新規プロダクトの発想のタネを考察、例題としての「めもル」も考察
新しいプロダクトの発想はどこからくるのか
新しいプロダクト、新規事業の発想はどこからやってくるのかはとても関心があります。皆さんもきっと関心があると思います。昨今は多くの経営者や企画担当者がその「ひらめき」や「根拠」を公開してくださっているので、アンテナを常に張り巡らせておきたいところですね。
私は、長く外資系企業に所属しており、その中でも多くのプロダクトが生まれ、ときには統合され、またときには消えていくのもみてきました。また特別目新しくもないものがとてもヒットする事例などもみてきています。例えば、Atlassian の Jira などいい例です。プロダクトとしてはそんなに革新的ではありません。でも、あるきっかけと発想で...(主題ではないのでここまで)。
特に昨今は結構アイデアが枯渇してきているというか、飽和してきているところがあります。その分、本当に実現したいことや今まであったアイデアやプロダクト、事業を他の分野で活かすなどの取り組みも増えてきています。
これらの起因となっているのは言うまでもなく「社会課題」です。社会課題を発見、開拓、見出し、そこに貢献できるソリューションを提示するという意識を持ち続けることはとても大切だと感じています。カッコよくいうと『大義』ですね。大義ある事業とプロダクト、チームに貢献したいと思って起業したわたしとしてもここは外せません。
ディスラプティブ
アイデアが飽和していると感じている(わたしはそう思うことが多い方)ときには、発想の仕方を根本からかえてみるのもひとつの方法です。クネビンフレームワークでいうところの、「単純系」(Obvious)または、「煩雑系」(Complicated)にあるアイデアがまさにそこで、既存のプレイヤーがいるなかでどう差別化するか、どう社会課題を見出すのかはとても頭をひねることになります。アイデアと社会課題を見出せれば、単純系、煩雑系ではなく、「複雑系」(Complex)な領域とみなし、仮説・検証、探究による事業化、プロダクト化の模索ができる可能性が高まります。
では、どのようにやっていくのかというと、わたしが実践し、おすすめしたい方法のひとつが、ディスラプティブな発想です。
鍵となるのは、「単語」です。文章は基本的に名詞と動詞があれば成り立ちます。例えば、「写真を撮る」「写真を見せる」などです。あと、形容詞と名詞の組み合わせも効果的です。例えば、「美しい写真」とかです。また、単語にはチカラがあるので、人はその単語と感情を結びつけます。例えば、「写真」×「喜び」、「写真」×「共感」のように。また、単語には特定の色が関係するものもあります。これをクオリアといいますが、例えば、「赤」というと緊急とか、注意とか、女性とか、3倍速いとかです。
そういったよくある組み合わせをいったん忘れて、全く違うものと結びつけてみたらどうでしょうか。全く違う発想が浮かんでくるかもしれません。
「写真を浮かす」とか、「見せられない写真」とか、「写真」×「苦痛」とか、紫色の「写真」とかです。
無理くり組み合わせたものから、ある種のこじつけでもいいので、発想を広げて、何かにつなげる。そこから社会課題や事業性に結びついたら、それはおそらくこの世にまだない何かになっているかもしれませんよね。
写真の整理・管理と共有のアプリの発想力
なんでこんな投稿を書こうと思ったのか、動機は、2月から使わせてもらっているアプリにあります。以前に開発者向けのイベントを共催させていただいたご縁もあり、写真の整理・管理、共有を行うサービスを先行してベータ版から使わせてもらっています。
実際の開発背景や、アイデアの創出について詳しく聞いていないので、以下については、わたしの想像(妄想)に基づきますが、写真管理や共有のサービスとしては後発であるこのアプリが如何にアイデアを見出したのか、開発に GO サインがでて、サービス開始に至ったのかは考察したくなりました。もう一度いいますが、想像です。
ちなみに、写真の共有については、11年前にこのブログでも記事を書いていました。
わたしにとってこの手のアプリは関心ごとのひとつだったのですが、以下の理由でだんだんと使わなくなっていたのでした。
写真共有のジレンマ
でも、実際には、写真の整理・共有サービスをいろいろと使ってみてもなかなか続きませんでした。わたしにとっての続かなかった要因は以下です。
- 写真を撮るのはいいが、選別するのが大変
- 写真を見てくれているか実感が沸き続けないと共有するモチベーションが低下する
- スマホで写真を撮っておけば、いつでも管理や共有できる(と常に思っている)
簡単に言うと、そもそも写真を管理する発想があまりなく、管理するモチベーションは、写真を共有することなのだが、(いい写真も撮れているか自信もなく)見てもらえている実感がないと面倒になってしまう。ということです。スマホが便利なので、撮りためておけばいずれ、時が来たら管理したり、整理したり、そしてしかるべきときにしかるべき人に共有できるので...と思っていたらほとんど何もしなくなってしまった...という感じですね。
実際に、わたしのスマホにはとても多くの撮りためた写真があります。iPhone なので、Mac と共有しているため、モチベーションがあれば、Mac で写真の整理をすることができます(でもやっていない)。
前述の、「整理・管理するモチベーション」と「共有し、満足するモチベーション」の関係が『にわとりか?たまごか?』のなのが問題だとはわかっていますが、なかなか両立できるサービスに出会っていませんでした。その結果として、たまに Instagram や Facebook にて写真を投稿するというだけの雑かつ、つながらない満足感ですませてきました。もちろん、この手軽さはとてもよいエクスペリエンスです。
Instagram や Facebook では「いいね!」「♡」をしてくださったりするので、束の間の共有へのモチベーションは高まります。ただ、特定の誰か(家族、親族、所属するチームや組織、同じ趣味の人たちなど)と共有するとなると、『「いいね!」「♡」返し』などが頭を過ぎったりするようですね。わたし自信はあまりそういうことを気にしないほうですが、皆さんの話を聞くと結構気を遣っていらっしゃることがうかがえます(気を遣って「いいね!」「♡」してくださっている方、いつもありがとうございます!うれしいです!!)。
新しい写真の整理と共有のサービス
先述の通り、2月から新しい発想の写真の整理・共有サービスのベータ版から使わせてもらっています(※ サービスはだれでも無料で使えます)。
この写真の整理・共有サービスは、コンセプトが非常にユニークです。「つながりすぎないつながり」を写真共有で実現しようとしています。
持っている機能がとてもシンプルです。詳細はサービスのサイトを見ていただくとして、ここではわたしが気に入っている機能を中心に紹介します。
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写真を追加するだけで整理
基本的に写真は追加していくだけです。写真のメタデータから日付を収集して自動で整理してくれます。必要に応じてコメントやタグをつけることができます。わたしは、コメントもタグも付けずにまずシンプルに写真を追加していっています。 -
写真を比較
前述の常に日付で自動整理されているので、写真を比較することが容易です。月単位で写真を左右に並べて表示する「比較」機能により、成長度合いなどの変化を楽しむことができます。おすすめは「定点観測」などですね。 -
共有(招待)
「めもル」の大きな特徴のひとつです。普段は自分のために写真を整理・管理することができますが、"まるごと" 他者と共有することができます。写真単位で共有ではなく、その写真ポートフォリオを他者と共有ができるのです。メールアドレスかLINEで自分の写真ポートフォリオに他者を招待する感じです。招待され、受け入れると自分の写真と共に共有された写真が一体となって表示されます(この体験は新しい!)。そして、共有を取りやめれば、元どおり自分の写真だけが表示されるようになります。例えば、祖父母と子供達が孫たちの写真を共有したいとした場合、子供達はそれぞれの孫たちの写真を各自でアップしておきます。祖父母(親)には、それぞれが「招待(共有)」をしておけば、祖父母は、全員の孫の写真を閲覧できます。子供達の各家庭は、自分の子供(祖父母からみた孫)の写真だけを見るだけにできます。自分の作品をクライアントさんや同じ趣味や仕事をしている人に見せたい場合も、招待(共有)するだけで見せられます。用事が済んだら共有を解除するだけです。使い方が広がります。 -
既読や「いいね!」がない
写真の丸ごと共有する機能はありますが、個々の写真について「いいね!」や「♡」をする機能はあえてないとのことです。ソーシャル疲れにならない心配りのようです。写真を自分の自身のために整理・管理したい欲求と、人に見せたい、共有したい欲求は満たせるけど、反応を気にする辛さを排除するという発想は面白いですね。 -
PWA
Webアプリケーションなのですが、Progressive Web Application として実装されているので、スマホやPCのブラウザからインストールしてアプリとしても利用できます。 -
その他
他にも機能がいくつかありますが、そんなに多機能ではありません。使ってみるとシンプルさも実感できるので試してみてください。「VR」なんて機能があるのも面白いです。
スクショでみる「めもル」
「めもル」は、無料で利用できますし、メールアドレスがあれば登録ができます。また、Webサービスなのでブラウザがあれば、スマホでもタブレットでも、PCでも使うことができます。
メールアドレスとパスワードを入力して登録のボタンで利用開始できます。できるだけシンプルに始められる感じです。登録すると登録の旨をメールでくれます。また、パスワードはよくある「パスワードの確認」はありませんが、パスワードを忘れても、ログイン画面でリセットする仕組みがあります。
ログインするとすでにサンプルで写真があるのでイメージがつきやすいですね。とりあえずは、「比較」機能とか「VR」機能を試してみることをおすすめします。ご自身の写真をアップロード(「写真を追加」)したら、サンプル写真は削除しましょう。
フィードバックするとUIや機能が改善される思うので、フィードバックするといいです。わたしが最初に使わせてもらった当初と今ではデザイン、使い勝手の面ですごくよくなっているのを感じます。アプリ/サービスの進化を目の当たりにできるのも先行ユーザーの役得ですよね。
さて、わたしは、どんな使い方をしているかというと、昨年11月生まれの黒いシー・ズーの写真を整理・管理するのに使っています。といってもスマホで撮った写真を「めもル」にアップしているだけですが、一覧や比較で成長が目の当たりにできるので、概ね、写真をアップするたびに比較して楽しんでいます。たまに、「めもル」の画面ショットを Twitter や Facebook, Instagram にアップしています。まだ、共有は妻にのみ行っています。
この画像は、スマホを横向きにした様子です。子犬の成長は著しいです。うちに来た時が1.2kgで、今では4.3kgになっています。
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