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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

どういうときにどのクラウドサービスを使えばいいのか

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 砂金さんが、Salesforce vs Azureの比較ビデオについてエントリーをあげている。当該のビデオをどう見るべきなのか。是否はともかく、物事を多面的に見られるスキルを持つべきという主張には、至極納得するところ。

 砂金さんも書いているけれど、

Force.comをPaaSという乱暴な分類のもと、同じレイヤーにするのが間違い。Force.comはCRMを拡張するSaaSな開発フレームワークであって、クラウドでさまざまなアプリを動かすプラットフォームを目指している Google App EngineやWindows Azureとは一線を画している

とあるように、まずはこの辺りのことは基本として理解する必要があるだろう。そんなことを踏まえた上で、さまざまあるクラウドサービスのどれを選べばいいのか、その基準はどこにあるのかなとふと思った。

 先日も、不特定多数の人がアクセスするコミュニティーサイトの案件があり、これをSalesforce.comの上で開発しようかという話しがあった。もちろんこれ、Google App EngineでもWindows Azureでも、Amazon EC2でも開発はできる。仮にAmazon EC2でやるとなると、自分でサーバーを上げてそこにサイトを構築するのと開発の苦労は変わらないだろう。運用時にサーバーやネットワークを気にしなくてもいいというのはあるが、これもレンタルサーバーなどであればほぼ同様かもしれない。

 ばっさりと書いてしまうけれど、対してGoogle App EngineやWindows Azureの場合は、さまざまな便利ツールが用意されているので、それらを活用することでかなり効率的にクラウド上にサイトが開発ができるはず。その上で、クラウドである運用の楽さ、便利さを得られることになる。

 では、Salesforce.comの場合はどうだろう。優位性があるとすると、主催者がこのコミュニティサイトに集まってくる人たちを、CRM的に管理したい要望が強くある場合ならば、かなり優位性が出てきそうだ。まあ、どちらかといえば先にCRMやりたいというのがありき、って感じだろうか。開発の手間は、CRMをするんだという前提であれば、かなり効率的な進め方ができると思う。

 さて、注意しなければならないことが1つある。それはライセンスの考え方だ。仮にSalesforce.comで会員全員がSalesforce.comの基本的な機能を利用するような仕組みを構築してしまえば、それらの人分のライセンスが必要になるはずだ。そうなると不特定多数で会員をどんどん増やしたいといったサイトでは、ちょっと厳しいことになるだろう。そういった用途で開発するなら、facebookなりと連携させCRMの部分だけSalesforce.comでというのが賢い使い方になる。

 どのクラウドサービスもまだまだ発展途上にあるので、何に向いている向いていないというのは、今後も変化することになるはずだ。この先どう便利になるかを見極めながら、それが自分たちの用途に合っているか判断する。その上で適切なものを選択することになるが、これって失敗したり後悔したりしないようにするのは、かなりスキルがいるかもしれないなぁと思うのだった。

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