場の空気を制する人の空気利用術
「KY」などという言葉も言われたほど、物事の流れは「空気」で左右されます。
何度も協議を重ねてきたのに、ある日突然、ある「空気」のもと、計画をひっくり返される。
しつこく努力しても全く芽が出なかったことが、ある「空気」をきっかけに認知される。
そういう体験を何度かしてきました。
冷泉彰彦氏の著書「『関係の空気』『場の空気』」によると、元首相である小泉純一郎という人の、「空気」の扱いでは天才的で、
「構造改革、抵抗勢力との抗争、拉致問題の使い方、靖国問題、郵政民営化、日米関係、イラク派兵、何から何まで「空気」を巧みに操って政治生命を保ってきた」
と書かれています。
小泉さんは、私にとって、現役を見ている中で最も印象に残っている政治家であり、周囲を見てもいまだに人気があります。
なぜでしょうか?
冷泉氏は、小泉さんの空気扱い術は、「人生いろいろ、会社もいろいろ」などの、比喩的な表現を用いた「小泉レトリック」にあると言います。
言葉の巧みさです。
そして「コードスイッチ」。
「いいですか。改革っていうのは重要なんだ。わかりますか。この選挙の結果で日本の将来が決まるんです。大変だ。・・・」という言葉づかいです。
これは「です・ます」と「だ・である」を混ぜることで、硬い感じと柔らかい感じ、間接的なイメージを直接的なイメージといったメリハリをつけて言語表現としては、反論を許さないとでもいうような一方的なものとしたのです。
ここに、冷泉氏は「空気の権力化」を発生させる言語表現をみる、と言います。
私からみても小泉さんの言葉は分かりやすい。
難しそうな内容でも、シンプルに単純化し、比喩を用いて、記憶に突き刺さるような短い言葉で伝えていました。
これは、間違っている・いない、は別として、説得力があったと思います。
しかし私は、小泉さんが単に「空気」の利用術に長けていたというだけではないと私は考えます。
全ての言葉を信念を持って響かせた良い声なしには語れないでしょう。
参照記事:たった一言で時代の流れが変わる 小泉純一郎さんのようなキレる言葉の簡単なボイストレーニング
シンプルな言葉は声の響きによっては、軽く聞こえてしまいます。
これが、甲高くい声で叫んでいるだけだとしたらどうでしょうか。モゴモゴとよく聞き取れない響きだとしたらどうでしょうか。
横隔膜をしっかりと使えた良い声がなければ、シンプルで短い言葉は印象に残りません。
ただし、強い響きで強い言葉を発することだけが、「空気利用術」につながるとは思っていません。
時と場合によっては、低くても、柔らかい声で語りかけたり、明るく励ましたりするときもあってしかるべきです。それこそ空気を読む・・・相手の気持ちを思いやる、ということではないでしょうか。
また、「自分だけは黙ってていいさ。責任取りたくないし。」と思っていたら良いことも決まらなくなります。せっかくの運気を逃すこともあるでしょう。どんな人でも勇気を持って発言すべき時、「今立つべき」時というものがあります。
そこで、グループが一致団結し、一人では不可能なことが可能になる。
素晴らしい仕事ができて、結果が出る。
社会に貢献し、皆が幸せになる。
そういうことが可能になれば、「空気利用術」も使いようではないかと思えます。
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