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失敗しないウェブアプリケーション開発の処方箋

【学習】高広伯彦氏のソーシャルメディアこき下ろしTogetterを更にまとめてみた

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2010年10月29日追記:
このエントリ執筆を通じて得た経験を、次のエントリにまとめました。

【まとめ】ソーシャルメディアという言葉に踊らされないために、知っておいて欲しいこと

お世話になっております。
ループス岡村直人です。

昨日、社内で以下のTogetterが話題になりました。

gosuke

mediologic 番外編 - 「ソーシャル メディア」を取り巻く人々に喝を入れる Add Starka1reka1reka1reka1reka1reka1reotsune

久々に TL に降臨した @mediologic こと高広氏。一連の発言が、どれもこれも突き刺さるものばかり。最近の「ソーシャル メディア (マーケティング)・ブーム」に浮かれた業界、そして人々に対して喝を入れる発言は、まさに必読!gosuke 30 fav 2346 view 2010 10/26

まぁ、私なんかどっちかというと、、、というか思いっきり「浮かれた側」にいますので、厳粛な気持ちで拝読いたしました。内容としては、とってもムズカシイ。。。私の頭では調べながら半分くらいを理解するのがやっとでした。幸い、高広さん博報堂とか電通とかGoogleにいたらしいスゴイ人。詳細は不明。)の以下のようなコメントもありますし、ついていけなかった部分を補足しながら、私みたいな開発畑の人間にもわかるようにまとめなおしてみました。

mediologic今日はソーシャルメディアについてちょっとした考現学的コラムかけそうなツイートしたなあ。だれかまとめてくれんかなw

「考現学」!早速難しい言葉出現です。Wikipediaさんによるとこんな感じでした。

考現学(こうげんがく、the study of modern social phenomena)とは、現代の社会現象を場所・時間を定めて組織的に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。

むむむ。聞いたこともない。。。
不安はつのるばかりですが、まあこれも勉強と割り切り、以下高広さんのツイートのまとめです。まとめといってもせいぜい「学生のノート」みたいなものです。ご了承の上、ご覧いただければ幸いです。

注:Twitter上の発言を引用することはネット上でよく見かけますが、権利は発言者に留保されていますのでその扱いはグレーゾーンです。本エントリでは発言者の権利を侵害しない範囲での利用を意図しておりますが、権利者からの要請があった場合は速やかに内容を削除いたします。こういうのはじめてなもんで。。。すんません。

■原点

「このツイッターとかソーシャルメディアとかもういいやって、ふつふつ湧いてくるこの気分」は何か。

■ソーシャルメディアの問題点

  • 望まない情報との接触
    • 情報のインプットが半ば強制的に多くなり、疲れる。
  • ソーシャルメディアは基本オープンなプラットフォームだからこそ、似たもの同士しかつながらない。
    • 匿名性が担保されていることにより、似たもの同士が集まる傾向がより顕著になることもある。
      (@woodyuetaku氏との絡みを意訳)
    • 傷の舐め合いも、褒めあいも、ソーシャルメディアならたやすい
    • ソーシャルメディア依存が高いとその気持ち良さに負けて、甘ちゃんになる
      • 似たもの同士のつながりは「トイレの連れションにも似た不快感」を生む
    • (筆者所感:「似たもの同士が集まり、都合のいい環境を作って相互補助」これは現実世界もほぼ同じ性質を持っている。それが可視化され、例えば「無視していた事項がみたくもないのに見えてしまう」ことが不快感の根源なのか)
  • 同意手段が簡易化されているため、「なぜ?」を考える思考回路が介在しない(意訳)
    • 例「RT」 「いいね!」
  • ソーシャルメディアマーケターたちの発言には、ソーシャルメディアを使わない人たちへの言及が一切ない。
    • 筆者追記:ソーシャルメディアとソーシャルメディア以外を俯瞰的に語る人の必要性を論じているのではないか。
  • 何でもかんでも共感に落とし込むことに対して、少し疑問が残る
    • なぜなら、共感というのは不安を埋めるものだから。共感の存在感が増すということは、それだけ不安が要請されることでもある。
      (@opi氏の発言に高広氏が同意)
    • 筆者追記:「共感度が高まっている状態≒潜在的に不安が強要されている状態」という理解でよいのかな・・・?私の読解力では、真意が読み取れませんでした。
  • フォロー数はエントロピーの法則に従う。
    • 筆者注:エントロピー増大則の定義は難しすぎ。正確な理解は来世に先送りし、今世では「放っておくと、とっ散らかる」と理解しておく。
  • 人を同質にしてしまう性質がある

■ソーシャルメディアと、それを扱う人々・社会の特性

  • ソーシャルメディアを使ってるからといって、その人となりが社交的で義理人情やマナーに長けるということはない。
    • 筆者追記:ソーシャルメディアにおいては「社交性」「義理人情」が誇張・強調される傾向にあるのではないか、という分析が垣間見える。
    • 筆者所感:「マナー」か・・・。グサグサと胸に突き刺さる。。精進します。
  • マスメディアと違い、自分自身も参加者にされてしまうのがソーシャルメディア。
    • 筆者追記:逆説的に、この文脈では「発信者と受信者が明確にわかれるのがマスメディア」とも取れる。これらの特性は高広さんの発言全体を通して語られる「ソーシャルメディアを含む、メディア全体を俯瞰的した視野の不在」を考える際のヒントになるのではないか。
  • ソーシャルメディアで集った人々の会に行くと、話されてる内容にみな同意していて、反論が少ない。
    • アウフヘーベン(注1)がないので、進歩を生まない。
      • これはソーシャルメディアから発せられるインプットの問題ではなく、情報や学びに対する「態度」の問題
    • 情報に対する無自覚な信頼(筆者注:「信任」と言い換えてもいいかもしれない)
      • 企業から来るリリースだけ見て書かれている記事
      • 上記内容の受け売り
      • (筆者追記)さらにその無秩序な伝播。暗黙的に、集合知によって淘汰されることが期待されている。
      • (筆者所感)無自覚な信任は今までもあったのではないかと思う。その根拠が、「発言者のステータス」から「第三者のお墨付き」に変わってきているというのが現在話題にされている点なのではないかと感じる。
  • ソーシャルメディアに限定できない問題点
    • 情報ばかりを追いかけてる人間は、情報不安症(INFORMATION ANXIETYという専門用語があるのかもしれない)に陥るので注意。

※注1:アウフヘーベン([独]Aufheben)(はてなキーワードから引用)
日本語では「止揚」「揚棄」と訳される。ヘーゲル弁証法における根本概念。
あるひとつの命題(テーゼ)と、それに反対・矛盾する反命題(アンチテーゼ)との二つの相反する命題を、互いに否定しつつも生かして統合し、より高次元の段階である総合命題(ジンテーゼ)を導くこと。

■マーケティング3.0に対する誤解

  • ソーシャルメディア文脈で語られることが多い
    • 筆者追記:ソーシャルメディアとマーケティング3.0に共通点はあると思うが、「イコール」で語るべきではない。という指摘。
  • マーケティング3.0が生まれたきっかけはインドネシアにあることを忘れてはならない。
  • マーケティング3.0が「どのように顧客に強力してもらうか」という要約は論理が破綻している。そもそもマーケティング3.0は顧客という概念を超越している。

■筆者の前提知識・読解力では理解が難しかった部分

(基本的に原文をそのまま引用)

  • ソーシャルメディアマーケティングを仕掛けると、ソーシャルメディア上での情報伝搬がバタッと止まる瞬間を感じることができる。ここにソーシャルメディアのどんな実態を見るか?(それは)ソーシャルメディアが拡張するのは、人間関係そのものではなく、人間関係のもたらす“煩わしさ“などの”関係“から発する何かである。
  • 高広氏が広告業界関係者と勝手に認める人物像
    • 「どれだけ僕らが、メディア、広告業界の先達たちの礎の上に生きているかを理解できる人物かどうかということ」を理解している。
    • (筆者注)高広さんはソーシャルメディアの台頭で発言権を増している「にわかマーケター」に対する嫌悪を感じている。個人的には、「ソーシャルメディアでマーケティングやろうとしている人」が、前提知識なく「マーケティング」の領域に手をつける風潮に対する状況認識の甘さや、危険性に対する警鐘と理解した。
  • ソーシャルメディアやソーシャルメディアマーケティングについて、そのつながりやグラフについて語る人は多いが、それぞれの集団が形成する社会的集団的性格や傾向について語る人はいない。ここを理解しないと拡がりへの企てが難しい。
    • 筆者注:ソーシャルメディアはメディアの中の、ネットの中の、ソーシャル(と言われている領域)の中の、ツールという位置付けでありながら、それが全てという文脈で語られることがある。もっとマクロな視点から「企て」をしないと難しい。と理解したい。
  • 君たち、とりあえずソーシャルメディアMKTGとか語る前にコレを読みなさい>>>セス ゴーディン 『パーミションマーケティング』 http://amzn.to/c51NB6
    • 筆者コメント:(未読です。。)
    • 参考「パーミッションマーケティング」
      @IT「情報マネジメント用語事典」より一部抜粋
      事前にパーミッション(許可・許容)を得た相手に許諾の範囲内で、情報提供や勧誘、販売促進、顧客情報取得などの活動が許されるとするマーケティングの考え方、あるいはそうしたマーケティング手法の総称。

■所感

はじめて読んだ際は、過激な表現に怖気付きそうになりましたが、こうしたまとめ作業を通してその発言ひとつひとつの意味を考えてみると、私のような「ソーシャル」の内側で物事を考えている人間に新たな視点を与えてくれることに気づかされます。

気持ちいい意見に囲まれた状態(ぬるま湯)に甘んじることなく、広く平等に世間を見ること、世間の厳しさに向きあうこと、今回のエントリ執筆を通して、そういった現実に目を背けがちな自分の姿を再認識しました。

個人的には、ところどころ「その言い方ひどいだろ!w」とか「世間狭すぎだろ!w」なんて思う部分もありましたが、表現のボリュームが限られているのなら、なにより主張を優先するスタンスは合理的だと思いますので、つまらないツッコミは控えました。

■高広氏とソーシャルメディア

ソーシャルメディアの会社に所属している人間として、高広さんの「ソーシャル使いこなしテック」、まとめておきたいと思います。

  • 実績をアピール、強い個性で惹きつける
    • 毒も個性。
    • 私は同氏の会社や経歴を全く知らなかったが、紹介され、興味を持ってしまった。そしてこのようにブログを書くに至り、最後には支持している。
  • 注目されるキーワードで人を呼び、知らしめる
    • 最初に掲載したまとめの中に、同氏が関連した業績や書籍の紹介がまぎれこんでいる。Twitterという伝播性の高いメディアの特性をしっかりと活用している。
    • 書籍にはAmazonのトラッキングコードが付いている点も抜かりないw
  • 「まとめ」で情報の永続化
    • 本エントリにもある通り、自分の活動をまとめて欲しいと表明し、実際にそうなっている。いわゆるクラウドソーシングを無償で実現している点はしたたかであると言える。
  • 複数のソーシャルメディア(このエントリではソーシャルなツールと表現すべきかも)を組み合わせて効果を最大化させる
    • Twitterという伝播力の高いソーシャルメディアを使って周知し、まとめサイトでネット上の情報滞在時間を長期化している。Twitterというソーシャルメディアが持つ「情報の滞在時間が短い」という欠点が、他のソーシャルメディアと組み合わせることで補完されている。更にその内容がソーシャルブックマークで伝播するという流れになっており、結果的にはソーシャルなツールを最大限活用している。
      • 同氏の強烈な個性(毒(笑))がキーファクターとなっていると感じた。この点でも、「人が究極のコンテンツ」と言われるソーシャルメディアの特性にマッチしている。
  • ファンの支持を得ている
    • Togetterのやり取りで見逃せない重要な点は、同氏の発言を支持するファンの存在。数件ではあるものの、素人の私が読むと「一人芝居ではなく、説得力のある発言なんだ」と感じる。自身の発言だけでなく、それを支持する人々の発言とその露出は非常に重要。

うーん、やはり影響力のある人の意見・行動は、じっくり噛み締めると大したものですね。書き始めた1時間前の自分に説教してやりたい気持ちです。

 

■最後に

最後に、これまで「高広さん、高広さん」と馴れ馴れしく呼んできましたが、私は同氏について「広告業界の偉い人」ということ以外、どんな会社に務めているのか、どんな仕事をしてきたひとなのか、実はあまり知りませんでした。いや、調べればわかるんですけど、今日までその機会がなかったというか。。ただ、同氏の存在を知ったのは知人の紹介で、発言を見たのはTwitterでした。今回記事作成に至った一連の流れは、ソーシャルメディアが介在する認知経路の典型にあたるんじゃないかと思います。

途中にも記載しましたが、このエントリには高広伯彦氏始め、Twitter利用者の方が著作権を持つ内容が数多く含まれます。転載の範囲が法的に逸脱していると感じられた方、真意が曲解ていると感じられた方はご一報ください。速やかに修正・削除いたします。また、本エントリは私の主観に基づくものであり、所属するループスコミュニケーションズの見解を表すものではありません。

※10月28日9:10追記

  • Twitterユーザーの発言に、高広氏が同意・反論する形で意見表明している箇所に関連ユーザーのリンクを追記。
  • 記事の趣旨と直接関係のない雑記や所感を削除
  • その他雑多な修正
  • 「まとめてくれ」発言に関しては、高広氏ご本人から「ソシュールって羨ましいなあ。という意味」との見解をいただいたのですが、私の頭では理解できなかったため追記しませんでした。

朝見てみたら書いている間に400トリスくらい消耗してました。しらふで見るとちょっと恥ずかしいエントリですね。。
※「トリス」はエネルギーの単位。1トリスはアルコール換算で約0.4ml。

※10月28日9:30追記

改めて昨晩のTLを見返すと、色々な方、特に業界や人生の諸先輩方に失礼な発言があり顔から火が出る思いです。犯した過ちをあれこれ弁明しても取り返しがつかないと思いますので、この反省を今後の行動に反映していきたいと思います。

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