間は一般には「天邪鬼(あまのじゃく)」と揶揄され疎まれるものですが、天邪鬼とは人間が本来持つ感情を口にしているだけだと聞いたことがあります。

一本揺るぎない筋が通ったもっとも素直な妖怪、それが天邪鬼。

思えば、うまく行っている会社の経営者というのは、常に世の中の反対のことを言っているのではなく、彼の中には確固たるポリシーがあり、それと世間のトレンドが乖離した時に反対を言っているように見えるだけな気がします。


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