プロに講評いただくことで見えてくるものがある
7月19日、第65回東京都合唱祭に出演しました。
合唱祭は、成績順に順位をつけたりはせず、その一つ一つに、8名の合唱指導者の先生方が丁寧に講評を書いてくださいます。
この講評が、時に温かく、時に厳しく、心がこもっていて、励みになるのです。
マーケティングの仕事をしているブロガーの方によると、セミナーのとき「この道のプロからいただくお客さんアンケートは宝だ」と言っていましたが、それに通じるものがあると思います。
今回は、萩原英彦作曲、矢澤宰作詞による合唱組曲「光る砂漠」より「再会」と「ふるさと」を演奏しました。
この曲、まるで印象派ドビュッシーの曲を聴いているような響きと色彩感があり、ハーモニー作りは難曲クラスです。
コーラスは、「ソプラノ、アルト、テノール、バス」という4声体なのですが、パートが自在に分かれ、各パート2声に分かれているところも多く、実際は8声の合唱曲、というように聴こえます。
印象派的な色彩感や響きを出すためには、母音が来たるべきところに来ていることが肝心です。ここ半年は、この母音とハーモニー作りを中心に練習してきました。
母音の次は、さらに子音です。
子音は母音と同じ音程に行っている必要があり、子音を歌うために早めに準備がいることをいつも心がけています。子音を強調することが目的ではなく、子音が入ることでより音楽が豊かになるように子音を扱うことが大事なのです。
いただいた講評を読むと、マエストロや他先生方のご指導のおかげもあり、練習してきたことがかなり形になってきている、という手ごたえと実感がありました。
今日は、そのコメントの一部をご紹介したいと思います。
・・・・・以下一部抜粋・・・・・
・母音の深さが豊かな表現に生きていました。誠実な練習を積み上げた成果が堂々とした仕上がりに結実していました。
・安定したバランスとハーモニーでこの作品のよさを十分に表出していました。ダイナミクスを効果的に使い、スケールの大きさと構成力のすばらしさを感じました。
・ハーモニーをよく理解し、コントロール出来ています。発声にゆとりがあり、フォルテでも乱れないのは素晴らしい。発語に関してはもっと積極的に主張して欲しい。
・冒頭のアカペラが美しく、たちまち惹きこまれました。全体のハーモニーも厚みがあり十分迫ってきます。気のせいかもしれませんが、子音がやや弱く感じられる部分もあったような気がします。しかし完成度の高いみごとな音楽でした。Bravo!
・矢澤宰の世界、声、は素晴らしいと思います。ことばの表現をもう少し練られたらより説得力が増すと思います。クライマックスはゾクッときました!
・・・・・以上一部抜粋・・・・・
たくさんの団体が演奏する中、たった8分の間にこれだけ心のこもった講評を書いてくださり、本当にありがたいですね。
とかく演奏が終わると反省も多いのですが、これらを読むと元気が出てきます。
さらに深みを追求し、ホール全体が幸福感で満たされる日がくることを願って練習していきたいですね。
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