アジャイルをマネジメントとユーザーに理解してもらう
アジャイルは必然に
アジャイルは、すでにビジネス層にまで浸透しつつあります。ただ、それでもまだ現場ではアジャイルの必然を理解していても、発注者であるユーザーサイドや、意思決定者であるマネジメント層にとってリスクを感じていたり、今までと考え方とアプローチが異なるため二の足を踏んでしまっている気配があります。
現場のメッセージは伝わっているか
ご支援の経験の中で、現場のメッセージが彼らに十分に伝わっていないと感じることがよくあります。また、そういった「アジャイルの動機」を言語化するご支援を承ることも少なくありません。
なぜ伝わらないのかというと、現場が現場目線で現場の課題をプレゼンしていることが多いですね。マネジメント層、ユーザー層にとっての課題と現場の課題には通常解離があるものです。
それらを埋められないプレゼンでは真の課題を理解してもらうことは難しいです。
なかでも「アジャイルソフトウェア開発宣言」(アジャイルマニフェスト)を引用して伝えるときには十分に文脈を理解してもらえるかを慎重に検討する必要があります。宣言では、「左記より右記に重きをおく」という表現をしており、これが誤った解釈になることが少なくありません。もっとも誤解されているといってもよいのは、「アジャイルではドキュメントは書かない」でしょうか。また、開発現場が好き勝手にすることを許容すると誤解されることもあります。
アジャイルプロジェクトマネジメント宣言
そこで、私がよく使っているのが、『アジャイルプロジェクトマネジメント宣言』または、『プロジェクトマネジメント相互依存宣言』(2005年)というものです。
これは、アジャイルマニフェスト同様に有識者が議論を行い、その中で見出した6つの宣言です。6つの事柄は相互に依存しており、これらを意識することで目指すべきマネジメントの姿を表現しています。
これはマネジメントについての宣言であるため、比較的マネジメントやビジネスに重きをおく人たちにとって受け入れやすいものです。
6つの宣言を箇条書きで表現すると以下のようになります(長沢による意訳)。
- 継続的な「価値の流れ」による投資対効果
- 顧客との信頼関係と確かな成果
- 透明性による不確実性の予測と管理
- 個人のチカラを尊重した環境
- 責務を共有したチーム
- 状況に応じた戦略と改善
原文をぜひご覧いただきたいのですが、すでにサイトにアクセスができなくなっています。そこで、私が以前にスナップショットを取っておいた内容を意訳したものをコラムとして書いてみました。ここまで読んでいただき興味をもたれた方は、以下もご覧ください。
エバンジェリズム研究所
代表 長沢智治