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ITとビジネスのおいしいところを考察 ~ ときどき開発業務改善ネタ

なぜ今、「アジャイルのカタ」が必要なのか?認定トレーナーになった

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アジャイルのカタ(Agile Kata) ── アジャイル導入の"壁"を超える、ひとつの型(カタ)

はじめに:アジャイルは"広まっているようで、浸透していない"

「アジャイル開発をしています」

「スクラムを取り入れています」

こう言う現場は、今では珍しくありません。でも、現場に行ってみると──

  • 言葉だけアジャイルで、やっていることは従来と大差ないと感じている

  • 形だけのスクラムイベントが義務になり負担となっている

  • 組織の文化や評価制度が変わっておらず、形骸化している

そんな風景に、私は何度も出会ってきました。そして思うのです。

そもそも、なぜそんな状況になってしまうのだろうか?」と。

アジャイルの"実践"に必要なのは、** カタ **だった

そんな中、私が出会ったのが 「アジャイルのカタ(Agile Kata)」 です。

これは、アジャイルプラクティスでも、アジャイルフレームワークでもありません。

一言で言えば、「アジャイルを実践するためのカタ」なのです。

私たち日本人にとって「カタ」は馴染み深い概念ですよね。

剣道にも茶道にも、芸事にも、まず「形・型」があります。

形・型を通じて、心や考え方、そして技術が身についていく。

「アジャイルのカタ」は、そんな「形・型」の文化を活かしたアプローチです。

つまり、"小さな改善を繰り返しながら、アジャイルの本質に近づいていくアプローチ"。

考案者のJoe Krebs氏は、アジャイルのカタを「共通パターン」と表しています。

トヨタのルーティンからの着想

アジャイルのカタは、『トヨタのカタ』(マイク・ローザー著、日経BP)で知られる「改善のカタ」から着想を得ています。

それを「コーチングのカタ」でこのアプローチを強化していきます。

これを不確実で複雑な問題に対応するためにアジャイルマインドセットや原則を合わせたものがアジャイルのカタです。

アジャイルのカタは、誰でも・どこからでも始められる

「アジャイルのカタ」では、特別な役職やスキルは必要ありません。

必要なのは、「現状を変えたい」という思いと、ちょっとした問いかけから始まる日常の実践です。

たとえば、こんなステップから始まります(※一部変更してあります):

  1. 理想の状態はどうか?《狙い》

  2. 今、どんな課題があるか?《現状》

  3. ギャップを埋めるための一歩は何か?《次の目標と実験》

  4. 試してみて、どうだったか?《実験の結果》

  5. 学びは何だったか?《次への検査と適応》

これを「科学的思考」と呼びます。

これはまさに、トヨタのカタリーン思考とも親和性のあるプロセスです。

日本初の認定トレーナーとして

2025年4月、私は 日本で初めての「アジャイルのカタ」認定トレーナー(Agile Kata Pro Certified Trainer)となりました。

これはゴールではなく、「アジャイルのカタ」という科学的思考を通して、

より多くの人に実践的なアジャイルの本質に触れてもらうためのスタートです。

アジャイルのカタは、さまざまなシーンで適用できます。

  • DXやビジネスアジリティの向上
  • 組織変革
  • アジャイルの実践
  • スクラムやカンバン、SAFeなどのフレームワークの強化
  • スクラムやカンバンの代替となるフレームワーク
  • その他

5月より、「アジャイルのカタ」認定研修を日本で初開催します

今回、日本初の公式トレーニングを開催します。

  • トレーニングは、すべて日本語対応
  • 受講後は認定試験を受験し、認定を受けることができる
  • 実際に「アジャイルのカタ」を体験し、職場に持ち帰れる内容です

  • 開催日:2025年5月22日〜23日(半日×2)オンライン開催
  • 開催日:2025年6月19日(1日間)オンライン開催
  • 詳細・申し込みはこちら >>> アジャイルのカタ日本語サイト

最後に:アジャイルに"つまずいた人"にこそ届けたい

このブログ記事を読んでいる方の中には、

「アジャイルを導入したけどうまくいかない」

「理想と現実のギャップに苦しんでいる」

そんな悩みを抱えている人もいるかもしれません。

そんな人にこそ、「アジャイルのカタ」という"道しるべ"が届けばと思います。

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