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ピアノ講座その5 「クロード・モネ 日傘の女」 ドビュッシーの前奏曲第1集より「音とかおりは夕暮れの大気に漂う」と「亜麻色の髪の乙女」

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ピアノ講座では、ショパンの練習曲 作品10-1作品10-5「黒鍵」 シューマンのアベッグ変奏曲 作品1ドビュッシーの前奏曲第1集より「とだえたセレナード」をとりあげました。
 
本日は、ドビュッシーの前奏曲第1集より「音とかおりは夕暮れの大気に漂う」と「亜麻色の髪の乙女」です。
 
「2曲とも有名な曲ですね。
この『音とかおりは夕暮れの大気に漂う』は典型的な印象派の曲であり、前奏曲集の中でも一番の印象派と言えると思います。『映像』第1集の中にある、『水の反映』もそうですね。」
 
印象派というと、モネ、ドガ、セザンヌなど、絵画の世界を思い浮かべると思いますが、音楽にも印象派があります。
その代表がクロード・ドビュッシーなのです。
 
ドビュッシーの音楽は、適する響きを持つ場所というものがあって初めてこういう曲が完成するであろうと思われます。演奏上、ペダルや微妙なタッチを用いて音の色彩を自在に扱うことが求められます。そのため、どうしても残響の多い場所の方がその特徴を表現しやすい、と言われています。
 
「『音とかおりは夕暮れの大気に漂う』ですが、主な旋律を出しながら、他の音はとても弱く弾くようにしてください。
特に31小節は、『ソ・ファ』だけ出して他はもっとぼかすように。37小節アウフタクトからも同じように演奏してください。」
 
「51小節は1.5拍目に左手で弾いていたe.a.cis.eの和音を、1オクターブ下のaのバスを左でとったあと、ペダルが鳴っているうちに右手でそっとおさえる。3拍目の休符でペダルをはずすとe.a.cis.eの和音のみが残ることになります。53と54小節目も同じ方法で演奏すると良いでしょう。」
 
「『亜麻色の髪の乙女』冒頭の単旋律はかなり指を寝かせてタッチしてください。
また、33小節の左手と35小節の右手は手を上に持っていくようなタッチを使うことで、柔らかい音色となります。」
 
「印象派の絵で、クロード・モネの『日傘の女』という絵がありますね。パラソルを差してて顔が見えないという絵です。この曲を聴くとその絵を思い出します。
『顔は見えない』というところにその特徴を感じます。」
 
「印象派というのは、霧が出ている印象とか、光が差している印象とか、状態を表現している。笑っているとか、悩んでいるとか、怒っているとかいう人間の感情は見えてこない。そんなところに特徴があるかと思います。」
 
今回のピアノ講座、客席で聴いているピアニストたちにも、演奏についてどう思うか?自分が指導するならどういったアドバイスをするか?といった応答がありました。
かなりレベルの高いプロフェッショナルな演奏でしたが、その演奏について意見を交換しあうことで、適切な指導とは何かを考える良い機会になったと思います。
指導する方も、常に感性を研ぎ澄まして勉強し続ける必要性があることを強く感じました。

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