【講演資料】Facebookビジネス活用最前線 その1「消えた顧客を追え!」
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お世話になっております。
ループス岡村です。
12月16日、財団法人ハイパーネットワーク社会研究所が主催する、ハイパーフォーラムにお招きいただき、講演をさせていただきました。本エントリは、その際に使用した資料の紹介です。当日使用したスライドの抜粋に、話した内容などを付け加えながら、数回に分けて公開させていただこうと思います。
■目次
用意したスライドは、大きく以下のような構成になっています。
- なぜ今、ソーシャルメディアなのか
- 3つの理由
- 人がいるから
ソーシャルメディアの利用者動向について。 - ネットの情報が多すぎるから
ソーシャルフィルタリングの話。 - 競合も似た戦略をとっているから
人材の活用による差別化について。
- 人がいるから
- 3つの理由
- Facebookについて
- 世界と日本、それぞれの普及状況
基本情報あれこれ。 - ビジネス活用のケーススタディ
- コカコーラに学ぶ、ソーシャルメディアとの付き合い方
- リーバイスに学ぶ、自社サイトとの統合方法
- スターバックスに学ぶ、ブランドとの融合
- 国内事例(まいあめ工房、あいらぶ岡山、無印良品、楽天)
- ビジネスに使えるかもしれない機能紹介
- ローカルディール
- Facebook広告
- 仮想通貨
- 世界と日本、それぞれの普及状況
今回は上記目次のうち「なぜ今、ソーシャルメディアなのか」の一部までを紹介させていただきます。ソーシャルメディアに詳しい方にとっては、当たり前の情報ばかりで恐縮ですが、ご覧になっていただければ幸いです。
■なぜ今、ソーシャルメディアなのか
Facebookの紹介をする前の前提知識として、Facebookも含むソーシャルメディアに注目すべき理由について3点ほど挙げさせていただきました。
本当は、「ソーシャルメディア」という呼び名はあまり適当ではないと思っているのですが、一番認知されている言葉だと思うので使っています。ソーシャルなメディアと言っても、実体は主にインターネットを介したシステム群です。このようなメディアが重要視されている背景には「人々がテクノロジーを使って、自分が必要なものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達する(グランズウェルより)」ようになってきた社会動向があると言われています。ソーシャルメディアにおける人々の相互作用は、インターネットが元々持っている潜在能力の一部に過ぎないとも考えられますが、技術のコモディティ化や利用者の習熟度向上も手伝って、既存メディアに匹敵する大きな影響力を持つに至ったという点が注目されている所以だと思います。
■理由その1「人がいるから」
講演のテーマは「ビジネス活用」なので、まず「人がいる」ことが重要です。
事業を営んでいる方にとっては、Facebookやその他の、「ソーシャルメディアそのもの」が重要なのではなく、「そこにいる人々に用がある」のだという当たり前の事実を、始めにきちんと確認しておきたいと思います。
ところで、ソーシャルメディアに「人」がいるって本当でしょうか。
2008年に行われたフォレスター・リサーチの調査によると、どうやらソーシャルメディアに人が集まっている事は間違いなさそうです。国内ネット利用者の81%が何らかのソーシャルメディアを利用していると言われており、特にブログの利用は他の国々より盛んです。スライドにあるハシゴのような図は、ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールと呼ばれ、ソーシャルメディア上の人々の活動状況を表しています(ITMediaがPDF版を掲載しています)。利用動向としては、ブログを読んだり、レビューを読んだりする「観察者」の割合が他国に比べて高いことも特徴として挙げられています。
また、他のインターネットメディアに比べて利用者の滞在時間が長いことも指摘されています。利用者が多く、かつ長い時間滞在しているのであれば、ユーザーにメッセージを伝えたいと考えている企業が注目すべきなのは当然と言えます。
なるほど、わかった。「ソーシャルメディア」とやらには、自分たちのビジネスに関連する見込客がうじゃうじゃたむろしているらしい。それでは出向いて自社サービスの紹介をしてやろうではないか。・・・と考えても、事はそう簡単ではありません。ソーシャルメディアとは、複数のインターネット上のシステム(主にウェブサイトなので、以下「サイト」と表記します)の総称ですので、顧客が一箇所に集まっているわけではないのです。
上記スライドにあるグラフは日経BPコンサルティング社が行った「ソーシャルメディア利用実態調査」の結果ですが、対象となるウェブサイトはYoutubeのような動画サイトから価格.comのような比較サイト、2ちゃんねるのような掲示板サイトなど、実に様々であることがおわかりいただけるかと思います。サイトも様々であれば、当然ながらそのサイトを訪れるユーザーの目的や行動も様々です。
ソーシャルメディアをビジネスに活用しようとする際は、自社の顧客がどのようなサイトを利用しているか、また、どのように利用しているかといった部分をきちんと把握した上で、アプローチするメディアと方法を選定していく必要があると思います。
講演では、前述のように複数のメディアで様々な顧客層のユーザーと良好な関係を築き、最終的に自社の目的につなげていく考え方を「ソーシャルメディアの総合力」と表現させていただきました。ソーシャライズドウェブは、リンクやフィードバック、クチコミなどで様々に繋がっていきます。それぞれのメディアで獲得したファンの数はそれほど多くなくても、インターネット上で何か仕掛ける際に、まったく支援者がいないのと、そうでないのとでは「着火」の仕方に大きな違いが生まれるのではないでしょうか。
「ソーシャルメディアは魔法の杖ではない」。私のような仕事をしていると、うんざりするほどよく耳にするフレーズです。それでは一体何の役に立つのでしょうか。
博報堂DYメディアパートナーズが発表しているメディア定点調査では、世代や年齢で差はあれど、生活者が接するメディアの中で雑誌やラジオの割合は年々減少傾向にあり、逆にインターネットの割合は年々増加しています。つまるところ、「人々が見ている媒体が変わってきているのだから、メッセージを送る場所もそれに合わせて変えましょうよ」という単純な話です。(参考記事:「10代、パソコン離れ…ネットは携帯で 東大教授ら調査」)
また、今までの一般的なインターネットサイトでは情報発信者と受信者が明確に分かれていたのに対して、ソーシャルメディアは双方向性を特徴とするWEB2.0的なサイトが中心であるため、企業といえども単にメッセージを「送る」だけではなく「参加する」方向に、「叫ぶ・呼ぶ」から「会いに行く」方向に意識を変えていく必要があります。
■続く
それなりの長さになってしまったので今回のエントリではここまでとさせていただきます。今回の内容があまりにも評判が悪い場合を除いて、近日中に次のエントリ「理由その2 ネットの情報が多すぎる」にて、ソーシャルフィルタリングに関する記事を公開する予定です。
それでは、よろしくお願いいたします。
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