真実曲線からみるアジャイルのカタ
真実曲線
真実曲線(The Truth Curve)というのがあります。これは、『Talking of Humans: Success starts with understanding your customers』(Giff Constable 著, 2014年)にて紹介されているものであり、後に Jeff Gothelf氏が引用したことで私も知ったものです。
正確な解説は他者に譲るとして、ここでは主題に沿った部分を簡潔に説明しながら進めていきます。
仮説検証とは言われていおり、誰もが違和感なくこの言葉を用いて、そして実践していると思います。ですが、実際には以下のようなことが起きていないでしょうか?
- 事実に基づかない仮説を立てている
- 必要以上にデータ収集や分析に時間をかけている
- 十分な事実がないにもかかわらず必要以上の労力をかけている
真実曲線ではこれらを示しています。具体的には、緑色で示した曲線が適切な度合いだとすると、それよりも左上であったならば、それは「必要以上にデータ収集や分析に時間をかけている」ことになります。また右下であったならば、それは「必要以上に労力をかけすぎている」リスクの高いやり方をしているということになります。また、事実に基づかない仮説を立てて進めている場合は、このグラフ以前に左側(X軸の0以前)に位置していることになりこれは「希望的観測」という状況です(お花畑とまでいうと言い過ぎ)。
事実を捉える
エビデンス(事実)を言う話はよくしますが、何でもデータを拾えばよいというわけではないし、必ずしも正確でなければならないのかというとそうでもないのではないでしょうか(図のY軸)。right(適切)が重要という解釈です。rightを「正しい」と捉えてしまうと、十分な収集と分析を要することになるでしょう。それは分析麻痺です。
事実は、実践をともなって現実味を帯びてくる性質があると思っていて、実践しなければそれが本当に事実なのかどうかは現場で即答できない場合が多いと捉えています。
したがって、わかった事実が大事でこれを活かすことに活路を見出したいわけです。ひとついうとすれば、客観的な事実を拾おうとする態度が振る舞いとして重要と捉えています。
真実曲線の話に戻して、この緑色の曲線を正確に辿れている感覚なり、確証なりを得ている現場もそうそうないのではないでしょうか。あるいは、根拠がなくともこの緑色の曲線に沿っているという決めつけも多そうです。
態度や習慣で維持する
さて、この事実に基づいた取り組みにするにはどうしたいいでしょうか。先述のように曲線に沿っているか、過度にはみ出していないかどうかを判別するのは非常に難しいです。したがって、必然的にこのように推進できるような習慣を身につけるのがよさそうです。
そのためには、現在の状態を意識するところは外せません。ただし、基準がないと現在の状態はあやふやなものになります。「〇〇に対して現在の状態は〜」の〇〇です。これが目指すべき状態です。目指すべき状態を定め、現在の状態を認識して、現在の状態から目指すべき状態へ到達するための仮説を立てて、それを実験する。そこから学び、次の実験を行い、現在の状態が変化し、目指すべき状態に達するようにする。この習慣をチームや組織が身につけられれば、真実曲線から外れにくいのではないでしょうか。
アジャイルのカタ
アジャイルのカタ(Agile Kata)は、上述の「科学的思考」に基づいた共通パターンです。カタを覚えて、カタを実践することで、向き合っている問題やチャレンジに適応していくことができることを期待しています。
- 目指す方向やチャレンジ
- 現在の状態
- 次の目標となる状態
- 実験
アジャイルのカタをより知っていただくためのコンテンツを公開しています:
認定研修と伴走支援
4月にAgile Kata Proの認定トレーナーになりました。また、認定トレーナーによる Agike Kata Dojoというプログラムがあるのですが、これらを日本で展開してまいります。
認定研修オープンコース:
認定研修プライベートコース:
一社様向けの認定研修については、こちらをご覧いただきお問い合わせください。
Dojo 伴走支援:
認定研修と伴走支援を組み合わせたプログラムについてはこちらをご覧ください。