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ベトナムでの現地採用面接に立ち会ってきた ~海外進出ってどうよ6

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ベトナムの2日目は連続9人の採用面接に立ち会わせていただきました。
今回は他社の面接にずうずうしくもお邪魔した格好ですので、あまり詳細に書くことはできませんが、総括的な感想を書かせていただこうと思います。
■給料が思ったより高いぞ
まず第一に思ったことは、彼らの希望する給料が日本で聞いてきたそれよりも4~5割高い、ということでした。
基本的に、日本語ができず、プログラムがしっかりできそうな人で、月収6~8万円。
日本語が堪能で業務知識もあるような、いわゆるブリッジSEとなると12万円とか15万とか要求してきます。
結構高いです。日本の1/4程度でしょうか。ただまあこれは希望ではあり、そこからネゴシエーションが始まる訳ですが。
■日本人とよく似ている
ベトナムの方とちょっと話してみて一番印象に残ったのは、「はにかみ笑い」と「謙遜」ですね。
「あなた、日本語上手ですね。」
とか言って誉めると、はにかんだ笑いを見せて「いや、まだまだ全然です」と言ったりします。日本人的には心地いいです。
私もそんなに外国人を知っている訳ではありませんが、中国人でも韓国人でもフィリピン人でもこういう「はにかみ笑い」を見たことはないですね。
どことなく親近感を覚えてしまいました。
ホーチミン.JPG
(写真と本文は多少関係あります。たぶんホーチミンさんの像です。)
■出来る人は出来そう
エンジニア志望の応募者のうち、2~3割くらいの人はかなり即戦力レベルだったように思います。今回募集していた職種は、たとえばスマホのネイティブアプリとデータベースをつなぐAPIをPHPで書けるようなプログラマでしたが、それに関しては確かに出来そうな人が数人いました。
Symphony、CodeIgniter、zendと、弊社でも普通に使っているフレームワークが、職務経歴書の過去実績として出てきます。ちょっと突っ込んでもきちんと答えられるので、恐らく出来るのでしょう。
日本人でも「この人、知ってるのは知ってるけど実際に書けるのかどうかからないなぁー」という人はいますが、書ける人に関してははっきり分かります。いわゆるコードの臭いのする人です。
■労働市場は流動的
ただ、彼らは言ってみればベトナムでは引く手あまたのスタープレーヤーでして、就職が決まっても人材紹介会社から席を抜かずに常に待遇のいい会社を狙っているようです。まあそれがプロの生き方と言えばその通りで、それを「ずるい」などというのは経営側の甘えでしょうね。
それと関連することかも知れませんが、一人のエンジニアに「あなたはどういう会社を探しているのですか?」と質問したところ、ちょっと困った顔をして「会社は入ってみないと分からないので、自分に合っているかどうかは入ってから判断する」と答えました。
これは私にとってかなりの衝撃で、日本人でこんなことを言う人は未だかつていたことがありません。
日本では基本的に少なくとも1年くらいはいるつもりで就活をするので、間違ってとんでもない会社に就職しないように、しっかりと事前に募集要項やホームページや社長ブログ、口コミサイトなどを読んできます。
「入ってみて、ダメだったら辞めますわ」
とあっけらかんと言うところに、大きな文化的ギャップを感じました。
■ITエンジニアは強気
これは、後からベトナム在住の方から聞いた話ですが、「入ってみて、ダメだったら辞める」なんて言うのはITエンジニアだけで、製造業の工員ではそんなことは言わないようです。
ベトナムでは、ITエンジニアは辞めてもいくらでも職があるし、実際もし700ドルで雇ってもらったら、その実績を持って次の会社とは800ドルで交渉するらしいです。
その意味で、会社からクビになっても訴訟沙汰になるようなことはほとんどなく、「あ、そうですか」ということで別の会社を探す傾向があると教えていただきました。
社会主義国ですので、本来解雇要件は厳しいようですが、IT業界では解雇は事実上ほとんど問題にならない、という話を複数の方から聞きました。
■「こういうサービス作ってみたい」が無い
彼らに「今流行っているサービスで、『こういうのいいな』『こういうの作ってみたいな』というのありますか?」と聞くと、まあまず期待するような答えが返ってきません。
そもそもwebサービスやスマホアプリに対する熱い思いが無いというか、ユーザーとしての興味がないというか。
恐らく普段から使ってないのでしょうね。
従って、日本人の若いエンジニアのように「仕事はお金じゃないんだ」「やりがいがあればタダでもいい」というような発想の人は皆無です。ボスが作れと言うものを作るだけ、というように見えました。
いや、中にはいるのかも知れませんが、今回お会いした方々と同じクラスタの中には相当いなさそうです。
■コミュニケーションは大変そう
「あなたは周りの人から、どんな性格の人だと言われますか?」
日本企業の採用面接でよく聞かれるこんな質問は、言葉の壁によって相当間違って伝わります。
通訳の人でさえ、この質問の意味が分からないように感じられました。
ブリッジSEを希望する日本語が無茶苦茶堪能な方でも、最後までこの質問の意味が分かりませんでした。
この質問では、客観的な視点から自身の性格を語ってもらうことで、自分の良いところ悪いところをちゃんと見えているか、見えていたとしてそれを正直に他人に表現することができるのか、周りの人達との交友関係はどんな感じなのか、などなど知ることができるのですが、質問の意味が伝わらないのではどうしようもありません。
この質問は
面接官「あなたはどういう性格ですか?」
応募者「○○な性格です」
面接官「それは誰かに言われたのですか?」
応募者「友達や親に言われます」
くらいまで分解しないといけないようです。まあこれだとちょっとニュアンス変わって来ちゃうんですが。
基本的にうちの会社では、素人に近い人を採用して、会社の中で育てていくスタイルを採ることが多いのですが、それだとまあちょっと言葉の壁的に難しいかなと思いましたね。
ただ、かといって経験者を採るといつ辞めてしまうかわからず、それもなかなか厳しいな、と朝9時から夜7時くらいまでぶっつづけで面接を行い、フラフラになりながら、こんなことを思って来ました。

 

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